さあ~てと 帯しめましょか。

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帯締め、気を染め、往きましょか・・・  ~part 2~   

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「花」の話 ☆ 2 ≪ハナミ≫

2013年04月12日 13時52分00秒 | 神・仏教・民俗の話

 現在、俗にいう花見も元は野山の花の観賞ではないという。

「ハナミ(花見)」・・・花の心をうらげ楽しませて鎮めおちつかせ、
             稲の花が散ることを忘れさせ、その稔りの
             将来を占おうとしたのが源。

【 農村での「ハナミ」 】
   三月三日に行われる土地が多い。
   見晴らしのよい山・丘に登って飲食をして一日遊ぶ。
   農作に先立ってのその協力を予約する春の儀礼になっている、
   という信仰から出発していると考えられる。

 ≪「花」とは≫
★「ホ(秀・穂の内容)」「ウラ(兆・占・卜の内容)」と意義が近い。
   もともとものの前兆・先触れという意味になる。
   「うらもなく吾が行く道に 青柳が萌(は)りて立てれば
    もの思(も)いひづつも

 
   (何気なく私が行く道に、柳が芽吹きだしていたので
     忘れていた恋を思いだしたよ――「万」・巻十四・三四四三)
 

★正式・本物でない意より借り物、いえば物の「先触れ」の意味でもよかった。            
   「初尾花 はなにみむとし 天の川へなりにけらし 年のを長く」
     (初(※)尾花ではないが、一夜妻として会わせようと長年天の川が
      邪魔しているのに違いない――「万」巻二十・四三〇八)
         
      (※尾花=ススキの別名・ススキの花穂・ハナススキ)
           ホススギ・ハナススキが、同じものであることを考え合わせればわかる。
     「見る」は会う、交接するの意。

  「雪」・・・稲の花(雪は豊年のシルシとする)と見立てている。
  「柊」・・・立ち樹のまま冬祭りの鎮魂歳に引き抜いてくる。
       冬花が咲くその咲き方や柊の梢で大地をついて占った。

  三月は桜が代表、卯月(四月)には「卯の花」、五月には「皐月(さつき)」
  「躑躅(つつじ)」、などなど村から山の花々を遠く眺めて稲の稔りを占い、
  花が早くに散ってしまうと大変なので「花鎮祭(はなしずめまつり)」が行われた。

  「柳」・・・垂れ枝が多く根のつきやすいもので、一種の花である。
       この枝の多いところから正月の飾り物は、すべての花に見立て
       られる(餅の花・花の木・繭玉・若木・作り物など)。 
       このような(削り花・削り掛けなど)のもとの姿は、仙人のついて
       来た杖の先のささけたもので、それが「花のしるし」になった。

  「卯杖」・・・土地をつつきまわるとその先の方がささけ、
       根は土の中でつく。このささけが花のしるしとなる。

  「簓(ささら)」・・・卯杖と同じように竹でしたものをいう。
          簓も一種の占いの花で、葬式などには髯籠(ヒゲコ)
         をつくる、その先の分れ形で占う。

★「粉」=「ハナ」と呼ぶ。
   色が黄色なのを稲の花に見立てての予祝い。
   「タカハナ」・・・田植えの日に必ず飯にコガシ(=キナコ)をふりかけ食う。
   「稲の花」・・・東北地方ではたいてい炒り豆の粉のことをいう。

★「花アテ」・「山アテ」(=山野の花を見て耕作の時期を感じる)
   「田の花」=紫雲英(げんげ)・・・ハナとも呼び、田の花の略。
   「辛夷(こぶし)」=タネマキザクラ・・・播種の頃を知らせるもの。

★最短・先端・最初の意義の「ハナ」
   「ハナザル」・・・「猿のボス(指導者)」のこと。

★神聖なもの、または行事用
   「花占」・・・梅や桜の花が横向きに咲けば強風、下向きに咲けば雨、
          上向いて咲けば晴れなど。
   「赤い花」・・・光る花と感じ、神・精霊のものとする。
          (梅や桜の花をみだりに家の庭に植えることを禁じる所もある)
           「菫(スミレ)」「鳳仙花(ツマグレ)」

★蘇生・復活・転生の招代・・・魔よけの呪力をも含む
   「色のある花」・・・後には仏様に手向ける花となる。
         「秋風や むしり残りの 赤い花」(一茶句集)
        「手向くるや むしりたがりし 赤い花」(一茶句集)
              色のある花は仏様に手向ける花なので、
              一茶が愛娘にねだられても与えなかった。   
   「花輪」「花籠」・・・身体が離れた霊魂(先天魂・後天魂)が戻る。
 

   これらのものが神の憑代に一転すると、
   神の意思を示すことになり、邪霊は怖れて寄ってこない。
   神を招ぐ折の花は、その作法をするものの象徴となる。
   早処女はツツジをかざし、禊の女は藤の花房を身につけていた。
   

 

 

  『日本民族語大辞典』文学博士石上堅:著(桜楓社)参照




 

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