登録番号 第19号 下関ふく
特定農林水産物等の区分 第10類 魚類 ふぐ
特定農林水産物等の生産地 山口県下関市及び福岡県北九州市門司区
登録生産者団体 下関唐戸魚市場仲卸協同組合
特定農林水産物等の特性 「下関ふく」は、ふぐ類の中でももっとも美味であることから古来より下関でふぐ食文化の中心をなすとらふぐを、下関で確立され最高のふぐ料理を完成させる基本となる「活かし込み」、「みがき処理」の一連の行程により、「みがきふぐ」としたものである。
その特性は、活魚で入荷したとらふぐを活魚水槽や生け簀において「活かし込み」を行うことにより身質が引き締まっていることと、鮮度を損なうことなく除毒等を行う高度な技術を有するふぐ処理師の「みがき処理」によって保たれた鮮度にある。
また、全国各地の漁場・養殖場から年間を通しとらふぐが集荷され、その供給も安定している下関で、様々な産地のとらふぐを扱った経験を有する「下関ふく」生産業者の目利きによる品質評価の信頼性は、特定の産地のみを扱う他の地域の追随を許さない。
特に「下関ふく」生産業者が長年にわたって取引先との信用を蓄積してきた理由には、全国から集荷したとらふぐの中から最上級のものを選別して届けてきたことが最も重要な点である。確かな目利きによって選別された最上級のみがきふぐは、最高級のふぐ料理店を納得させる身質と鮮度を保持し、全国の高級ふぐ料理店に直接届けられるか、東京都中央卸売市場の卸売業者(荷受け)に「特A」ランクとして届けられている。
このように全国各地からのとらふぐの集荷と「下関ふく」生産業者の確かな目利きによって、最上級の天然とらふぐから養殖とらふぐまで、用途や品質など全国のふぐ料理店及び流通業者、消費者のニーズに応じたみがきふぐを出荷できる点も「下関ふく」の特性となっている。
『養殖フグの流通に関する調査研究(2009年10月全国海水養魚協会、下関水産市場研究会)』には、「築地卸によれば、(中略)また、他産地物は色合いや品質が不安定であるのに対し、下関産は加工技術の高さはいうに及ばず、荷捌きの早さ、集荷・品質の安定性が高く評価されている。こうした評価差は価格にも反映され、下関産は他産地物より1~2割方高水準にあるという。」と記載され、「下関ふく」が市場評価を得ていることが示されている。
また、「下関ふく」生産業者が交代で担当して、毎年2月に4宮家5カ所(常陸宮家、高円宮家、秋篠宮家、三笠宮家、三笠宮東邸)へ「下関ふく」を使用したふぐ刺しの献上を行っている。この行事も2015(平成27)年で27回目となった。こうしたことも「下関ふく」の社会的な評価につながっている。
地域との結び付き -
*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/19.html より
「下関ふく」は、日本近海の漁場で漁獲された天然とらふぐ又は国内各地の養殖場で養殖されたとらふぐを、下関で確立された「活かし込み」および「みがき処理」と呼ばれるの一連の行程により、「みがきふぐ」としたものです。活魚で入荷したとらふぐを水槽等で「活かし込み」を行うことにより身質が引き締まっていることと、「みがき処理」と呼ばれる除毒作業を高度な技術を有するふぐ処理師が行うことにより鮮度が保持されていることが、「下関ふく」の特徴となっています。
また、下関には日本の各地の漁場や養殖場から年間を通してとらふぐが集荷され、その供給も安定しているため、「下関ふく」の生産業者は様々な産地のとらふぐを扱った経験を有することとなり、目利き(魚の品質を見分ける)の力は極めて信頼性が高く、特定の産地のみを扱う他の地域の追随を許しません。
「下関ふく」の生産業者は活魚の状態で下関市地方卸売市場南風泊(はえどまり)市場に入荷したとらふぐを仕入れて、生産業者が生産地内に有する水槽等で1日~4日程度活かし込みます。これは移送によって生じたふぐのストレスを除去するとともにとらふぐの体内に残った餌や老廃物を体外に出し、絶食させて身を引き締めるためです。また仕入れたとらふぐの状態や傷・病気の有無もこの間に観察して、引き上げて捌く時期を判断します。
そして状態の良いとらふぐだけを選別して、活魚の状態で生産地内の各「下関ふく」生産業者の処理場に移し、ふぐ処理師によるみがき処理を行います。みがき処理とは除毒処理と除毒したとらふぐを拭き上げ、出荷に至るまでの行程です。除毒処理は、とらふぐが持つ卵巣、肝臓、腎臓、心臓、胆のう、胃、腸、脾臓、えらといった有毒部位を除去するために、包丁による捌きと目視による水洗いを行う作業で、ふぐ処理師には熟練した技能が求められます。
またみがき処理においては、鮮度保持のための温度管理が非常に重要であり、処理場内を概ね気温20度以下に保持することが基本ですが、加えて、捌いたふぐをすぐに氷冷水で洗うなどの方法も採用されています。
もともと下関はとらふぐの産卵地が近海にあり、また、とらふぐが回遊する日本海と瀬戸内海をつなぐ関門海峡を有していることなどから天然とらふぐの産地であり、古来よりふぐ食文化の発達した地でした。その後、漁法の変化とともに漁場が移ってからも、東シナ海、黄海、日本海、瀬戸内海などで漁獲されたふぐを集荷しやすい地理的な優位性を持ち、ふぐ食文化の中心地であったため、天然とらふぐの一大集積地であり続けました。1970年代に養殖とらふぐが登場し、多くの活魚水槽を備えた南風泊市場や近隣に水産加工団地が整備されたことにより、下関に集荷される基盤が形成され、日本で一番の集荷を誇る流通の要所となりました。
日本の各地から南風泊市場に入荷したふぐは、「下関ふく」生産業者が長年培った目利きの力を発揮できるように漁師(漁船)や養殖業者毎に大きさが細分化され、競り落とされます。
このようなふぐの食文化と流通の集積がなされていた下関において、活かし込みやみがき処理の技術は他の地域に先んじて確立されてきました。
*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/19.html より
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