田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

涙/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-02-09 22:05:09 | Weblog
2

「コウジ。

どうする……わたしどうしていいかわかんないよ。

まいにち、コウジに会いたい。

わたしが東京へいったら会えなくなるよ。

わたしコウジに会えないでいるのつらかったもの。

コウジはわたしに向ってくる途中でVに精気すわれちゃったんだものね。

わたしがここにいてやらなかったらかわいそうだよ。

コウジはわたしのところへ急いでいる……。

それなのに、わたしがいなかったら……」

理沙子はいつものように。

悲しみをこらえて。

コウジにはなしかける。

涙がホロホロとコウジのほほにおちているのを。

理沙子は気づいていない。

「T大の試験は受ける。

きっと、合格するだろうよ。

それからまたかんがえる。

入学するかしないかは……。

それからかんがえればいいことだ。

父の意見は、たしかに賢い選択よね」

理沙子は泣きだしていた。

ひくっと、コウジの指が動いた。

理沙子は気づいていない。

「ねえ、コウジどうしたらいいの」

指が動いている。

指がなにか伝えようと動いている。





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ああ、快感。


進路/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-09 08:37:02 | Weblog
第六章 進路の悩み/理沙子

1

「川村さん。

いまになって、進路かえるの?

操高校としても……。

ひさしぶりでT大理科三の合格者がでると…‥。

期待していたのよ」

職員室にのこっていた教師の目と耳が理沙子に集中した。

発問した担任の蒔田もじっと理沙子の応えをまっている。

父や母とおなじことをいっている。理沙子はかたまった。

(コウジについていてやりたい。

心肺停止の結果、低酸素脳症を起こした。

というのが一般の病院で出した結論だった。

覚醒連では吸血鬼に精気を吸われ過ぎたことが原因とみている)

なんとか、たすかるかもしれない。

あれほど青ざめていた顔色に精気がもどってきた。

じっと、理沙子をみつめるようになった。

このままコウジをおいて上京するわけにはいかない。

「明日までには……はっきりさせますから」





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