田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

涙涙涙/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-10 22:34:30 | Weblog
いつか別れがくる。

いつかふたりのいる場所と時間が離れていく。

初めからそんな不安があった。

コウジとわたしの、恋人としての運命。

もうだめなの?

わたし、コウジから離れたくない。

別れたくない。

東京の大学に進学したくない。

いつまでも、こうしてコウジのそばにいたい。

はなしができなくても。

会話ができなくて。

むろん声をきくことができなくても。

そばにいたい。

未来の思い出が、泣いている。

中学三年のときの日記に、そう書いた。

それがいまなの?

これが、その未来だったの?

別れなければならない運命だったの?

そんなの、いやだよ。

コウジ。

つらいよ。

悲しいよ。

わたし。

理沙子は。

泣いている。

泣いている。

この涙とまらない。

コウジ。

なんとかして……。

やっぱりこれって別れの涙なの?

やっぱり別れのときがきたの?

そんなの。

悲しすぎる。

涙。

涙。

涙…………ボロボロの別れなんて。

悲しすぎる。

悲しすぎる。

(あの時。ソラリスでデートした時。客席の隅に座っていたひと。ノートになにか

書いていたのが翔太センパイだったの。わたしたちをVから助けてくれたひと)

コウジ。

Vと戦いたい。

コウジの精気を吸ったVと戦いたい。

この恨み。翔太とコウジとわたしでチームとなってはらしたい。

三人で戦士となって、戦いたい。

元気になって。

理沙子はコウジの唇に唇をよせた。

重ねた。

理沙子は感極まって。

コウジにキスしたまま……動かない。

ピクッと、コウジの指が動いている。

腕が動いた。

手のひらが理沙子のむほほにふれた。

理沙子がおどろく。

顔をあげてコウジをみる。

理沙子は、コウジをみる。

コウジがほほえんでいる。

「やっと、会えた」

コウジがかすかにいった。

「もういちど、いって」

「やっと……会えた」

「もどったのね。やっと意識がもどったのね」

理沙子は、ナースコールを押した。

ナースコールを夢中で押していた。





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ああ、快感。


涙涙/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-10 08:23:55 | Weblog
理沙子は涙をながしていた。

コウジの顔にホロホロと涙がおちていた。

理沙子のほほをつたって。

涙が……ホロホロとコウジの口元におちていた。

涙で……理沙子とコウジがつながっていた。

赤い糸でむすばれた理沙子とコウジが。

いままた――。

もういちど!!!!!!!!!!!!!!!!!!

白い涙でつながっていた。

理沙子はそっとコウジのほほに唇をよせた。

泣きながら。

涙をこぼしながら。

もうどうしていいか。

わからない――。

コウジ。

コウジ。

コウジ

わたしの彼。

わたしの恋人。

わたしを覚醒者にしてくれた恩人。

それらすべて。

わたしのすべて。

すきで。

すきで。

まい日、こうして会いにきている。

こうして、あっていてそれだけで。

ことばが、もどってこなくても。

なにかほのぼのとしてしまう。

初恋でむすばれた。

わたしの。

恋人。

コウジ。

理沙子はぼろぼろと涙をこぼしていた。

声をあげて。

泣きだしていた。

コウジ。


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