田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

忍者の隠れ家/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-10-08 05:46:06 | Weblog
14

 すれちがうひとびと!
 とくに酔客。
 ギラギラした顔だ。
 いらいらした視線をなげかけてくる。
 でもかれらは酔って感覚が鈍くなっているからしあわせだ。
 わたしは……
 怖い。
 いままで純とふたりでとてもたのしかったのに。
 ――乗っ取られそうだ。
 わたしがわたしでなくなっていく。
 兇暴な音波攻撃。
 キーンという金属音。
 みみのなかに、だれか入りこんでくる。
 わたしはなにか怪しい、異なるものに取りつかれている。
 乗り移られそうだ。
 だれかいっていた。
 アキバの刺殺魔だったかしら。
 悪魔の声が聞こえた。
 悪魔に命令されてヤッタ。
 そんなことは……裁判員は認めないだろう。
 でもわたしにも聞こえる。
 いまならわかる。
 彼のいってたことが、
 本当だったのだ。
 拒まなければならない言葉。
 意識。
 憑かれそうで怖い。
 ――純、助けて。
「翔子。鬼切丸の柄を握れ。鬼切丸に祈るんだ」
 見れば!!!
 純は鬼切丸を左手に持ち暗い階段を上っていく。
 エビ通りの外れだ。
 香ばしいエビを焼く匂い。
 この雑居ビルにまで入り込んできている。
 周りにはまだ浮遊霊。
 こちらをうらめしそうににらんでいる。
 あの霊たちも、悪魔にみいられている。
 純が異常なしと認めたのか!!
 薄汚れた木製のドアを開く。
 花火でも調合しているような机上の道具。
 機材。
 粉末の臭い。
 ここだぁ?! 
 ここにちがいない。
 翔子は偶然あのしかけられた爆薬の製造現場を見つけた。
 いやちがう。
 わしたち導かれている。
 誘われている。
 危険危険危険。
 奥の扉が開いた。
「よく来たね。待ってたよ」
 小学生。
 だ。
 くろの学生服を着ている。
 いや、ちがうよね、純。
 あれは忍者の黒装束。
 リリパッドの忍者の巣窟にいる。
 わたしと純。
 不穏分子のアジトを発見。
 そして、隣の部屋からはカボソイ悲鳴。


今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村