ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

拉致問題・オットー・ワームビア事件 - 2

2024-04-12 21:14:16 | 徒然の記

  〈 オットー・ワームビア事件 〉

 オットーさんを帰国させたあと、北朝鮮外務省報道官が次のように主張しました。

  ・米国内でワームビアが死亡したのが、労働教化中に拷問と殴打を受けたためという事実無根の噂が流れている。

  ・ワームビアの生命兆候が正常だったのに、米国に帰ってから1週間も経たないうちに急死したのは、我々にとっても謎。

  ・それほどに米国民の安寧に関心を持っているのなら、どうして米国政府はオバマ政権時代に、ワームビアの人道主義的釈放を一度も私たちに要請しなかったのか。その答えは米国が自らに求めるべきだ。

  ・ワームビアは、我々に対する極度の敵対感と抵抗感にとらわれ、対話を拒否してきたオバマの戦略的忍耐政策の犠牲者だ。

 オットーさんの両親の悲しみに一切考慮せず、自国の正当化をする意見には、盗人猛々しいという言葉がそのまま当てはまります。

  ・このような事実を全面的に歪曲し、故意に反共和国非難騒動を起こして、尊厳の高いわが国に対する報復と圧力を語ることこそが、我々に対する挑戦である。明確にしておくが、今回の事件による最大の被害者は我々だ。

  ・米国で行われている反共和国、非難合戦は、我々にとって、人道的、寛容性は禁物であり、法の刃をさらに鋭く研いでおかなければならないという決心を固めさせるものだ。

  ・米国は、自らの軽挙妄動がもたらす禍について熟慮すべきだ。

 驚きました。悪辣な言辞を弄するのは日本にだけかと思っていましたが、アメリカに対しても同じでした。だがアメリカは日本と違い、我慢をしない国ですから、北朝鮮に負けていません。時系列で、米国の対応を紹介します。

  ・2016 ( 平成28 ) 年1月、北朝鮮の「労働強化刑15年の判決」に対し、起訴理由の判決として重すぎると即座に非難

  ・ワームビアの死亡を受け、2017年7月21日にトランプ政権は米国民の北朝鮮への観光の禁止と、米国務省による渡航許可制を発表

  ・米国務省は北朝鮮への渡航を認可する条件に、遺言状の作成と葬儀の手配を挙げた

  ・同年10月24日、合衆国下院で「オットー・ワームビア法」を可決。その内容は、

    ⚫︎北朝鮮政府と取引する外国政府や北朝鮮労働者を雇用した外国企業に、定めた数量以上の石炭、鉱物、繊維、原油、石油製品の輸出入を行った場合、制裁を科す

    ⚫︎北朝鮮制裁の対象になった個人と取引する海外金融機関に対しては、米国内の資産を凍結し口座の開設を制限する

  ・同年11月20日、トランプ大統領は北朝鮮を9年ぶりに「テロ支援国家」に再指定することと追加制裁の意向を表明した。同時に大統領は次のように語った。

   「北朝鮮は世界を核で脅してるだけでなく、ワームビアの事件や金正男暗殺事件など、国際テロを支援している。」

   「テロ支援国家指定は、もっと何年も前に再指定されるべきだった。」

  ・ワームビア家は、大統領と政府に対し感謝を表明した

  ・2018 ( 平成30 ) 年1月トランプ大統領は、初の一般教書演説で合衆国議会にワームビアの両親と脱北者を招き、ワームビアの両親を最初に紹介した。

  ・彼はここで激しく北朝鮮を批判し、次のように述べた。

    「妥協してきた歴代政権の失敗は繰り返さず、最大限の圧力をかけ続ける」

  ・同年4月ワームビアの両親は、外国主権免責法に基づいて北朝鮮を提訴し、同年12月24日、ワシントン連邦地方裁判所は次の判決を下した。

    「拷問、人質、裁判なき超法規的な殺人、両親が負った被害について北朝鮮は責任を負う。」「5億100万ドル(約550億円)の支払いを命じる。」

 厚顔な犯罪国家北朝鮮が、今回岸田首相にこのような悪態をついてきた時、岸田氏はどう対応するのでしょうか。アメリカ議会と違って、日本には「日朝国交正常化促進議員連盟」に100人を超える売国議員がいます。トランプ氏のように、間髪を入れず首根っこを抑える政策が出せるのでしょうか。

 トランプ氏のアメリカと比較し、「ねこ庭」がもっと心配している事実がまだあります。これにつきましては、スペースの都合で次回に説明いたします。

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拉致問題・オットー・ワームビア事件

2024-04-12 15:38:04 | 徒然の記

 北朝鮮問題の専門家と言われる磯崎教授の意見を、何度でも紹介したくなります。

 ・2018年の6月にシンガポールでの米朝首脳会談の前に、トランプ大統領は北朝鮮に拘束されていたアメリカ人を取り戻している訳ですね。

 この時はスペースの都合で言及しませんでしたが、トランプ大統領が拉致米国人を取り戻したのは困難を極めた話です。事実を詳述すれば、安倍元総理が日本人拉致被害者を取り戻せなかった理由が、分かってしまいます。細部を省略し安倍元総理を批判している氏は、やはり反日「トロイの木馬 B 」の仲間です。

 先月3月20日の「ねこ庭」で紹介した「救う会」の資料には掲載されていませんでしたが、実は北朝鮮が拉致した米国人が3人いました。米国は次のように、彼らを2回に分けて北朝鮮から奪い返しました。

   1. 回目  2017 ( 平成29  ) 年6月13日

    ・米国人学生オットー・ワームビアさん(22)

   2. 回目 2018 ( 平成30  ) 年5月9日

    ・韓国系米国人キム・ハクソン氏、トニー・キム氏、キム・ドンチョル氏の3人

 磯崎教授が語っていたのは、2回目の韓国系米国人3人のことですが、彼らが戻される前にオットー・ワームビアさんの悲惨な事件がありました。彼の犠牲があったから、北朝鮮はトランプ大統領との首脳会談を前にして3人を戻しています。

 概略を言いますと、バージニア大学の学生だったオットーさんが、北朝鮮へのツアー参加中に拘束され、両親と米国政府の働きかけにより帰国することになったが、昏睡状態で戻りその後死亡したという事件です。経過を、ウィキペディアの解説から紹介します。

  〈 オットー・ワームビア事件 〉

  ・ワームビアは1994 ( 平成6 ) 年にオハイオ州に生まれ、ドイツ北西部からの移民系の父とユダヤ系の母、弟と妹の5人家族。

  ・バージニア大学で、商学と経済を学んでいた2016 ( 平成28 ) 年1月、彼は中国の観光会社主催のツアーで北朝鮮を観光旅行した。

  ・この時彼は、羊角島国際ホテルの「政治宣伝ポスター」を盗もうとした容疑で、北朝鮮当局に拘束された。

  ・北朝鮮側の言い分は、「オハイオ州ワイオミングにあるキリスト教の友情連合メソジスト教会の指示を受けて、1万ドルをもらって犯行をした。」というもの。

  ・彼は2月29日記者会見の場で、展示物を持ち帰ろうとしていたことを認めて涙ながらに謝罪した。

  ・3月16日、北朝鮮最高裁は国家転覆陰謀罪に当たるとして、労働教化刑15年を宣告した。ワームビア家はキリスト教徒ではなくユダヤ教徒であり、北朝鮮のでたらめな主張にもかかわらず、北朝鮮を刺激しないためにユダヤ教の信者という事実を公表しなかった。

  ・イスラエルのメディアによると、米国の交渉チームもワームビア家の選択に従い、北朝鮮との交渉でこの事実に言及しなかった。

  ・翌年の6月、アメリカ国務省の政府特別代表がニューヨークで北朝鮮の国連大使と接触し、ワームビアが昏睡状態であることを把握。

  ・同代表はトランプ大統領の指示を受け、6月12日に医療チームと共に訪朝して解放の交渉を行なった。ワームビアは昏睡状態で解放されるが、帰国後の6月19日に死亡した。

  ・昏睡状態になった理由は、労働教化中の拷問と殴打の可能性が高いとされ、米国の医師らにも確認されているが、北朝鮮側は拷問と殴打を否定し、2016年3月からボツリヌス症による昏睡状態となっていると主張した。

 ワームビアさんの治療を担当したシンシナティ大学病院の医師は、北の説明を否定し、次のように述べたとのことです。

 「彼は植物状態で目は開くが、言葉を発することができない。ボツリヌス菌の中毒症状は見られない、脳の大部分の細胞が損傷している。」

 「心拍停止によって脳に酸素が送られなかった時に生じる、典型的な症状である。」

  ・ワームビアの両親は、9月26日のFOXニュース情報番組『フォックス・アンド・フレンズ』に出演し次のように語った。

  〈 父 フレッド 〉

 「息子は体を動かし激しく痙攣していて、うなり声を上げ、人間でないような音を出していた。」

 「髪の毛は剃ってあり、目が見えず耳が聞こえない状態で、腕と脚は完全に変形しており、足には大きな傷があり、誰かがペンチを使って下の歯並びを変えたようだった。」

 「拷問され、金正恩とその組織に意図的に危害を加えられた。これは事故じゃない。」

  〈 母 シンディー 〉

 「北朝鮮が送還を許したのは、自分たちの国で死なせたくなかったからだ。」

 「米国人は北朝鮮に旅行しないでほしい。訪問すれば、政治的宣伝に使おうとする北朝鮮の思う壺だ」

  ・6月22日にワームビアの出身校であるワイオミング高等学校にて葬儀が営まれ、両親・教職員・元同級生・ユン大使など約2500名が参列した。

 ここで私は、蓮池教授の言葉を思い出しました。

 「北は帰国しても余計なことを言わないと思われる人間と、そうでない人間を分けた。」「日本に帰って、何も喋らない人間だけを帰した。」

 「北の思い通りにならない者は、死んだことにした。」

 北朝鮮にとってワームビアさんは、帰国すればなんでも話す人間だったため、「喋れない人間」にして帰国させたのではないでしょうか。彼が亡くなったあと、トランプ大統領がどのような対応をし、米朝関係がどうなったのか、次回もウィキペディアの解説を紹介します。

コメント (2)
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