日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
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これほどためになる本はめずらしいと言い切ってしまったほど気に入った新書「失敗は予測できる」の著者、中尾政之氏が先に書いた本なので読んでみた(発行は2005年)
ちょうどアップしようとしていたら、タイムリーな話題がネットに!

<日航機ニアミス事故の控訴審、管制官2人に逆転有罪判決
<静岡県焼津市上空で2001年1月、日本航空機同士が異常接近(ニアミス)して
<乗客57人が重軽傷を負った事故で、業務上過失傷害罪に問われた国土交通省東京
<航空交通管制部の管制官両被告の控訴審判決があった。 

新書だった「失敗は予測できる」とちがい、この本では350ページにわたって41パターンに分けられた事故事例を紹介しているが、この日航機ニアミス事故も含まれていたので引用したい。

それは、事例33.5 「焼津上空でJAL機同士がニアミス」の項。
ここでは「管制官は完全に頭と口が剥離しており、逆の飛行機に降下指示を出していた」と記述されており、とっさに衝突を避けた機長がヒーローでなく逆に犯罪者扱いされたことを嘆いている。と同時に管制官がマスコミで犯罪者扱いになっていることも言及しているが。

この本で非常に優れたところは、様々な失敗事例に含まれている本質的な上位概念を掘り出す作業を行い、30文字程度の短文数行による「シナリオ」部分でまず一元整理し、問題点を浮き彫りにしていること。
このため事故当時の報道を疑い、かつ意図的に隠蔽された情報なども掘り起こすこともしており、非常に明快でわかりやすくなっている(もちろん解釈の正当性という問題からは逃れられないのだが、あくまでも将来へ生かすとう点で前向きにとらえたい)

取り上がられている事例は、タイタニック(1912)、ヒンデンブルグ(1937)なんてところから、森永ヒ素ミルク事件(1955)、アポロ13号の生還(1970)、スリーマイル原発(1979)ソ連戦闘機の大韓航空機墜落(1983)、横浜市立大学患者取り違え(1999)、証歩道橋上の圧死(1999)、コンコルド墜落(2000)、スーパーカミオカンデの連鎖崩壊(2001)スペースシャトル・コロンビア号墜落(2003)、etc....とさながら20世紀~現在を俯瞰する内容となっていて、興味がつきない。
ただし目的は歴史ではないため、そしてこれらの事例は41パターン別に類似事例とともに紹介され、よりその失敗パターンを容易に理解することができる。

すごいのは、この内容は本でも読めるのは当然として、なんとネット上でも読めることである。
(41パターンかされてはいないし、たまたまか上記の日航の事例は含まれていないが)
あくまでも「失敗学」の目的は将来の事故を防ぐことを目的としているからである。
素晴らしい!

http://www.sydrose.com/case100/index.html

ご興味がわいた方はぜひ行ってみることを強力にお勧めする。

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