ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

現実と理想

2024-10-16 20:19:27 | 徒然の記

 現実を語る人と、理想を語る人がいます。よその国のことは分かりませんが、日本では単純化された意見が正しいことであるかのように語られています。

 保守系の人が現実に沿った意見を言うと、左翼系の人が「右翼だ」「極右だ」と批判します。逆に左翼系の人が理想を言うと、保守系の人は「不可能な綺麗ごとだ」「できないと分かっている寝言だ」と批判します。

 戦前の日本は読書の知識しかありませんが、現在のように左翼と保守が国を二分するような対立をしていませんでした。簡単に言いますと次のようになっていると理解しています。

 〈 保守の考え方 〉

  ・日本は、神武天皇以来の万世一系の天皇が統治される家族国家である。

  ・自然には八百万の神様がおられ、その中心におられるのが天照大神であり、太陽であり、天皇の御先祖である。

  ・日本は「日出ずる国」国であり、神様に守られた国である。

  ・天皇は国民の敬愛の中心におられ、常に国民の幸福を祈られている。

  ・臣民である国民は天皇には忠、親には孝をつくし、和を第一として生きることが大切

  保守には特に体系化された理論がありませんから、人によって様々な解釈をしていますが、次の点で共通しています。

  ・日本は、古い歴史と伝統のある素晴らしい国である。( 愛国心と誇り  )

  ・国の中心には、国民の平安を祈られる陛下がおられる。( 天皇への敬愛  )

  ・国民は和を尊ぶけれど、日本を攻めてくる敵に対しては、国を守るため戦う。(  自衛のための戦争 )

 戦前は保守思想が主流で、マルクス主義は危険思想として弾圧されましたので、現在のような対立はありませんでした。「利益第一主義」のマスコミは左系の記事では商売になりませんから、愛国一辺倒の記事を書いていました。

 保守系と左翼系が対立するようになったのは、周知のように敗戦後GHQに占領され「日本弱体化政策」が実行された時からです。

 現在の左翼系の影響力は単純でありません。戦前の左翼は革命を是とするマルクス主義が中心でしたが、戦後は「利益のためなら右にでも左にでも協力する」という「グローバリズム勢力」が新しく力をつけてきました。

 共産主義とグローバリズムの共通点は、どちらも国境を認めないというところで、個別の国々の歴史や伝統より、自分たちの主義主張を第一とし、反対する国を武力でねじ伏せるところです。

 一方保守と言っても、そのほとんどが資本主義国で、過去の行為の悪辣さが共産主義とグローバリズムを産んだ原因であることは、「温故知新の読書」が教えています。

 大航海時代のスペイン・ポルトガルのアジア・南米諸国への侵略と植民地化に始まり、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、アメリカが武力に物を言わせ、植民地拡張に走りました。

 アジアの後進国だった日本は、欧米諸国の侵略から国を守るため、資本主義国の仲間入りをし、大東亜戦争をし、敗北して現在があります。歴史の大河を眺めれば、本当はロシアや中国や北朝鮮を一方的に批判する資格はないのです。

 私たちは現在の中国やロシアや北朝鮮の武力攻撃や侵略を責めますが、彼らの言わせれば、

 「お前たちが過去にやったことを、今やっているに過ぎない。」

 「何を偉そうに批判するのか。」

 ということで、弱くなった日本に対して中国は「歴史認識が足りない。」と説教します。強いアメリカには言いません。腹立たしいことですが、彼らなりの理屈があります。

 かっての欧米列強と、その仲間入りをした日本からすれば、

 「武力で他国を侵略する時代は終わった。」「今は自由と民主主義の時代だ。」と反論しますが、互いが見ている場所が違っていますので、意見は平行線のままです。

 つまり左翼系の国と保守系の国は、相手をねじ伏せることを優先させ、互いの欠点を指摘し合い妥協を考えていません。

 本日のテーマである「理想と現実」の観点から述べますと、「ねこ庭」の意見は、

  ・保守系は植民地時代の話を過去のものと考えているが、左翼系は過去も現在も区別していない。

  ・保守も左翼も一方的な意見を並べている点では、どっちもどっちだ。

  ということになります。

 現実の認識だけならこれで十分ですが、日本国民として現実に生きていくには、これでは不十分です。だから明日は、この続きを書きます。

 

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