田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ショーの客/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-05 08:05:16 | Weblog
5

「部屋の外ではなしあいましょう」

セキュリティの。

空手で鍛えているような。

男がささやいている。

「きこえないね。

もっと大きな声でユウたらどうや」

いちばん若そうに見える。

極道がわめいている。

「ご不満があれば、そとでききますから」

「高い会費はらったショーだ。

歌手にお酌くらいさせたらどうや」

因縁をつけている。

何のことはない。

玲菜がらみの因縁だ。

だからマネジャーの高内を楯にとっているのだ。

男はわめきながら。

バンとテーブルを蹴とばした。

高内がつきとばされた。

たおれそうになる。

すばやく翔太が背後にまわりこんでささえた。

それを横目でみながら極道はドアからでていく。

セキュリティが追う。

はじめから無言でやりとりをみていた兄貴分らしい。

ズングリが振りかえった。

翔太と視線が合う。

ああ、なんとしたことだ!!!

両眼がひかった。

それも!!!! 

赤くひかった。

「しまった。Vだ」

翔太は後を追った。

廊下には人影がない。

エレベーターの階位表示が上をむいていた。

屋上をめざしている。

階段を翔太はかけあがった。

どうしてVがいることを察知できなかったのか。

玲菜との会話に夢中になっていた。

周囲のひとたちをスキャンするのをわすれていた。

なにがサイキックだ。

なにが能力者だ。

バカ、翔太。

じぶんをののしりながら階段を二段ずつかけあがる。

屋上への扉をでる。

もみあっている。

セキュリティの三人のほうが追いつめられている。

たったひとりのVに。






one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。