ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『 日本が軍事大国になる日 』 - 35 ( 危機意識ゼロの日本 )

2022-03-19 21:24:59 | 徒然の記

 「多文化共生社会の実現」という言葉が、政府関係機関から発信され、マスコミが盛んに報道するようになったのは、いつからだったのか。

 前回に続き、この点について述べます。先に紹介した政府広報の続きがあります。

 「 2005 ( 平成17 ) 年6月に総務省は、〈多文化共生の推進に関する 研究会〉」を設置。」

 説明が40年前の昭和55年から大きく飛び、平成17年になっています。そうなりますと、小泉内閣の時です。

 「 国が、地方自治体の多文化共生への取り組みを積極的に支援し、」「外国人労働者の労働環境、外国人児童生徒教育、」「外国人登録制度等の、国の各制度の見直しを図ってきた。」

 この頃よく聞いた言葉が、「少子高齢化社会」でした。「日本は働き手がいなくなるから、外国人を受け入れなくては経済が成り立たなくなる。」・・テレビと新聞が毎日のように報道し、有識者と言われる学者や評論家が、外国人の受け入れが必要だと説明していました。

 次の文章は、JICA ( ジャイカ )の 広報だったと思います。

 「一方、国際協力への理解の促進を目的とした市民参加事業、」「国際理解教育の分野などを中心に、 国内における事業は拡大している。」

 「自治体や国際交流協会などからの期待も大きく、今後の事業の見直しの行方についても関心が高い。」

 外国人受け入れの動きが、全国各地で始まっていることを伝えています。民族問題で苦しんでいる、東南アジア諸国の話はどこにも出てきません。なんとなく格調の高い、ジャイカの説明が続きます。

 「人口の国際移動への関与という国際協調の側面からも、地域社会の持続可能な発展の側面からも、」「多文化共生社会の形成に関与する、組織の存在が求められている。」

 「国際的な視野に立って事業を展開し、また過去に移住事業にも関与し、」「既に多くの人材を、国内の多文化共生分野に排出している事業体は、」「今後どのような方向に進むかにかかわらず、当該分野に与える影響が大きい。」

 「 多文化共生への関心が高まるこの時期に、国内事業の見直しを迫られていることを踏まえ、」「ユニークな視点から、役割を果たしていくことを期待したい。」

 関係する役人の作文だろうと思いますが、分かったような分からないような、それでいて気を煽られる不思議な文章です。あれよあれよという間に、法律が制定、改正されていったことを思い出します。

  ・外国人研修員制度  平成5年制定

             平成14年改訂時 研修員受入れ実績 約23万人

             平成15年改訂時 研修員受入れ実績 約27万人

             平成28年改訂時 研修員受入れ実績 約75万人 

  ・観光立国推進基本法 平成18年    観光客 1000万人目標

  ・移民法 ( 改正入管法  ) 平成30年    移民 1000万人目標

 「日本を取り戻す」といった安倍総理が、在任期間中に、「日本を崩壊させる法律」を次々と成立させています。令和3年6月の出入国管理庁の広報には、次のような説明があります。

 「令和3年6月末の在留外国人数は,282万3,565人で 、特別永住者数30万441人が含まれています。(  国別構成比は、次の通りです。)

     中    国          74万5千人    26.4%
 
        ベトナム              45万人      15.9%   
 
        韓 国                  42万人      14.7%

        フィリピン       27万7千人      9.8%

        ブラジル           20万6千人      7.3%

        ネパール                9万7千人     3.4%

        インドネシア        6万3千人     2.2%

         台  湾            5万2千人     1.8%

         タ  イ            5万1千人     1.8%

 平成21年に60才の若さで亡くなった江畑氏は、こうした日本の動きをどのように眺めていたのでしょうか。次回は氏を偲びながら、入国管理庁のデータをもとに、考えてみたいと思います。

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『 日本が軍事大国になる日 』 - 34 ( 民族問題 )

2022-03-19 14:12:10 | 徒然の記

 ビルマに住む、少数民族ロヒンギャ族についての続きです。

 ロヒンギャ族全体は、およそ100万人だそうですが、現在周辺国に下記のように分散して住んでいます。ビルマに住む約20万人を合わせますと、およそ100万人になります。

  バングラディシュ 40万人

  インド         1万4千人

      タ イ      10万人
 
  マレーシア     4万人
 
    パキスタン    20万人
 
 ロヒンギャという言葉自体が、蔑称として使われているため、国際赤十字では「ロヒンギャ」という表現を使用しないとしているとのことです。どこかジプシーという言葉に似ています。イタリアに観光旅行をしたとき、現地のガイドが、ジプシーは油断のならない悪い奴だから近寄らないようにと、激しい言葉で注意しました。眉を顰め、嫌悪の表情で話すのを見て、民族問題のとげとげしさを感じました。

 おそらくロヒンギャの人々も、ミャンマーではそんな存在としてみられているのかもしれません。世界のあちこちに住む少数民族の人々は、過去に傑出した指導者がいなかったせいなのか、国を持たないが故の辛酸を舐め続けています。

 自衛のため集団で暮らし、共同体を作り周辺の他民族と融和せずに暮らしています。宗教と生活習慣が異なるのですから、言葉の違いもあり融和する前に対立が生じ、互いに嫌悪を募らせてしまいます。

 東南アジア諸国の実情を知らない私たち日本人は、異民族問題について深く考えていません。日本を崩壊させる「日本国憲法」を、「平和憲法」と有り難がっている人々が多い状況と似たものがあります。

 差別されている民族は可哀想だ、同じ人間だから仲良く暮らせばいいじゃないかと、多くの善意の日本人が考えます。

 「多文化共生社会の実現」という言葉が、政府関係機関から発信され、マスコミが盛んに報道するようになったのは、いつからだったのでしょうか。政府広報の一部だと思いますが、次のような記事を見つけました。

 「地方自治体では、1980 ( 昭和55 ) 年代後半から、」「『1.国際交流、 2.国際協力、3.多文化共生』を目標に掲げ、地域の国際化を推進。」

 昭和55年といえば、今から40年前の大平内閣の頃の話です。しかしマスコミが盛んに報道するようになったのは、平成時代になってからのような気がします。東南アジア諸国の困難な状況を予備知識として、次回はもう少し日本の民族問題について考えてみたいと思います。

 憂国の思いを持つ方々は、ぜひ次回も「ねこ庭」へお越しください。

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