田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

翔子、ヤバイ!!/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-10-11 03:29:09 | Weblog
17

翔子は壁際まで追い詰められた。
土蜘蛛のあやつる三節棍はヒュヒュと風をきって襲ってくる。
太刀の打ち込みとはちがう。
太刀は直線的だ。
三節棍は曲線的。
あるいは半円形に迫ってくる。
かわすのは困難だ。
そして低い位置からその棍はくりだされる。
鬼切丸が健気にもそれを受けている。
翔子は必死でドアのほうに移動した。
背中には壁が冷酷にそびえている。
「純!! おねがい、開けて。純どうしたの」
いくらドアで塞がれてるとはいえ、静かすぎる。
ヒトの気配が伝わってこない。
隣室に潜んでいた土蜘蛛は全員ここにいるというのか!?

やっとドアにたどりついた。
叩く。叩く。叩く。
「純――!!!」
語尾か絶叫となった。
脚が折れたかも。
棍がまともにヒットした。
ドアをたたくために右手を柄からはなした。
それがまずかった。
棍の打ち込みを受けた。
受けるのは受けた。
だが……力が足りなかった。
ヨロケタ。
翔子の頭上に棍がふりおろされた。
バシャと音がした。
棍がはね返されていた。
「お久しぶり。ショウコ」
ルーマニヤ・バンパイアの紅子が翔子をかばっていた。
「紅子」
「歌舞伎町にはいつもいるの。きようなんかすごく楽しかった」
翔子の気配を感じたのだという。
紅子のほほが赤い。酔っているようだ。
「飲んだの」
「ナイフの刺殺魔のオコボレだから、ゆるして翔子」
「助けにきてくれて、ありがとう」
「翔子。傷ついてる。かわいそう。あんたら許さない」
紅子の口が耳までさけた。
犬歯がニョキッとせりだした。
目が赤ひかっている。
土蜘蛛がそのすさまじい形相にたじろぐ。
そこへさらに、百子の配下のクノイチが雪崩れこんできた。
「翔子。遅れて、ごめん」


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