二十歳になった夏、沢木耕太郎さんの『深夜特急』にいたく影響されて
ヨーロッパへのひとり旅に出かけました。
ベルリンから入って、1ヶ月後にローマから帰国。
決まっているのはそれだけで、あとは気の向くまま足の向くまま。
勇ましく出発したのに、初日の宿も決まっていないまま、
ベルリン空港にぽつんと取り残されたときの不安。
その後も若い女性(!)のひとり旅ゆえ、それなりに怖い思いもしつつ、
往復の航空券と『地球の歩き方』と好奇心だけを頼りに
ヨーロッパを歩きまわりました。
いえ、頼りにしたのは、それだけではありませんでした。
日本国旅券――パスポートです。
スペインの南端からは、アフリカ大陸が見えました。
眺めているうちに、どうしても海を越えて渡ってみたくなり、一晩悩んだすえ、
アルヘシラスという小さな港町からモロッコへと渡るフェリーに乗り込みました。
フェリーのなかはすでに異文明で、
えらいとこ来てしまったなぁ…とドギマギしながら
パスポートをぼんやり見つめていて、はっとしました。
表紙を開けたところに書かれた文字。
日本国民である本旅券の所持人を
通路故障なく旅行させ、かつ、
同人に必要な保護扶養を与えられるよう、
関係の諸官に要請する。
日本国外務大臣
それを読んだとき私はひどく感動し、心の底から安堵したのです。
よかった、守られている――と。
二十歳の旅の延長上に、きっと今があります。
毎月のようにともに旅するパスポート、
今日、表紙を開けて、久しぶりにあの文字に目を走らせました。
あれ、文言が変わってしまったのかな
そう思うほど、その言葉からは何も響いてきませんでした。
<追記>
こういうとき、あの人ならどう言うのだろうと訊いてみたくなります。
そのひとりが、脚本家の野島伸司さん。
昨年読んで感銘を受けた野島さんの小説、
『スヌスムムリクの恋人』の一節を読みかえしました。
「自己責任ってなんだろう?
僕らは若い。希望や夢や好奇心に溢れている。
それは時には危険を顧みない探究心だったり、冒険だったりもする…」
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貸切バス・オーダメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行
TEL 0797-91-2260(平日8:30~17:00)
■銀のステッキは会員制の「旅サロン」を主催しています。
■公式ホームページ:http://www.gin-st.com
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ヨーロッパへのひとり旅に出かけました。
ベルリンから入って、1ヶ月後にローマから帰国。
決まっているのはそれだけで、あとは気の向くまま足の向くまま。
勇ましく出発したのに、初日の宿も決まっていないまま、
ベルリン空港にぽつんと取り残されたときの不安。
その後も若い女性(!)のひとり旅ゆえ、それなりに怖い思いもしつつ、
往復の航空券と『地球の歩き方』と好奇心だけを頼りに
ヨーロッパを歩きまわりました。
いえ、頼りにしたのは、それだけではありませんでした。
日本国旅券――パスポートです。
スペインの南端からは、アフリカ大陸が見えました。
眺めているうちに、どうしても海を越えて渡ってみたくなり、一晩悩んだすえ、
アルヘシラスという小さな港町からモロッコへと渡るフェリーに乗り込みました。
フェリーのなかはすでに異文明で、
えらいとこ来てしまったなぁ…とドギマギしながら
パスポートをぼんやり見つめていて、はっとしました。
表紙を開けたところに書かれた文字。
日本国民である本旅券の所持人を
通路故障なく旅行させ、かつ、
同人に必要な保護扶養を与えられるよう、
関係の諸官に要請する。
日本国外務大臣
それを読んだとき私はひどく感動し、心の底から安堵したのです。
よかった、守られている――と。
二十歳の旅の延長上に、きっと今があります。
毎月のようにともに旅するパスポート、
今日、表紙を開けて、久しぶりにあの文字に目を走らせました。
あれ、文言が変わってしまったのかな
そう思うほど、その言葉からは何も響いてきませんでした。
<追記>
こういうとき、あの人ならどう言うのだろうと訊いてみたくなります。
そのひとりが、脚本家の野島伸司さん。
昨年読んで感銘を受けた野島さんの小説、
『スヌスムムリクの恋人』の一節を読みかえしました。
「自己責任ってなんだろう?
僕らは若い。希望や夢や好奇心に溢れている。
それは時には危険を顧みない探究心だったり、冒険だったりもする…」
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