田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

異界への入り口/麻屋与志夫

2010-10-17 18:47:57 | Weblog
10月17日
●ひさしぶりで、プログ。風邪をひいてしまい昨日は「さすらいの塾講師」は休んでしまった。きょうはだいぶ良くなった。あすからまた塾があるのでがんばらなくては……。そんなわけで、きょうの小説はごらんのようにすごく短い。
●そこですこしオシヤベリをしたくなった。
●このところ、郷里出身の作家がふたり他界した。田中文雄と立松和平だ。わたし個人としては田中文雄のほうが好きで、ほとんど全作品を読んでいる。すごい作家だった。だった、と過去形で語っていることが、いまだに信じられない。
●異形コレクション。などでの活躍はすばらしいものだった。その田中氏が、ともだちにいったそうだ。「どこかに異界への入り口があったら教えてください」
●その答えがここにある。あなたが通った宇都宮高校(小説では滝が原高校)から鹿沼にかけての場所に異界の扉が開けている。ここは、九尾の狐で有名な那須野が原の南端。むかしから怪奇な事件が起きている。宮崎駿雄幼少期をココで過ごしている。「千と千尋の神隠し」の火事のシーンは宇都宮の空襲を体験しているのでそのイメージで描いた。と、どこかで読んだ気がする。
●長坂にあるY病院の脇を流れる姿川にそって南下する野歩きをしたい。あのあたりは、歌枕がないから地霊がさわぎださないか、奈良の明日香に似ている。ずうっとさらに南下すれば下野の国分寺のほうまでつづいてている。道鏡のなくなった薬師寺なんかもいってみたいな。とまあ、元気になったので夢がひろがります。
●地霊がさわがない? いや白昼このあたりの野歩きをしているとけっこう、いろいろなことを幻視できます。怖いですよ。それには歴女ならぬ、歴史男にでもなるつもりで古事を勉強しなければね。
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純、死なないで/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-10-17 17:47:31 | Weblog
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耳もとで、死神の声がしていた。
純は少女をかかえたまま、なすすべもなく堕ちつづけていた。

「お迎えに来ました。迎えに来たよ。お迎えですよ」
どんなひかえめな表現をされても同じことだ。
「死ね!!」と大きな収穫鎌をふりあげられたほうが、気が楽だ。
それにわかりやすい。

あれは臨死体験だった。
あのまま時空のスリットを堕ちていけば、死霊にとりつかれていたろう。

腕の中の少女が重かった。

翔子の声がしていた。
……純、死なないで。
わたしを独りにしないで。
一人にしないで。
ひとりにしないで。 


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