アートセラピー「心のお絵かき」の世界

アートセラピストで妻で母で女の、楽しく豊かでゆるい人生後半日記。

体調不良も治すドガの絵

2009-08-14 15:32:23 | 美術・芸術
すばらしい作品にふれると、体が勝手に反応するワタクシですが、本当に一瞬で
体調不良をぶっ飛ばしてくれた、ありがたーい絵があるんです。

一昨年の秋、知人を訪ねてひとりパリまで行きました。

お家が大好きで、たいがいのことは徒歩圏内ですませ、最寄りの鉄道の駅まで
行くのもおっくうな私が、パリまでひとりで行くなんて、ちょっとありえない
できごとでした。

だから、緊張と疲労で、パリではイマイチ体調不良の日々でした。

パリに着いてから3日目、それでも、朝もはよからオルセー美術館に行きました。
でも、なんか頭がぼーっとして、体もだるい。

「あー、なんでヨーロッパの建物は、どれもこんなにでかいのかしら。」
といくつもの展示室を歩き、へろへろの息でたどりついた部屋には、有名なドガの踊り子の絵が、
何点も飾ってありました。

ドガの踊り子の絵。
それこそ、美術の教科書には、ほぼ絶対のってるよね。

だから、ずっと前から知ってる。
でも、私にとってドガは、昔のルノアール以上に「良さがわからない」「好きじゃない」絵でした。

だいたい、舞台の照明に照らされた踊り子の顔が、ぼうっと青白くて、舞台や衣装とのコントラストが
きつすぎて、気味が悪かったです。

「こんな絵の、どこがそんなに美しいの?」
と、ずっと思ってました。
本物を見るまでは。

が、へろへろの息で、ドガの踊り子を見た瞬間
「えっっ、なにこれ 教科書で見たのと、全然違うじゃん

息をのむように美しいのです。
ものすごく繊細なの。

踊り子の衣装の、軽くてさやさやした感じとか、舞台の空気とか、観客席の息づかいとか、
そういうものまで伝わってくるような、すごい絵なの。

それだけの力があって、しかも薄い薄いレースみたいに繊細に描かれた絵だったのです。

この「空気」を印刷で伝えるのは難しいから、鈍な私が、ドガのすばらしさを
長い間わからなくても仕方ないよねぇ、と思ったのでした。

そして
「ううう・・・むむむ・・・いいわぁぁぁ・・・超好きかも・・・!!」

と感動しているうちに、ずっと続いていた体調不良は全く消えて、もう元気いっぱいになり、
その日一日、がんがんパリを歩き回ったのであります。

名画は身体を癒す。
これ本当の話です。