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<伝統野菜> 長崎 雲仙こぶ高菜 -追記あり-

2024-03-19 08:31:25 | 伝統野菜

 「雲仙こぶ高菜」

 ■伝統野菜「雲仙こぶ高菜」の復活
 1947年頃から雲仙で栽培されていた「雲仙こぶ高菜」は、シャキシャキとした食感やそのおいしさから全国で普及していました。しかし、収量性が低く交雑性が高いことなどから次第に生産されなくなり、やがて衰退していきました。
 こうして原種がなくなったと思われていた「雲仙こぶ高菜」ですが、自家菜園で種を採り続けていた地元農家がおられました。地元で有機農業に取り組む岩崎氏はそのことを知り、「地域の特産として復活させよう」と呼びかけ、平成15年7月、地元生産者、農産加工組合、青年農業者、県の農業改良普及センターなどが集結。「雲仙こぶ高菜再生プロジェクトチーム」が立ち上がり、復活への活動が始まりました。

 ■日本初の「プレシディオ」認定
 プロジェクトチームの「雲仙こぶ高菜」は有機栽培によるもので、厳しい栽培規定のもと、原種の維持や環境と調和した生産に取り組んでいます。生産履歴の提示を義務付け、抜き打ちで検査をするなど、その取り組みは徹底しています。
 これらの取り組みが実を結び、平成20年には地域の活性化につながる伝統的で希少な食材として、スローフード協会国際本部(※)の最高位「プレシディオ」に、日本で初めて認定されました。そして同年10月、イタリアのトリノで開催された「食の祭典(サローネ・デル・グスト)」に出店し、世界各国から集まった参加者に「雲仙こぶ高菜」をPRしました。
 ※伝統的な食文化や食材を守り伝える活動を世界中で広めているNPO。

 ■「雲仙こぶ高菜」の特徴
 特徴は、葉茎にできる白い大きなこぶです。こぶが大きくならなかったり寒さで割れてしまうため、こぶを大きくきれいに形成させることは、栽培上の難しい点と言えます。また、葉がやわらかくアクも少ないため、生で食べられることも特徴のひとつです。

 ■「雲仙市伝統野菜を守り育む会」の取り組み
 プロジェクトチーム発足当初の生産者はわずか2~3人でしたが、活動が地域へ浸透していき、現在の生産者は11人、約1ヘクタールのほ場で約6トンが生産されています。プロジェクトチームは、プレシディオの認定を機に「雲仙市伝統野菜を守り育む会」へ再組織化され、現在、販路の拡大やPR活動、レシピの開発などに取り組んでいます。
 育む会のメンバーである農事組合法人守山女性部加工組合では、本物を追求し丹精込めて栽培した生産者の思いを消費者に伝えるため、素材を生かした味づくりを理念に、加工・販売を行っています。通年味わうことができる「雲仙こぶ高菜漬け」は添加物を一切使用せず、長崎産の釜炊き塩で漬け込みます。生鮮での調理法だけではなく、この高菜漬けを活用したアイデアメニューも考案し、消費者においしさを伝えています。また、こぶが割れたものや外葉はドレッシングに加工したり、新たな商品開発も行っています。
 そのほか、首都圏などでのワークショップ開催や地元小中学校へのゲストティーチャー、グリーンツーリズム体験の受け入れなどを行っています。デパートなどでの店頭販売時には、単に試食してもらうだけではなく、自分たちの取り組みや熱い思いを伝えています。
 最近ではさまざまなメディアに取り上げられるようになり、「10年かかってようやくここまでこれました」と嬉しそうに話してくれた守山女性部加工組合の馬場代表。一人でも多くの方に知ってもらい「雲仙こぶ高菜」を定着させていくことが、今後の目標です。

 ■産地から一言:おすすめの食べ方
 12~3月の期間は、生の「雲仙こぶ高菜」を楽しむことができます。そのままサラダにするほか、油との相性が良いので油炒めにするなど、シャキシャキとした食感をお楽しみください。
 素材を生かし、天然の塩にこだわって漬け込んだ「雲仙こぶ高菜漬け」は、浅漬けなら天ぷらに、本漬けなら細かく刻んでパスタと和えて食べるのがおすすめです。

 ○「雲仙こぶ高菜のオイル蒸し」の作り方
 ①雲仙こぶ高菜生菜(250~300グラム)を3~5センチに切る。②火にかけたフライパンに①を入れ、塩2グラムをふる。③火が通ったのを見計らってオリーブオイルをひとさし絡め、だし汁大さじ2を加えて蒸す。お好みで2~3分で出来上がり。

 お問い合わせ先:農事組合法人守山女性部加工組合

*https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/iroiro/1203_iroiro.html より

 

 「雲仙こぶ高菜」

 【生産地】雲仙市吾妻町

 【特徴】葉は濃緑で葉柄は巾広く、中肋(ちゅうろく)という葉の中央を縦に通っている太い葉脈の部分に白い大きなコブが突出するのが特徴。こぶが大きくならず寒さで割れてしまわないように、大きくきれいに形成させるのが栽培上の難点である。

 【食味】主に漬物用。柔らかくアクが少ないため生食用にも向く。若菜は独特の辛味があり、生育が進んだこぶはほのかな甘みを持つ。シャキシャキとした食感

 【料理】秋まき、漬物用。

 【来歴】1947(昭和22)年頃、雲仙市吾妻町で種苗店を営んでいた峰眞直氏が、中国より種を持ち帰ったのが始まり。雲仙地方の風土や食文化に適合するように改良・選抜し、独自の地域種、地方品種として育成したものである。1960(昭和35)年頃までは雲仙市などで盛んに栽培され、漬け物や炒め物など地域の食文化を支えていた。しかし、その後は三池高菜(みいけたかな)などに比べ収量が低い、交雑性が高いなどから次第に生産が減少した。峰氏の死去も重なり、人々の記憶から消えかけていた。

 原種がなくなったと思われていたが、自家菜園で種を採り続けていた地元農家が居たため、地元で有機農業に取り組む岩崎政利氏が復活を呼びかけ、2003(平成15)年7月、地元生産者、農産加工組合、青年農業者、県の農業改良普及センターなどが集い「雲仙こぶ高菜再生プロジェクトチーム」を立ち上げ、復活への活動を開始した。プロジェクトチームの栽培は有機栽培によるもので、生産履歴の提示を義務付け、抜き打ちで検査をするなど、厳しい栽培規定のもと、原種の維持や環境と調和した生産に取り組んでいる。これによって、2008(平成20)年には、地域の活性化につながる伝統的で希少な食材として、スローフードジャパンの「味の箱舟」に認定。さらに日本で初めてスローフード協会国際本部(※)の最高位「プレシディオ」に認定された。

 ※伝統的な食文化や食材を守り伝える活動を世界中で広めているNPO。

 【時期】12月~3月

*https://tradveggie.or.jp/42-nagasaki/#i-8 より


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