田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

髪がない/髪神、お助けください

2009-02-14 22:21:22 | Weblog
2月14日 土曜日

●みように頭がすうすうする。

年とともに頭髪がうすくなった。

波平? さんほどではないが、頭のてっぺんがとくにさびしい。

目をおおうばかりだ。

しかたないから、ニット帽をかぶっている。

●それでなくても、わたしの二階の書斎は朝方には室温が0度ちかくなる。

あたまが水をあびたように冷たいので目が覚めた。

まちがいなく、帽子はかぶっている。

●昨夜は飲み過ぎて、どうやって二階の書斎までたどりついたのか?

とんとおぼえがない。

●まだ後部はふさふさと毛髪がのびる。

それでハンチングをかぶっていると、毛が豊かに生えているように見える。

帽子の中のわびしさを透視出来れば超能力者だ。

まあそんなヤカラはいないだろうから……。

自己満足にひたりながら街を歩いている。

●後部に手をやった。

毛がない。

いや、どうやらきれいに刈りそろえられている。

●「やったな」と階段をどたどたとおりた。

キッチンにおどりこむ。

「おれの髪かえせ」

「あらきれいになって、清潔な感じよ」

そのときカミサン少しもあわてず振りかえって応えた。

●髭は二週間はそらない。

つごうによったら顔も洗わない。

不潔だ。

不潔だとまいにちいわれつづけてはや10ねん。

●カミサンのほうはこれが潔癖神経症。

新聞は一週間でだしてしまう。

台所はぴかぴか。

なにからなにまできちんと整頓してないと気持ちがわるいのだそうだ。

●そのカミサンの勢力範囲の外にあったのが、わが体だ。

●酔ったわたしを椅子にすわらせパチパチとハサミでやったのだ。

●ああ、もうだめだ。

さぞや、カミサンは快感をあじわったことだろう。

●こちらは酔っていてなにも覚えていない。

なにも覚えていないのだから文句のつけようがない。

●長くのばしていた毛がなくなって襟元が心もとない。

●それどころか、これでは、ね首をかかれても、気づかないだろう。

●老いたものだ。

お酒だってたった一合ていどしか飲んでいないのだ。

●文句をならべつづけて、徳利でも整理されたらとおもうと、なにもいえなくなっ

た。

●寒さが薄くなった頭から体全体におりてきた。

またいつものようにホリゴタツで

ハルちゃんあいてに小説を書きだした。

●神様。この小説が売れますように。

●売れたらアデランスぜひかいたいです。

●髪のないさびしさ。

神様のいない悲しさを。

もうこれ以上あじわいたくはありまん。



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ああ、快感。



テロ/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-02-14 20:53:24 | Weblog
オリオン通りのすぐそばにVのアジトがあった。

立体駐車場に隠れ地下室があった。

地下室ではヘビメタのバンドが演奏している。

Vがらみの事件が多発するはずだ。

翔太は吐息をもらした。

いっしょについてきたプレスのふたりは。

きょろきょろしている。

すっかり取材者の目だ。

それにしても、どうしてヒロシはおれたちをここに誘ったのだ。

ここでゆっくりおれたちを料理しよう。

そんな下心はないようだ。

液晶モニターに店内の狂騒が映っている。

下部にテロップで歌詞がながれている。

音声はけしてある。

なかなか興味深い歌詞だ。
 

ああ、暗いくらい。ここは地獄だ。死ねしねしね。

ここはいつでも暗いくらい。死ねしねしね。

青によし奈良の都は。青によし。

もどりたい。もどりたい。

奈良の都にもどりたい。

奈良の都は、咲く花のにおうがごとく。

いま盛りなり。

もどりたい。

ここは棺桶。はいだした。はいだした。

封印といておどりでた。外の世界にとびだした。

死ねしねしね。

青によし、奈良の都にもどりたい。


「人間の世界では1300年たっているが、おれたちには数か月前のことよ」

だから吸血鬼は年をとらない。

不滅モノとおもわれているのだ。という。

どうして、おれたちに。

ヒロシはこんなに寛大な態度を。

とっているのだ。

休戦協定でも結ぼうというのか。

「おれたちは争いは避けたい。

若いもんが、暴れたがっているだけだ。

この宇都宮を制覇したいと望んでいる者もいる」

サブロウがジッとヒロシの顔をにらんでいる。

いらいらしながら、店内をモニターでチェックしている。

なにかたくらんでいる。

なにかよからぬことを。

たくらんでいる顔だ。

このとき、そとから店の防音扉がひらかれた。


暴走族サターンの連中がなだれこんできた。

ヒロシが立ちあがろうとした。

ヒロシの喉元にサブロウの鉤爪があてがわれていた。

「動くと刺すよ」





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Vバンド/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-14 10:21:27 | Weblog
「こんなバンドが生きのこっていたのか???」

「生きのこっていたんじゃないの」

吸血鬼は。

ヒロシですなんておどけて、デスロック会場ではしゃいでいる。

「われわれは死なないの」

まじっすか??????

なんて若者ことばでききかえしたくなる。

この音響ではヒロシのみみに口をあてなければつうじないだろう。

翔太はヒロシの耳に顔をよせる。

ヒロシがギョッとふりかえる。

「おれに噛みつくきか。おれの血を吸うか?」

立場が逆だ。

大音響のメタルの魂の歌をきいているとおかしくなる。

ともかくバンドのメンバーだって。

扮装の必要のない。

地のままでいける吸血鬼だ。

それが一般のひとびとには見えていない。

みえていないから、怖いものしらずだ。

おどりくるっている。 

どうやら。

翔太たちはVと人間の争いのない場所。

緩衝地帯。

ニュートラルゾーンに案内されたらしい。

さらに扉をぬける。

耳を覆っていた音響がピタリとやむ。

「いらっしゃい」

犬森サブロウが黒の給仕服で出むかえる。

「ここでは……争いはナシですよ」

いきり立つ翔太に。 

ヒロシがいう。

「そうでしたね。失礼しました」
  


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デスメタ/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-14 02:44:48 | Weblog
4


「翔太こそなにもわかっていない。

アナログなのはおまえら人間のほうだ」 

おもわぬ成りいきとなった。

「ああやめた。

やめた。

こんな小娘の血をすったところでコウフンしないからな。

だったら大麻でもやってトリップしてたほうがましだ。

おい、プレスの男。

翔太とついてくる勇気はあるか。

吸血鬼バンドの出演している地下演奏会の会場へ招待してやる」

「わたしもいく」

悲鳴をあげて青ざめていたのが嘘みたいだった。

「ヒロシ。

わたしだって野州新聞の記者よ。

記者魂はもっている。

吸血鬼さん。

ごいっしょさせて」

「天国の薔薇園の園丁をしていた元祖吸血鬼集団のひとり。

ミヤだ」

ニヤニヤ笑いながら、肩に刺さった矢をぬく。

サツキの矢はこのVにはなんの傷害もあたえていなかった。

翔太はぶるっと武者震いした。

これはたいへんな敵だ。

いままで戦ってきたVと根本的にできがちがっていた。


5

駐車場の地下だった。

いや、地下が駐車場になっているというのではない。

降り口など、案内してもらわなければ。

わからない。

東武デパートの裏手。

昭和の30年代に。

「チャイナタウン」というキャバレーの在ったあとだ。

「もじどうり……。地下演奏会かよ」

ヒロシがイキがっている。

防音の厚い扉をはいる。

耳をつんざく音響がひびいてきた。

デスメタル。

吸血鬼にこそふさわしい場所だった。

仮装の面も服装も必要としないものたちであふれかえっていた。

飲み物はすべて真っ赤だった。

むろんトマトジュースにアルコールをいれたものを飲んでいるのは。

人間だ。

血液パックを一気飲みしているのは吸血鬼だ。

だがそれすら。

この地下にさそいこまれた人間には。

遊びとしかおもえない。





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