〈 オットー・ワームビア事件 〉
オットーさんを帰国させたあと、北朝鮮外務省報道官が次のように主張しました。
・米国内でワームビアが死亡したのが、労働教化中に拷問と殴打を受けたためという事実無根の噂が流れている。
・ワームビアの生命兆候が正常だったのに、米国に帰ってから1週間も経たないうちに急死したのは、我々にとっても謎。
・それほどに米国民の安寧に関心を持っているのなら、どうして米国政府はオバマ政権時代に、ワームビアの人道主義的釈放を一度も私たちに要請しなかったのか。その答えは米国が自らに求めるべきだ。
・ワームビアは、我々に対する極度の敵対感と抵抗感にとらわれ、対話を拒否してきたオバマの戦略的忍耐政策の犠牲者だ。
オットーさんの両親の悲しみに一切考慮せず、自国の正当化をする意見には、盗人猛々しいという言葉がそのまま当てはまります。
・このような事実を全面的に歪曲し、故意に反共和国非難騒動を起こして、尊厳の高いわが国に対する報復と圧力を語ることこそが、我々に対する挑戦である。明確にしておくが、今回の事件による最大の被害者は我々だ。
・米国で行われている反共和国、非難合戦は、我々にとって、人道的、寛容性は禁物であり、法の刃をさらに鋭く研いでおかなければならないという決心を固めさせるものだ。
・米国は、自らの軽挙妄動がもたらす禍について熟慮すべきだ。
驚きました。悪辣な言辞を弄するのは日本にだけかと思っていましたが、アメリカに対しても同じでした。だがアメリカは日本と違い、我慢をしない国ですから、北朝鮮に負けていません。時系列で、米国の対応を紹介します。
・2016 ( 平成28 ) 年1月、北朝鮮の「労働強化刑15年の判決」に対し、起訴理由の判決として重すぎると即座に非難
・ワームビアの死亡を受け、2017年7月21日にトランプ政権は米国民の北朝鮮への観光の禁止と、米国務省による渡航許可制を発表
・米国務省は北朝鮮への渡航を認可する条件に、遺言状の作成と葬儀の手配を挙げた
・同年10月24日、合衆国下院で「オットー・ワームビア法」を可決。その内容は、
⚫︎北朝鮮政府と取引する外国政府や北朝鮮労働者を雇用した外国企業に、定めた数量以上の石炭、鉱物、繊維、原油、石油製品の輸出入を行った場合、制裁を科す
⚫︎北朝鮮制裁の対象になった個人と取引する海外金融機関に対しては、米国内の資産を凍結し口座の開設を制限する
・同年11月20日、トランプ大統領は北朝鮮を9年ぶりに「テロ支援国家」に再指定することと追加制裁の意向を表明した。同時に大統領は次のように語った。
「北朝鮮は世界を核で脅してるだけでなく、ワームビアの事件や金正男暗殺事件など、国際テロを支援している。」
「テロ支援国家指定は、もっと何年も前に再指定されるべきだった。」
・ワームビア家は、大統領と政府に対し感謝を表明した
・2018 ( 平成30 ) 年1月トランプ大統領は、初の一般教書演説で合衆国議会にワームビアの両親と脱北者を招き、ワームビアの両親を最初に紹介した。
・彼はここで激しく北朝鮮を批判し、次のように述べた。
「妥協してきた歴代政権の失敗は繰り返さず、最大限の圧力をかけ続ける」
・同年4月ワームビアの両親は、外国主権免責法に基づいて北朝鮮を提訴し、同年12月24日、ワシントン連邦地方裁判所は次の判決を下した。
「拷問、人質、裁判なき超法規的な殺人、両親が負った被害について北朝鮮は責任を負う。」「5億100万ドル(約550億円)の支払いを命じる。」
厚顔な犯罪国家北朝鮮が、今回岸田首相にこのような悪態をついてきた時、岸田氏はどう対応するのでしょうか。アメリカ議会と違って、日本には「日朝国交正常化促進議員連盟」に100人を超える売国議員がいます。トランプ氏のように、間髪を入れず首根っこを抑える政策が出せるのでしょうか。
トランプ氏のアメリカと比較し、「ねこ庭」がもっと心配している事実がまだあります。これにつきましては、スペースの都合で次回に説明いたします。