今日から139ページ、シンガポール軍に関する江畑氏の説明に入ります。
けれどもやはり、ウクライナの情勢が書評を妨げます。NHKの報道だけでなく、多くの識者と言われる人々が、プーチン大統領を批判しています。中には狂気の独裁者、ナチス・ヒトラーと評する人物もいます。
ロシアには核があると脅したり、原子力発電所を攻撃したり、とんでもない言動をする大統領ですから、黙っているわけにいきません。ただ私が日本のマスコミや評論家と違うところが、一点あります。
「ウクライナに、最初に手を出したのは、EU諸国と米国ではなかったのか。」
彼らがこの微妙な位置にあるウクライナに、NATO加盟を積極的に働きかけなければ、今日の騒動はありません。最初の一線を超えたのは、「バランスオブパワー」を常に考え、現実的政治をしてきたはずの米国とEUの政治家たちです。
NATO加盟を働きかけたせいで、ロシアが懸命な反撃をしているのですから、彼らはウクライナのために、軍事行動をしてでも支援する責任があります。
「ロシアには核がある」と言われて、腰砕けになるようなら、最初から手出しをしなければ良かったのです。日本ではマスコミだけでなく、政治家が首を揃え、欧米諸国のプーチン批判をそのまま鵜呑みにしているところに、疑問を感じています。
客観的な目で見れば、プーチンのロシアも、米国とEUの政治家も、世界平和を破壊する張本人です。欧米の論調がそうだからと言い、一方的なロシア批判だけで済まそうとする日本の姿が残念でなりません。
「ロシアには核がある」と脅されたら、「こちらにも核がある」と応じ、ウクライナへの軍事支援をすべきでした。これこそが、政治家にしかできない決断であり、覚悟です。当然一蓮托生の全面核戦争となり、人類の破滅への道につながります。
しかしロシアが、それでもなお核攻撃を主張できるでしょうか。むしろプーチン大統領のロシアは、ウクライナ問題で最初から追い詰められているのでは無いかと、そんな気がしてなりません。
私の意見に反対の方もおられると思いますが、ここまで述べたところで、氏の著作の139ページへ戻ります。
「2020 ( 令和2 ) 年までに、シンガポールを世界の先進国の地位につかせると言う目標が、」「達成される可能性は高いと、見られている。」
「特に2005 ( 平成17 ) 年に、全てのオフィスと住宅を、」「光ファイバー通信網で結ぶという国家計画は、世界に先駆けるものとして注目を集めている。」
辛口の批評をする氏が、シンガポールを評価しています。しかし問題は、次の説明です。
「もっともこれはシンガポールが、面積が632.6平方キロ、」「人口280万人弱のミニ国家であるからこそ、可能な話でもある。」
淡路島と同じくらいの国土面積で、むしろ都市国家だとそのように思っていましたので、氏の説明にうなづきました。参考までに、世界で有名な小国と呼ばれる他の国について、調べてみました。
・シンガポール 面積 632.6 平方キロ 人口 280 万人
・トンガ王国 面積 748.5 平方キロ 人口 10.6 万人
・ブルネイ王国 面積 5,765 平方キロ 人口 43.7 万人
・バチカン市国 面積 0.44 平方キロ 人口 809 人
・サンマリノ共和国 面積 61.2 平方キロ 人口 3,394 万人
・モナコ公国 面積 2.02 平方キロ 人口 3,924 万人
・リヒテンシュタイン公国 面積 160.5 平方キロ 人口 3,814 万人
参考になったのかどうか自信がありませんので、氏の著書に戻ります。
「地域的小ささが、この国の弱点になっている。」「戦略的縦深性がなく、食料のほとんどを輸入に頼っている。」「それどころか水の供給も外国依存で、これがシンガポールの大きな弱点とされてきた。」
「主たる供給源はマレーシアで、もし両国関係が悪化したら、」「水の供給を断たれるだけで、マレーシアに屈しなければならなかった。」
隣り合った国というのは、兵器ばかりでなく、水や食料が同じ役目をするのだと、教えられます。水は良いとしても、食料自給率の低い日本は大丈夫なのでしょうか。
「1992 ( 平成4 ) 年」シンガポールは、インドネシアとの間に、」「水資源供給の協定を結んだ。」「インドネシア領ビンタン島から海底パイプラインを使って、供給される。」
協定の期限は100年間で、水資源開発はシンガポールの資金と技術で行われ、浄化された水の半分を、シンガポールが輸入するというのです。足元を見透かされたような協定で、国同士の関係が甘くないということを、ここでもまた教えられます。シンガポールが必要とする水は、一日およそ100万トンだそうです。
こうしたシビアーな国々の関係を見ていますと、日本も中国や韓国に一方的に批判・攻撃されるのでなく、経済面から反撃すれば良いのでは無いでしょうか。スーパーや安売り店での商品は、中国・韓国製品で溢れていますが、食料品や雑貨など不買運動をすれば良いのです。
国内品を使おうと政府が奨励すれば、多少高くでも多くの国民は我慢するはずです。政治家が黙っているから、知らない国民が多数を占めている訳で、マスコミと政府が本気になれば、中国・韓国商品の不買ができ、彼らにもダメージを与えます。ここの点を見ても、自民党内にいるリベラル議員を含め、いかに政治家が国益を考えていないのか、分かろうというものではないでしょうか。
氏が教えてくれる、アジア諸国の切迫した状況を知りますと、日本の呑気さと安易さが浮き彫りになります。次回は、シンガポール軍に関する説明ですが、日本を大切にする方は、ぜひ「ねこ庭」へ足をお運びください。