ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『絶頂の一族』- 5 ( 岸信介氏の家系 )

2024-04-23 08:16:55 | 徒然の記

  〈 岸信介氏の家系 〉

 今回はまず、シリーズ3回目に書いた次の言葉の訂正から始めます。

 ・安倍晋太郎氏から見て閨閥となるのは、安倍、岸、佐藤の3家になりますが、洋子氏が司令塔の役割を発揮しているのは、父信介氏のいる岸家でしかも、分家です。

 訂正しなくてならないのは、青字部分の「分家」と言う言葉で、正しくは「本家」でした。松田氏の説明を読みながら家系図を書いて、間違いに気づきました。込み入っているので、うまく書けるのか自信がありませんが息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々のため、家系図に挑戦して見ます。

 佐藤・本家        佐藤・分家         岸・本家  ( 緑色表示は、養子を意味します )

松介 == 藤江      秀助 == 茂代      信政 == 千代

    |             |             |       

  寛子 == 栄作    栄作 - 信介 - 市郎              良子 ==  信介    安倍寛

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                         仲子 == 信和  -  洋子  ==   晋太郎

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                          信夫      信夫   -  晋三  -   寛信

 岸信介氏の家系は、佐藤・分家の秀助氏から説明するとよく分かります。以下文章をやめ、項目で説明します。

 ・秀助氏は岸・本家から、男子のいない佐藤・分家へ養子に入った人です。

 ・秀助氏の妻・茂代 ( もよ  ) さんが三人の子供を産みます。

 ・長男市郎氏、次男信介氏、三男が栄作氏です。

 ・次男信介氏は、岸・本家の一人娘良子さんと結婚し、本家へ戻ります。

 ・妻・良子さんが、長男信和氏と長女洋子氏を産みます。

 ・洋子氏は安倍晋太郎氏と結婚し、三人の子を産みます。

 ・長男寛信、次男晋三、三男信夫氏です。

 ・三男信夫氏は、子供のいない岸・本家の信和氏の養子になります。

 従って冒頭の文章は間違いで、岸信介氏が岸・本家を継いでいます。しかし次に本家を継いでいるのは長男の信和氏ですから、松田氏が洋子氏を「岸家の司令塔」と説明するのは間違いとは言えませんが、誇張になるのではないでしょうか。

 岸・本家は仲子さんと結婚した兄信和氏が、洋子氏から三男信夫氏を養子にもらい結婚させ、系図には書いていませんが今はその子の信千代氏が継いでいます。洋子氏と仲子さんは冷めた関係にありますから、閨閥( 仲間 ) と言えるほどの親密さがありません。

 兄弟と甥が三人揃って首相となり、他に外務大臣、防衛大臣を輩出しているのですから、岸、安倍、佐藤の三家は著者の言葉通り「絶頂の一族」です。絶頂の一族のトップにいた信介氏が「憲法改正」を悲願とし、娘の洋子氏がその意思を引き継ぎ、総理となった晋三氏に伝えたのになぜ実現できなかったのか。

 私にはそれが疑問ですが、著者のテーマは「憲法改正」の是非にあるのでなく、政界で苦労を重ねる夫・晋太郎氏と息子晋三氏を、洋子氏がいかに支えたのかにあります。それでも最後まで読めば、「憲法改正」を実現できなかった理由が間接的に叙述されています。

 今回は三家の複雑な家系の紹介までとし、「憲法改正」の叶わなかった原因を松田氏の本の中から探す作業は次回からにしたいと思います。4年前の令和元年8月に「ねこ庭」で、NHKが放映した『昭和天皇拝謁記』を取り上げました。GHQの統治下で皇室改革が進められ、送り込まれたのが初代宮内庁長官・田島道治氏でした。信任していた側近を全て更迭させられた天皇が、孤立状態でご苦労される話でもありました。

 何度も田島長官に反対されますが、陛下は「軍の再建は国防のために必要」とするご意見を変えられませんでした。「昭和の妖怪」と松田氏が言う岸信介氏も、「軍の再建は国防のために必要」と言い、「憲法改正」を最優先の課題と主張します。本を読む限りでは、陛下と岸氏は同じ意見を述べていますので私は岸氏に賛同しています。

 岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏を嫌悪する人たちは、彼らを親子三代の悪徳政治家として批判します。本の中では語られていませんが、岸氏の満州時代における麻薬密売による金作り、敗戦後の統一教会とのつながりなどに注目しての酷評です。

 反日左翼の人々が岸氏親子三代を嫌悪するのは理解できますが、同じ保守の中に酷評する人たちがいる事実が今も私には理解できないままです。答えを見つけられないかと、このシリーズを書いている目的の一つでもあります。

 昨夜の雨以来また肌寒くなった「ねこ庭」に、白いモッコウバラが沢山咲きました。しかし、心の沈む春の庭です。惑いつつ、躊躇いつつ、いつも通りの「ねこ庭」ですが、興味のある方は足をお運びください。 

コメント (4)
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