ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

大いなる失敗 - 5 ( 加藤幹事長とブレジンキーとの中国評価 )

2018-12-06 16:41:12 | 徒然の記

 「興味ある発見」と言いますのは、ブレジンスキー氏と故加藤紘一氏の中国評価が、一致しているという事実です。

 「加藤は昭和14年生まれ、平成28年に77才で逝去。」「元外務官僚、宏池会のプリンスと呼ばれ、山崎拓、小泉純一郎とともに、YKKを結成した。」「衆議院議員13期」

 「防衛庁長官、内閣官房長官、政務調査会長、幹事長、」「宏池会会長を歴任。」「日中友好会長、名誉会長を歴任。」

  亡くなった人物を酷評したくありませんが、氏は自民党の中の 「獅子身中の虫」でした。東京裁判史観を信じ、日本は中国・朝鮮に償いきれない非道をしたと本気で考えていました。

 親中・親韓と言うより、氏の言動は眉中・眉韓で、日本を愛する心がありませんでした。平成25年に、尖閣諸島の領有をめぐり、中国との対立が激しくなった時、その諍いの最中に野中広務氏が訪中し、「尖閣の領有問題は、田中総理の訪中時に棚上げになっていた。」と、中国側に立つ意見を表明しました。

 尖閣諸島の地主から、石原都知事が都で買おうとしましたが、野田総理が国として買い取りました。東京都より国が所有する方が、対中問題を大きくしないと、氏は考えて実行したのですが、事前調整をせず実施したため返って中国を刺激し、日中関係がさらに悪化しました。そういうおりの野中氏の訪中でしたから、国民の多くが野中氏の言動に疑問符をつけました。

 加藤氏は現職を退いてからも、安倍総理批判の急先鋒となり、中国と対決する政策は愚策で、常に対話と協調と寛容の精神で行くべしというのが持論でした。

 「中国は今、国を挙げて、新しい国づくりをしている時です。国家の中枢にいるのは、選ばれた優秀な人々ばかりです。」「第一級の頭脳が集まり、歴史的な実験に取り組んでいます。日本はこうした中国を、見守るべきです。反対したりするのは、とんでもないことです。」

  ネットの動画でこのように語った加藤氏を、今も記憶しています。平成25年には、共産党の機関紙「赤旗」に寄稿し、安倍内閣の集団的自衛権行使の方針について、「徴兵制までいきかねない」と反対を訴えました。また、慰安婦問題の強制性を認めた「河野談話」を、安倍総理が見直そうとすることについても批判しました。

  それよりもっと、注目すべき事実があります。昭和64 ( 1989 ) 年の天安門事件で、欧米諸国が結束して経済制裁に踏み切りました。改革開放路線を取り、国力の増大を図ろうとしていた中国は、大打撃を受けました。平成4年の10月、宮沢内閣の官房長官だった氏は、苦境の中国を救うため、中国側の要請に応じて陛下の訪中を実現しました。

 陛下のご訪問は、国際的な経済制裁の解除にきっかけになりました。これについて、中国の外交部長だった銭基深氏が、「西側同盟の中で、もっとも弱い部分である日本をうまく利用した結果だ」と、回想録の中で述べています。

 加藤氏つきましては、自民党の議員でありながら、なぜ横暴な中国に肩入れするのかと、ずっと疑問でした。今回ブレジンスキー氏の著書を読み、氏の中国評価を知り、疑問だった加藤氏の言動を解くカギを発見しました。

 加藤氏とブレジンスキー氏は、政権のどこかで、接点があったのではないか。

 調べていきますと、二人が無関係でなかったことが分かりました。ブレジンスキー氏が、カーター政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官になった時のアメリカを、もう考えてみました。

  「中国に対しては、前任のニクソン、フォード両大統領の接近政策を受け継ぎ、カーター大統領は台湾との国交を断絶した。」「昭和54 (1979 ) 年の1月に、中国との正式な国交樹立をした。」

 日本ではニクソン訪中が大きく語られますが、両国の国交を正式に樹立したのは、カーター大統領でした。米華相互防衛条約が破棄され、在台米軍も撤退しています。カーター大統領の対外政策を書いたのは、ブレジンスキー氏だったということになります。

 氏はカーター大統領だけでなく、その後のクリントン、オバマ大統領にも、顧問として重用されています。この間のアメリカのアジア政策は、「中国をアジアの同盟国として重用し、日本は危険視する。」・・ということだと思います。

 加藤紘一氏の、政治家としての歩みを調べました。

     昭和53 (1978) 年  大平内閣 官房副長官

     昭和54 (1979) 年  大平内閣 官房副長官 ( カーター大統領 中国と国交樹立 )

     平成 3 (1991) 年   宮沢内閣 官房長官

 ブレジンスキー氏が政権内で実力を発揮していた時期と、加藤氏の活躍時代が重なっています。加藤氏は、カーター政権の実力者であるブレジンスキー氏の意見を、積極的に取り入れたのではないでしょうか。そうでなければ、「中国高評価一致」の辻褄が合いません

 明日からは予定通り、「レーニン主義」と、「スターリン主義」に関する、ブレジンスキー氏の意見を紹介します。

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大いなる失敗 - 4 ( 米国人指導者たちの中国文明評価 )

2018-12-05 21:45:18 | 徒然の記

 ブレジンスキー氏の『大いなる失敗』を、読み終えました。今回は、「レーニン主義」と「スターリン主義」に関するブログの予定でしたが、興味深い発見をしましたので、予定を変更します。

 氏は反共産主義者として、矛盾を論破していますが、なんと中国共産党については例外でした。氏が攻撃していたのはソ連の共産主義で、中国にはむしろ寛大で、好意的です。

 「中国こそは、アジアにおける〈アメリカの自然な同盟国〉と言ってよい。アメリカの国防政策は、日本政府の行動の自由を拘束する役割を務めている。」「この地域で優越した地位にある中国こそ、アメリカの東アジア外交の基盤となる国だ。中国政府は、アメリカに挑戦することなど考えてもいない。」

  二回目のブログで、伊藤貫氏の著作から引用した氏の言葉です。氏は鄧小平と趙紫陽を高く評価し、ソ連と違った共産主義国家を作ろうとする彼らに、期待しています。

  「教義上も実戦上も、中国は社会改革と近代化の両面で、ソ連に先んじていた。」「趙紫陽が、長期にわたる実利的な社会主義初級段階論を、大胆に唱えたのに対し、ゴルバチョフのスピーチは、イデオロギー的な迫力に欠けていた。」

 「曖昧な表現で、ペレストロイカはロシアが発展を遂げていく途上での、特定の歴史的段階であるとしか言えなかった。」

 「中国のように、党の最高指導者たちと首相の任期は、二期10年を限度とするというような、思い切った決定をする用意が出来ていなかった。」「中国は、イデオロギーの面だけでなく、実戦の面でもより大胆で、その改革は、ソ連より先んじることとなった。」

 ゴルバチョフ書記長のソ連と、趙紫陽首相時代の中国を、米国の指導的政治家がどのように見ていたのかを知る、貴重な意見です。彼らの視界にあるのは、米国の同盟国となれそうなアジアの大国・中国であり、日本は眼中にありません。ニクソンの訪中以降、米国と中国のトップ同士が、どれほど緊密な関係にあったのかを、私たちは認識しなければなりません。

 中国が、日本に敵対し、激しい情報戦争を仕掛けてきた答えがあります。自民党の政治家たちが、国民に何を言わなかった理由が分かりました。しかしその前に、もう少し、氏の中国礼賛に耳を傾けましょう。

  「その上社会の受容力も、中国の方が大きかった。この受容力ゆえに、中国はおそらく成功するであろう。」「ソ連と違って、中国では小作農が一掃されなかった。新たな機会を与えられた時、それに応えて生産性を上げることができた。ロシア人と違い、中国人には商才があった。」

  「商業の伝統が深く根づき、社会的にも浸透している中国では、ソ連に比べて、国内の商業のみならず、対外貿易でも、かなりの成長が期待できた。」「中国は、漢民族が大多数を占める国家であるに対し、ソ連は多数の民族から成り立つ、連合体である。」「中国は権力を分散しても、やはり一つの中国だが、」「ソ連は権力を分散すれば、バラバラになってしまう恐れがある。」

 中国に好意を寄せる米国人が、ここにもいました。先日ブログで取り上げた、アメリカABCの特派員ジョン・クーリー氏も、著書『非聖戦 』の中で、共産主義国ソ連を酷評していましたが、中国対しては好意的な意見でした。

 日本のマスコミや、ネットでは、米国人たちの中国への親近感について、ほとんど情報がありません。中国が米国に嫌われ、日本の方が好感を持たれていると、そんな報道が多くを占めています。何ヶ月かの読書で、日本のマスコミが客観的な事実を伝えていないと知りました。

 中国の近代化を支援し、中国の経済活動や会社経営のノウハウを教えたのは、日本だったと、そういう報道が大半だったような気がします。しかし米国の指導者たちは、もともと中国にはそうしたノウハウがあったと考え、日本の支援について、日本人が言うほどには注目していません。

 「ロシア人と異なり、自国を国家としてだけでなく、文明としても見ている中国人は、西側に対し薄っぺらな劣等感など持っていない。」「自国技術の後進性を、5000年に及ぶ、自国のすぐれた文明の中のごく一時的な現象だと思うだけの、誇りを持っているからである」

 「だから外国のノウハウを、文化的・イデオロギー的懸念なしに、取り繕ったりせず、自然に受け入れることができるのだ。」

 日本の保守の人々が言います。

 「中国は、恩知らずだ。」「日本から受けた支援を、何も覚えていない。」

 事実はその通りだとしましても、米国の指導者たちが、日本の影響を何も考慮していません。それよりも彼らにあるのは、アジアの大国として中国への敬意です。駐日米国大使だったライシャワー氏も、ブレジンスキー氏と同じでした。米国の指導者がそうであるのなら、中国が日本に感謝することはありません。

 「改革を助ける中国独特の要素が、さらにある。」「中央集権、集団化、官僚主義から、商業主義、企業主義、対外貿易へと、移行しつつある国内を支える力として、国外に、大きな味方がいるということだ。」

 「4000万人の、華僑の存在だ。」「多くは裕福で、中国がこれから振興しようとしている産業について、ノウハウを持っている。大多数が、本土につながりを持っており、母国の近代化を助ける良い機会と見て、既に積極的な反応を示している。」

 今回は予定へ変更して「興味深い発見」を紹介するつもりでしたが、そこまでいけませんでした。氏の中国礼賛を抜きにすると、「興味深い発見」が意味をなさなくなりますので、致し方ありません。

 この段階でも、日本人には貴重な情報があります。恩義を忘れた中国人の不遜さは不愉快ですが、「中国の近代化は日本の支援だ」と主張するのも、みっともない話だということです。今更ながらのことですが、世界にはいろいろな意見があるということでしょう。中国を批判する以前に、米国の指導者が中国を高く評価しています。日本の保守の人々は、認識を改めなければなりません。

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大いなる失敗 - 3 ( 単純な人々と、教養のある人々 ? )

2018-12-04 19:17:42 | 徒然の記

 ブレジンスキー氏の、『大いなる失敗』の書評の続きです。

 大学時代の私は、中途半端な学生でした。それでも、マルクスの『資本論』は読みました。理解できないところがあっても、読み通すという意志だけを持っていました。難解でも、嫌悪する本でも、手にした本は最後まで読むという読書スタイルは、現在も続いています。間違った解釈をしていても、この読書方法を続ければ、知識が積み重なるに従い、過去の誤解を知る時が来ます。

 反共の氏の書を手にしたので、これを機に初心に戻り、マルクスを検証したいと思います。

 「共産主義が20世紀の歴史に、これほど大きな位置を占めてきたのは、教義の極度の単純化が、時代にあっていたからだと言えよう。」「あらゆる悪の根源が、私有財産制にあるとした共産主義は、財産を共有することで真に公正な社会が、従って人間性の完成が達成できると仮定した。」

 ブレジンスキー氏の説明が続きます。

 「この考え方は何百万人もの心をとらえ、彼らに期待を抱かせた。」「新たに政治に目覚めた大衆の心理に、マッチした思想であった。この意味では、偉大な宗教の魅力に似ている。」

 「どちらも、人生の意味を余すところなく説いており、その解釈の全体性と、単純明解さが人々を捉え、安心させ、そして熱狂的な行動に駆り立てたのである。」

 「偉大な宗教と同様に、共産主義のドクトリンは、人を見て、法を説く。ごく単純な説明から、より複雑な哲学的解釈まで、様々なレベルの解釈が用意されている。」「ようやく読み書きができる程度の人には、すべてを階級闘争で説明し、共産主義によって、理想の社会が実現すると説いた。」

 「特に恵まれない人々に魅力的だったのは、人民の敵、すなわちこれまで、物質的に豊かだった階級に対する、暴力を正当化したことであった。」

 貧しい学生だった私は、氏が解説する過程を経て、マルクス思想に圧倒されました。働いても働いても、暮らしが楽にならない両親を見ながら、こんな社会は間違っていると、怒りを抱いていました。そんな暮らしの中から、親たちが大学に通わせているのですから、呑気な私も、そのくらいのことは分かっていました。

 「嬉しいことに、今度は、物質的に豊かだった彼らが、虐げられ、抑圧され崩壊する番となった。」

 氏は屈託無く語りますが、私がマルクス主義に疑問を感じたのは、この点にありました。金持ちと貧乏人が、社会制度の欠陥から生じるのなら、金持が悪とされ、貧乏人が正義となる理由が分かりませんでした。マルクス主義の国を作るためなら、貧乏人が金持ちを殺しても構わないという主張に、馴染めませんでした。

 「マルクス主義は、憎しみの思想だ」・・、精緻な理論に魅了されましたが、心が燃えませんでした。「貧乏人のいない社会を作ろう。」「不公平な社会を、無くそう。」と、涙を浮かべていた友の顔を覚えています。彼らの多くは人道主義者で、献身を惜しまない善人でした。

 団塊世代の左翼主義者を、無下に否定しないのは、過去の経験があるからです。敬意の念と軽蔑の念が、彼らを見るたび心の中で交差します。思想に疑問を抱かずよくも人生を捧げたという「敬意の念」と、いつまでも思想の矛盾に気づけなかったという「軽蔑の念」です。

 横道に逸れましたので、氏の本に戻ります。

  「こうしてマルクス主義思想は、知識人たちに人間の歴史を理解するための鍵を与え、社会や政治の変動を評価する尺度を与え、経済活動に関する知的な解釈を与え、さらには社会参加の動機づけを与えたのである。」

 「このように共産主義は、単純な人々も、教養のある人々も、同じように引きつけた。」「すべての人に方向感覚と納得出来る説明と、道徳的な正当化を与えたのである。」「思想を受け入れた者は、自らの正しさを信じて疑わず、自信を抱いた。」「とりわけ、すべては直接的政治行動をとることで得られるという、単純すぎる考えを植えつけた。」

  マルクス主義は、ソ連とだけでなく世界中に波及し、世界を二分する思想となりました。私は、氏の次の言葉に引っかかりました。

 「このように共産主義は、単純な人々も、教養のある人々も、同じように引きつけた。」そうだとしたら、思想に惹きつけられなかった私は、単純な人間でもなく、教養のある人間でもない、「宙ぶらりんな人間」ということになります。

 しかし実は私のような人間が、日本を右にも左にも傾斜させず、中庸の国として守っているのではないかと、そんな気がしています。

 敗戦後のマスコミがこぞって反日左翼の論陣を張り、日本の過去を悪しざまに攻撃しても、鵜呑みにしなかった国民が多数を占めていたから、今の日本があるのではないでしょうか。資本主義と共産主義の功罪を理解し、いずれにも偏らず、政治家の言動を見ながら選挙の一票を入れてきたと、そう考えなくては、日本の現在が語れません。

 マスコミは、国の宝ともいうべき国民を、「無党派層」という言葉で一まとめにしました。「自分の意見を持たない人間」「ムードに流される、信念のない人間」という、軽蔑の意味を込めていました。

 全国の有権者数に占める無党派層の割合は、昭和45年から平成2年までのデータによると、平均して20%から30%となっています。平成2年の中頃に突然50%に上がりましたが、昨年は31.3%に戻りました。

 もしも無党派層が、マスコミが定義するような国民だったら、日本はとっくの昔に共産主義政権の国になっているはずです。氏の著作を読みながら発見するのは、私たちの日本と国民の姿です。

 歴代の米国大統領の補佐官の意見だとしても、押し頂く必要はありません。国の数だけ正義があり、人間の数だけ真実があるのですから、私たちは日本を中心に、正義と真実を語れば良いのだと思います。

  「奢る平家は久からず、ただ春の夜の夢の如し。」です。日本人である私たちには、思想に対する自制心と謙譲の心が昔からあります。氏には無い、ご先祖様からのDNAです。
 
 明日は氏の説明する「レーニン主義」と「スターリン主義」を、紹介します。
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大いなる失敗 - 2 ( 日本に失望しない理由 )

2018-12-02 23:29:10 | 徒然の記

 ブレジンスキー氏について調べだすと、書評に到達しません。息子たちのため要点だけ押さえ、あとは省略します。

 ブレジンスキー氏はキッシンジャー氏と同様、ユダヤ人だと言われています。二人の共通項は、親中・反日の政治家であるところです。伊藤貫氏の著作で書かれているブレジンスキー氏の言葉を、紹介します。

 「中国こそは、アジアにおける〈アメリカの自然な同盟国〉と言ってよい。」「アメリカの国防政策は、日本政府の行動の自由を拘束する役割を務めている。この地域で、優越した地位にある中国こそ、アメリカの東アジア外交の基盤となる国だ。中国政府は、アメリカに挑戦することなど考えてもいない。」

 日本にとってロクでもない人物だと、最初に言いましたが、その通りでした。こういう人物が、カーター、クリントン、オバマという歴代の大統領に重用されていたのですから、中国や韓国の反日攻撃がなぜ収束しないのかが分かります。日本にとって最重要の同盟国ですが、私たち国民は、米国を礼賛する政治家や言論人に、心を許してはダメです。敵は、国内の反日左翼だけでないという事実を、知る必要があります。

 氏の著『大いなる失敗』というタイトルの意味は、簡単でした。「20世紀最大の失敗」は、共産主義だったと、こういう中身です。1917 ( 大正4 ) 年10月の、ロシア革命で、共産党政権が誕生しました。それから74年経った、1991 ( 平成3 ) 年12月に、ソ連共産党が解党し、共産党政権が崩壊しました。

 歴史の必然で資本主義は消滅すると、マルクスは予言しましたが、たった74年で、共産主義のソ連が先に崩壊しました。むしろこれが歴史の必然であると、ブレジンスキー氏が婉曲に語っています。

 氏がこの本を出版した当時、ソ連はゴルバチョフ書記長でした。アフガン戦争以来、財政的に疲弊し、軍事力、経済力がジリ貧となり、ゴルバチョフ氏が懸命に国の再建に挑んでいました。ブレジンスキー氏が、この段階でソ連の崩壊を予言しているのは、優れた意見だと思います。「中国政府は、アメリカに挑戦することなど考えてもいない。」と、間違った思い込みもありますが、学者や政治家は誰も間違いをします。寛大な気持ちで、氏の正しい意見の方を息子たちに紹介します。

 「本書は、共産主義の末期的な危機を扱ったものである。」「その教義と体制が、徐々に崩壊してきた様子を分析し、21世紀までに共産主義はもはや巻き返しのできないほど衰退し、その実践や教義は、人類にとって的外れなものになっているだろう。」

 「共産主義が生き残り、外面のレッテルをとどめていも、内実の本質を捨て去ったところばかりである。」「おおかた20世紀の、もっとも異常な政治、思想上の脱線現象として記憶されるにすぎないだろう。」

 本が出版された翌年、1991 ( 平成3 ) 年12月にソ連共産党が解党し、ソ連邦が消滅しました。氏が共産主義の実態を残酷に語ったことへ、敬意を表したくなります。私にとつても、今の左翼共産主義思想は、実態のない形骸化した思考であるに過ぎません。共産主義国は、異分子の抹殺と国民の弾圧と、独裁的権力の行使がなければ成立できない国家です。

 「人間が平等で、自由に暮らせる素晴らしい社会」を、目指していますが、そこに到達するまでは、違う意見を認めるません。自由な意見を放任していたら、計画通りの「ユートピア」ができませんから、庶民大衆の意見など聞く耳を持つ余裕がありません。一つの目的に向かい国民を権力で束ね、鞭打って走らせます。違うことをいう者が現れたら、あるいは現れそうになったら、そんな人間は隔離して獄に入れるか、面倒なら抹殺してしまう。

 これが、共産主義国家の74年の歴史です。レーニン主義の誤り、スターリン主義の誤りを、氏が徹底的に説明しています。平成2年に本が出ているというのに、日本の反日左翼政治家や、学者や官僚たちは、一度も目を通さなかったのでしょうか。維新の会を除く反日の野党は、マルクスの思想から離れられず、どうしようとしているのでしょう。

 役立たずの左翼思想でも、団塊世代の老人たちには青春の思い出ですから、強い郷愁を抱いています。彼らがいくら頑迷固陋な教条主義者だとしても、私と同じ定めで、そのうちあの世へ旅立ちますからしばらくの辛抱です。

 問題なのは、若くて左翼思想に染まっている人間たちです。反日マスコミにおだてられ、時代錯誤の有害思考とも気づかず、「平和憲法を守れ」などと、寝言を言っている若者たちです。

 彼らは安倍政権を攻撃し、政府を批判していますが、自分たちでは、どのような日本の未来を考えているのでしょう。空っぽの頭で、どんな指導者になるつもりなのでしょう。これが、不思議でなりません。

  現在、227ぺージを読んでいます。これまでのところで、氏から教えられた収穫は、「日本はまだ失望する段階ではない。」という希望でした。大国として君臨していたソ連邦が、今にも崩れそうになっている時、ゴルバチョフ書記長は、精力的に働いていました。「ペレストロイカ ( 改革 ) 」「グラスノスチ ( 情報公開 ) 」と、画期的な政策を打ち出し、国民に語りかけていました。

 この政策は、共産党の独裁政権下では諸刃の刃でした。実行しなければ、ソ連の再生が望めませんが、実行すれば独裁政権の土台が崩れる。

 切羽詰まった状況下で、ゴルバチョフ氏が孤軍奮闘します。安倍総理は、移民問題だけでなく、いろいろな政策でつまずいていますが、当時のソ連に比べれば、危機の度合いが違います。反対の野党にしても、テロに走ったり、薬物を使ったり、そんな物騒なことはしません。外国勢力が介入しているとしても、ソ連に見られた露骨さはありません。

 なぜそうならないのは、日本には国を大切にする国民がいるからです。国民はもう、マスコミの捏造報道に踊りませんし、反日政治家の胡散臭さも知っています。通常はサイレント・マジョリティーですが、考えもなく黙っているのではありません。

 ブレジンスキー氏が描く、末期症状のソ連を見ていると、むしろ日本の現状に希望を抱きます。

 「安倍総理は、なぜ日本崩壊の政策を、次々と打ち出すようになったのか。」

「誰が、安倍総理への外圧となっているのか。」「アメリカの勢力なのか、中国か。」

「それとも、自民党内の獅子身中の虫に、弱みを握られ、脅されているのか。」

「あるいは、総理が、もともと八方美人の政治家だったのか。」

 しばらく事実の究明に時間を費やしても、一年や二年で日本は倒れません。だから「温故知新」の読書を続け、明日の日本のための指針を探します。

  もう一つ、大切なことを忘れていました。日本の現在に失望しない、長いばかりで面白くなく、独りよがりのブログに訪問される方々がおられるということでした。ブログにコメントを入れ、励ましてくれ方々がおられる。こんな日本に、失望できるでしょうか。

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大いなる失敗 ( 反日の江沢民・クリントン氏と伊藤氏 )

2018-12-01 23:07:07 | 徒然の記

 ズビグネフ・ブレジンスキー氏著『大いなる失敗』( 平成2年刊 飛鳥新社 )を、読んでいます。

 先日読んだクーリー氏の「非聖戦」のような、文脈すら不鮮明な悪文に比べますと、論理明快な文章に爽快感すら覚えます。氏に比較するとクーリー氏が、思考の整理能力のない記者だったことが、一目瞭然となりました。

 ブレジンスキー氏については、これから説明していきますが、人物そのものは手放しで誉められません。日本で有名人なので、 氏を知らないのは、紹介している私くらいなのかもしれません。氏の略歴は、訳者があとがきの中で書いていますので、そのまま引用します。

 「氏は単なる学者でも、単なる実務家でもなく、両者の体験を踏まえて国際政治全般の、大きな流れを洞察する戦略思想家という意味で、現代アメリカを代表するのは、キッシンジャーとブレジンスキーの二人であろう。」「この二人はまさに現代アメリカの、戦略思想を代表する双璧であり、龍虎である。」

 翻訳者の伊藤憲一氏は、手放しの誉めようです。キッシンジャーが日本嫌いで、中国に肩入れしていたのは周知の事実です。そんなキッシンジャーと並ぶ、戦略思想家というのですから、日本にとって、碌な人間であるはずがありません。

 二人を誉めそやす伊藤氏も、「獅子身中の虫」の仲間だと、本を読む前から予感がします。

 「キッシンジャーは、ハーバード大學の教授から、ニクソン政権の国家安全保障問題担当の大統領補佐官になり、ブレジンスキーはコロンビア大学の教授から、カーター政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官になった。」

 「退官後、二人ともワシントンに本拠のある、ジョージタウン戦略国際問題研究所の顧問となり、私もこの研究所とは特別の関係にあったので、ワシントンでは時々二人とお会いしました。」

 ということで、翻訳者の伊藤氏についても調べてみました。

 「昭和13 (1938) 年、東京都に生まれ、今年80才。」「昭和35年に一橋大學を卒業し、外務省に入省。」「ハーバード大學留学後、モスクワ、マニラ、ワシントンの日本大使館書記官、」「東南アジア一課長などを歴任し、昭和52年に退官した。」

 「外務省退官後は、青山学院大學教授として在籍する傍ら、ジョージタウン大學戦略国際研究所の東京代表を兼務した。」「また、公益財団法人日本国際フォーラムの設立に参画し、NPO法人世界開発協力機構の副総裁にも就任している。」

「自ら副総裁を務める、NPO法人世界開発協力機構が主催する、世界オピニオン・リーダーズ・サミットでは、ビル・クリントン氏を招き、小池百合子、町村信孝氏らと共に、パネリストとして出席した。」

 氏が親米派外務省の官僚だったとことが、分かりました。

 本の著者や翻訳者たちについて、必ず略歴を調べる癖がついたのは、危険予知のためです。戦後の日本を駄目にしたのは、マスコミ界だけでなく、出版業界も同じです。反日左翼思想を広め、東京裁判史観を普及させ、日本人の心をダメにしたのは、出版業界です。彼らは日本の過去を足蹴にする悪書を、際限もなく流通させました。

 息子たちが惑わされないよう、伊藤氏に関する情報を紹介します。

 中国が突然日本を悪し様に言いだしたのは、江沢民氏の時代からでした。「歴史認識が足りない」、「反省が足りない」と、天皇陛下の晩餐会で語たり、出席した日本人を不愉快にさせました。

 鄧小平氏の時代以降、日本から巨額の資金援助と技術援助を受けながら、江沢民氏が豹変した陰に何があったのか。今では周知の事実となりましたが、クリントン大統領は、妻のヒラリー氏と共に、中国マネーに取り込まれた親中派の大統領でした。

 クリントン氏と江沢民氏は、日の出の勢いの日本を阻止するため、共同謀議をしています。それは丁度、キッシンジャー氏と周恩来首相が、「日本の再軍備を阻止するためなら、アメリカは中国と協力し合える。」と、密約したのと似た会話です。

 日本経済の拡大を抑えるためなら、中国が何をしてもアメリカは黙認すると、こういう了解が得られ、江沢民は遠慮なく日本攻撃ができるようになりました。反日教育を始めたのも、江沢民の時代からです。

 こんな反日のクリントン氏を招き、自分もパネリストとして参加しているのですから、伊藤氏は信頼出来る人間なのでしょうか。反日の国々に協力する氏が翻訳した本には、注意が肝心です。

  前置きだけで終わりましたが、明日から書評をします。

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