銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

ワンピース事件

2015年09月23日 | のほほん同志Aの日常

いい年して「自分探し」をしたわけではないのですが、
十数年にわたり何度かくりかえしてきたパターンにより、
少しずつ分かってきたことがあります。

私は、優しくはない。
(優しさは、想像力だと思う。これにはまったく自信なし)

けれども、目の前で困っている人がいたら放っておけない。
(これは優しさとは別物。瞬発力の問題)

他人と自分との境界線が、あるようでない。
(みんなが自分と同じように感じる、考えるとついつい思ってしまう)

以上、3点セットが揃った私からすると、たいへんショックなことがありました。

シルバーウィーク最終日の今日。
駅へ向かうべく、自転車で走っているときでした。

今日は8月に戻ったかのような暑さだったので、お気に入りの
くるぶしまである夏の薄いロングフレアーのワンピースを着ていました。

後輩との待ち合わせに遅れそうで、くるくるとペダルをこいでいたそのとき。

あれ、ちょっと、やばっ、うわあ~~~!!!

フレアーの裾が自転車の後輪に巻きこまれ、

ビビビッ

ワンピースが裂ける音もしっかり耳に届きました。

なんとか転びはせずにすんだものの、
自転車の後輪は、ワンピースを膝上ぐらいまで縦に引き裂いたあげく、
裾をしっかり二重に巻きこんでいて身動きがとれません。

車輪にからみついたワンピースのせいで、否応なく自転車と一体化した中腰の私は、
ケンタウロスのような「人間自転車」状態。

誰か助けて~と思い、道に目をやると、すぐ5m先に同い年ぐらいの女性がひとり。
路上で立ち止まり、スマホをいじっています。

あ~よかった、この人に頼も。 と思った私が甘かった!

助けを求めて、ちらちら視線をやるのですが、スマホに夢中で気づいてくれません。

「すみません」

「すみません!」

何度も声をあげました。
…が、音楽を聴いているのか、耳にはイヤホンがさしてあり、声も届いていない様子。

そうこうするうちに、何人かが通りを行きすぎました。

ジョギングする中年の男性。
ただ歩いている初老の男性。
ちらりと目を向ける年配の男性。

「いまどきの若いのは…」なんて不名誉に一括りにされる若者じゃないのです。
みんな、私よりもっといい年した大の大人のオトコばかり。

なのに、誰も足を止めてくれない。
表情も変えてくれない。
なんで?!

もうやけくそになり、

「すみませんっ!!!」

100m先の人を呼ぶような大声を出したところで、
ようやく5m先の女性が目を上げてくれ、走り寄ってくれました。

固く喰いこんだワンピースをこっちに引っぱったりあっちに引っぱったり
ふたりで悪戦苦闘しているところに、
近くにある料亭での法事の帰りでしょうか、7~8人の家族連れが通りかかり、
一家の家長のようなお父さんがスーツ姿のまま膝をついてしゃがみこんでくれ、
注意深く、根気強くフレアーの塊りを解きほぐすこと、数分。

少しずつ後輪が回り始め、最後は魔法のようにくるくるっと自転車から私が解き放たれました。

その瞬間、そこにいたご家族から

あ~~~~~ と安堵の声がもれ、拍手が起こりました。

去り際、「この先も、気をつけて」と声をかけてくれ、
わやわやと去っていくご家族の背中を見ていると、涙が出てきそうになりました。

それにしても。
それにしても。

真っ昼間の路上でした。
何人もの人が目の前を通っていきました。
なのに、どうして?


この連休を私は、新潟県の片貝・山古志と大分県の姫島で過ごしました。
いずれもコンビニもない、人口数千人の村や集落。

う~ん。

子育てにベストな地はどこか、思案中。






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