ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

学びの「ねこ庭」からの提案 - 4 ( 先の大戦をどう考えるか )

2024-02-01 16:43:42 | 徒然の記

 〈  2. 学びの庭である「ねこ庭」では、先の大戦をどのように考えているのか。〉

 先の大戦は参加した国の数と、ヨーロッパ、アジア、太平洋と戦争地域の広さからして、第二次世界大戦と呼ばれるのが正確なのかもしれません。ヨーロッパを外した太平洋戦争は米英ソの見方で、大東亜戦争は日本政府の捉え方だと思います。

 昭和20年8月15日に終わった戦争だけを指すのなら、「ねこ庭」では呼称に拘りません。しかしこの戦争を総括し、戦争の意味を考えるというのなら、「東亜百年戦争」と言わなくては本質が見えないと考えています。従って、「ねこ庭」での解釈は次のようになります。

 ・第二次世界大戦と太平洋戦争と大東亜戦争は、「東亜百年戦争」の一部である

 ・「東亜百年戦争」とは、日清戦争、日露戦争を含む一連の日本防衛戦争である 

  『坂の上の雲』の著者司馬遼太郎氏は、日清・日露戦争時の日本を称賛しますが、昭和の日本は否定しています。

  頭脳明晰な氏は徴兵検査で検査官を驚かし、兵卒より優秀な戦車隊へ配属されます。頭が良く弁が立っていましたが、氏は機械音痴で機敏な動作ができなかったため、隊では上官や部下の兵からも軽蔑され、何かあると衆人の前で殴られるという辛い経験をします。

 そんな司馬氏の言葉を、紹介します。

 「私は、昭和十年から二十年までの、きわめて非日本的な歴史を光源にして、日本史全体を照射しがちな癖が、世間にあるように思えてならない。」 

 「繰り返して言うと、昭和の時代に起ったことは、日本の歴史においては特殊なことなのであり、それを基準にして日本史全体を語ろうとするのは、自分の趣味に合わない。」

 ちょっと読むと何を言っているのか分かりませんが、戦車隊での経験が氏の冷静な思考を失わせたことが次の言葉で見えてきます。

 「政治好きで気違いそのままの、政治的空想を持った陸軍軍人は、参謀本部に集まっていた。」「日本は超一流の軍事国家だと思っているこの連中が、この戦車を決めたのである。」「彼らの特徴は兵器開発にあたり、世界の水準よりやや弱いものを選ぶということだった。」

 ここにはもう、「坂の上の雲」を書いた氏はいません。軍人を嫌悪し軽蔑する別人になっています。

 「国際的な兵器の水準に自発的に遠慮をし、日本の兵器の攻撃力は卑小でいいという癖が、ずっとあったことは記憶されていい。」

 「手のつけようの無い侵略妄想の、この権力集団が、いざ兵器となると、技術本部を脅しあげてまで自己の卑小を守り続けたのは、財政の窮屈さという束縛があったからでなく、もともとこの権力集団が、いかに気が小さく、貧乏くさく、国際水準という白日の市場に、自分を晒すことを恐れていたか、むしろ極東の片隅で、卑小な兵器をこそこそと作り、それを重々しく軍事機密にし、世界に知られ無いようにする才覚の方へ逃げ込んだと見る方が、当時の日本の指導者心理を見る上で、当たっているように思える。」

 ネットの世界にはいろいろな人物がいて、私たちに分かりやすいように氏の言葉を解説してくれます。

 「 ごく単純化して言うと、明治維新の英雄たちが作り上げた明治国家、それは立憲制国家といえるが、それを昭和の軍が破壊したということになる。」

 「軍と言っても司馬が指弾するのは、参謀本部の参謀たちのことだ。」

 「この連中が、統帥権という超憲法的な権力を振りかざして、国家を私物化した。その結果日本は、国家としての体をなさなくなった。つまり国家として、合理的な行動が取れなくなった。」

 「そんな国家といえないものが、破滅するのは当たり前のことで、その当たり前のことが昭和という時代に起った。」

 つまり司馬氏の、先の大戦に関する意見は次のようになります。

  ・明治維新の英雄たちが作り上げた明治国家、立憲制国家を、手のつけようの無い侵略妄想の昭和の軍が破壊した

 昭和を否定し、軍人を否定する氏の意見は、氏が著名な作家であるだけに多くの国民が信じてしまいます。ついでなのでもう一人の著名な人物の意見を紹介します。社会派作家として知られた、石川達三氏の言葉です。

  ・太平洋戦争を起こしたのは、明治以来の軍国主義教育が原因だ

 氏の意見は、日本の軍国主義教育への批判と否定です。二人が反日左系の人物であるかどうか詳しく知りませんが、戦争を敗北に導いたのは軍人だという意見が共通しています。

 軍人と軍国主義が憎いという理由で、日本の国まで否定する二人に私は疑問を感じました。当時、日本を取り巻いていた世界の情勢はどうだったのか、陸軍軍人は政治好きで、気違いそのままの政治的空想集団だったのか。

 いわば二人の意見は、敗戦後の日本で反日左翼のマスコミが自虐史観を拡散していた時期に、ピッタリでした。

 「他国を侵略する軍隊は、いらない。」「戦争をする軍隊は不要だ。」「戦争のない、平和な日本を守れ。」

 マスコミが盛んに報道し、反日左翼の学者たちが協力して世論を作りましたので、二人の意見は時流に乗り国民の間に浸透しました。

 そんな日本に疑問を抱く私は、図書館の廃棄図書の中から林房雄氏の著作『大東亜戦争肯定論』を手に入れました。「ねこ庭」で取り上げていますから、二度目になりますが、自由民主党の議員諸氏への諫言の一環として、新たな気持ちで紹介したくなりました。「東亜百年戦争」という表現は林氏の言葉で、私の認識と重なります。

  ・「ねこ庭」では先の大戦を、「東亜百年戦争」と捉えています。

 と、これが今回の答えです。次回は息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に、林氏の「東亜百年戦争論」を詳しく紹介いたします。知っている方は、スルーしてください。

コメント (2)
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