田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

封印/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-02-07 20:03:42 | Weblog
7

勝道上人の結界がほころんでいる。

翔太はその思いつきを一刻も早く織部にはなしたかった。

(なにを翔太。焦っているのだ)

さきほど。

サイキックパワーを全開させた。

愛する玲菜のショーの会場で暴れたヤクザにVがいた。

深紅色の眼光をみたとき、われを忘れて攻撃した。

両手の平をそと向きにかまえた。

つきだした掌の底辺に念をこめた。

そして一気に念パワーを投げつけた。

放射したのだ。

超能力を始動させないようにしてきた。

それが今夜おもいっきり解き放つことになった。

(翔太。あせるな。

おもいつきで、現実を解釈しようとするのは、危険だ)

それでも織部にきいてもらいたかった。

勝道上人が天平時代の二荒、日光の地の諸悪を封印した。

二荒山、男体山を開山したということは、山岳ルートを確保した。

ただそれだけのことではなかった。

あらぶる者たちを治めたのだ。

その封印がほろびかけているようにおもえる。

瀧尾古道の荒れ方が異常だ。

巌に安置されていた十二神将が地震でいためつつけられている。

(翔太。あせるな。あせるな)

翔太は玲菜にメールを打った。

ごめん。もどれない。

Vの飛び去った方角が日光だった。

ただそれだけでひらめいた憶測だ。

まちがっていたら。

織部先生にわらわれてしまう。

それでもいい。

この宇都宮の街の未来をスキャンしたときに。

暗闇しかかんじられなかった。

Vが大勢でわるさを始めた。

かれらはどこからくるのか。

どこからわいてきたのか。

逃げた先が日光だとすれば。

なにか見えてくるような気がする。

千三百年にわたる封印がやぶられたのだ。

織部は翔太のはなしをきいた。

わらわれなかった。

あんがいそんなとこかもしれないな。





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ああ、快感。