ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

電力問題について - 3 ( 世界と日本の原発 )

2022-03-26 22:12:15 | 徒然の記

 大きな原発事故は、福島の前に2つありました。アメリカのスリーマイル島、ロシアのチェルノブイリで、いずれも世界を震撼させた放射能災害です。福島がさらに注目を浴びたため、これを機に「脱原発」の世論が世界規模で高まりました。

 電気が、人間にとって不可欠のエネルギーというのは事実ですから、「再生エネルギー」が拡大進展すれば話が変わるでしょうが、今は選択肢が3つしかありません。「化石燃料」、「原子力」、「再生エネルギー」、どれかを減らせば、どれかを増やさなくてなりません。

 人間の生存に不可欠なものは、同時に国の安全保障にも不可欠です。「食料」「電気」「水」など、安全保障に直結する資源には、めざとい国際資本が手を伸ばし政治と結びつけます。

 米国の大統領選挙時のマスコミ報道や、ウクライナ侵攻に関するロシアのニュースを見た経験からしますと、国家的規模でなされるプロパガンダは真偽不明です。誰が事実を伝えているのか、どの報道を信じれば良いのか判断がつきません。

 電力問題に関する報道も、似ています。権威のある機関が学者の意見を紹介しますが、依って立つ場所が違うと正反対の説明を伝えます。

 「武漢コロナ」騒動では、国際機関も当てにならないことを教えられました。中国の力に屈したWHOは、中国に忖度し事実を報道する邪魔をしました。中国の対応を称賛し、中国政府に見習えとまで言いました。

 「電力」・「エネルギー」問題についても政治がからむと、誰の意見が正しいのか庶民には判断できないのだと、そんな気がしています。諦めているのでありませんから、本題へ戻り最後の項目を紹介します。

  〈 日本の原発稼働状況 ( 令和4年   ) 〉  原子力規制委員会

                       運転中     4基

                         停止中   26基    

                   廃   炉   24基   計 54基   

 これを見ますと、日本の原発の総基数は54です。しかし前回紹介した日本原子力産業会のデータでは、33基となっていました。

      4      日本          3,308.3 ( 万KW )        33 基

 日本原子力産業会のデータは一年前のものですが、たった一年でこの違いが生じたのでしょうか。専門家の説明を読みますと、原子力船「もんじゅ」の発電機や、研究用の東海村の原発を加えたり除外したり、いろいろあるようです。

 国家的な重要問題であるだけに、情報も微妙な取り方があり、私たち門外漢が判断する難しさを教えています。

 おそらく私もそうなのでしょうが、原発肯定、反対の立場に立つ人間が、自分に都合の良いデータを使い、各自意見を述べているのではないでしょうか。経産省の荻生田氏を曖昧だと批判しましたが、「電力問題」については、現時点では世界中が曖昧です。

 その良い例が、2月3日の産経新聞の報道でした。

 「原発の必要性を激しく議論する、賛成派と反対派両方を動揺させるニュースが、欧州から飛び込んできた。」「EUが、原発を地球温暖化抑制につながる〝グリーン〟な投資先として認定する方針を、打ち出したのだ。」

 「EU欧州委員会は2月2日、原発について、低炭素社会への移行を促進する手段としての役割があると指摘。環境に配慮した投資を促すため、グリーンな投資先を認定する「EU分類」のリストに、原発を追加する法案を示した。」

 さすがの産経新聞も驚いたらしく、記者の感情をそのまま記事にしています。

 「東京電力福島第1原発事故を経験した日本からすれば、原発とグリーンは到底結びつかない。」

 「しかしそこには、自国の利益のためには環境問題ですら利用する、欧州のしたたかさがかいま見える。」「外交を苦手とする日本は、心してかかる必要がある。」

 国益が絡むと、他国は簡単に豹変する・・要するにこういうことです。「脱炭素社会」の優先を決め、原発利用を元に戻すのですから、私は産経新聞と違った見方をします。「欧州はしたたか」なのでなく、「欧州は右往左往している」のです。

 日本が混迷していて、なんの不思議もありません。

 「原発肯定とか、反対とか、喧嘩でもするような議論をやめましょう。」「どちらが間違っているわけでもないのですから、現実を踏まえながら考えましょう。」

 これが私の現時点での結論であり、反対する人々への提案でもあります。

次回はまた、江畑氏の著作に戻ります。

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電力問題について -2 ( 世界と日本の状況 )

2022-03-26 16:51:00 | 徒然の記

 電力問題の基礎知識として、以下の5項目をあげ3項目が終わりました。

   1. 再生 ( 可能 ) エネルギーとは、何を言うのか

   2. グリーンエネルギーとは、何を言うのか

   3. バイオマス発電とは、何を言うのか

   4. 世界各国の原発の状況は、どうなっているのか

   5. 日本の原発の状況は、どうなっているのか

  今回は原発の稼働状況について、社団法人・日本原子力産業会と原子力規制委員会の資料から、データの一部を紹介します。

 まず、世界の原子力発電所の稼働状況ですが、令和3年1月のデータです。世界の原発を全て網羅し、建設中、計画中の基数も書かれていますが、運転中のもの以外を割愛しました。経済力のない国や人口の少ない国は原発が3基~1基なので、主要15ヶ国に絞りました。

  〈 世界の原発稼働状況 ( 主要15ヶ国   ) 〉 (社) 日本原子力産業会

                 出力 ( 万KW )            基数

     1      米国                     10,035.3                  94

     2     フランス                6,404.0                  56

     3     中国                       4,987.8                   48

      4      日本                     3,308.3                   33

     5      ロシア                  2,931.1                     34 

     6      韓国                      2,341.6                    24

     7      カナダ                   1,451.2                    19

     8      ウクライナ           1,381.8                    15

     9      英国                      1,036.2                    15

   10      ドイツ                     854.5                      6

   11       スペイン                 739.7                      7

   12      スウェーデン           707.1                      6

   13       インド                      678.0                  22

   14        ベルギー                 622.9                   7

   15         台湾                       401.9                     4

 仮に原発を20基以上持つ国を「原発大国」とするなら、アメリカ、フランス、中国、日本、ロシア、韓国の順になり、英国とドイツが、思っていた以上に少ないのが分かりました。インドは22基ありますが、出力 ( 万KW )  を見ると、数が多くても小型の原発だということが推測されます。

 平成23 ( 2011 ) 年に福島原発事故が発生した時、段階的な「脱原発」へと政策変更した国が、スイス、ドイツ、スペイン、ベルギー、台湾、韓国でした。上記の表で、緑色に表示しています。

 息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に、明快な答えを紹介できる思いましたが、困難であることが分かりました。

 脱原発もさることながら、現在世界でもう一つの大きな潮流があり、それが「地球温暖化防止」と「脱炭素社会」です。プーチン氏のウクライナ侵攻により、「エネルギー安全保障」の問題もクローズアップされました。

 これらを抜きにして原発問題が、語れなくなっています。

 原子力、火力、再生エネルギーを比較する「発電コスト」についても、賛成・反対の立場が異なると、計算方法が異なることも分かりました。

 スペースがなくなり、次回を追加することにしましたので、関心のある方は足をお運びください。

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