田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

説得/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-02-20 10:13:57 | Weblog
「わたしいく。翔太さんはらっといて」

「おくってやるよ」

「エンリョスルヨ。バイクで来てるから」

「照子さんも、どうぞ」

翔太が照子に目でサインをおくる。

「ヤダァ。どうしてわかったのよ」

翔太は二人をのせたクリッパーを警察の前でとめた。

社旗を立てた報道陣の車がひしめいてた。

「記者さん」

「翔太さん。お久しぶり」

「わかれたばかりでしょうが」

「あつそうか。動転しているのよ。それにわたしは野村。彼は高橋」

「野村さん。おねがいがある」
 
4

警察の中でそんなみっともないことできるか。

渋っている署長をまず説得。

彼の彼女がネゴシェイトに協力しようと駆けつけたのだから。

と高橋の口添えもあった。

窓際にクリスマスローズの鉢がポッンと置いてある署長室をでた。

宝木は取り調べ室をのっとり立てこもってしまった。

「バカか。なにやってるんだよ」

キヨミがわめいた。

「それでは説得になりませんよ」

付き添っていた刑事があわてた。

「キョミか」

ドアがほそ目にあいた。

赤く目を光らせた宝木が顔をのぞかせた。

「宝木! おまえきゅうにやせたな」

「そうか。うれしいこといってくれる……」

「あきらめてでてきなよ。

いまだら大麻所持、吸引くらいですむよ」

大麻所持、吸引では罪にはならないはずだ。

と、翔太はおもった。

なかなかうまい説得だ。

宝木はドアをさらに広く開けた。

キヨミをかかえこんだ。

人質にとる気だ。

「バカ」

裂帛の気合い。

キヨミが宝木の腕を逆にねじった。

投げ飛ばした。

「わたしが合気道をやってるのわすれたの」

やさしいことばで宝木をみおろしていた。





one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。