日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 





保守的なプロダクションをメインに据えていることの多いMET(と過去、言われてきた)
が、ピーター・ゲルブ総裁の就任以降、「オペラの革新」を続けてきた。
演出に、ジュリー・テイモア、アンソニー・ミンゲラ、そしてロベール・ルパージュなどなど...

今季2012-2013のそういう新機軸方向のひとつが、ヴェルディ「リゴレット」新演出。

今回抜擢され演出するは、マイケル・メイヤー。
「モダン・ミリー」「春のめざめ」でトニー賞を受賞、ミュージカル演出で知られる巨匠。



このドキュメントが先日放送されたので、さっそく視聴。
METライブビューイングで既におなじみステージ責任者から、衣装係、ホール案内のおばさんまでが登場するだけで楽しくなってしまう。
彼らが、挑戦者マイケル・メイヤーをバックアップしながら、新演出が創られてくる。

彼が「1600年代 イタリア」の享楽的でやや堕落した世界観を現代的に共感させるべくひらめいた発想がユニーク。
設定を「1960年代 ラスベガス」に置き換えたのだ!(写真)
確かにアメリカのブライトサイドが集結した世界は、享楽的なバックグラウンドとして似ているかもしれない。

実は、当ブログはこのビューイングを観に行ったのだが、感想アップをしていない。
ぶっちゃけ! あまりにビックリして、何とコメントしていいかイメージできなかったのだ(笑)


今回のドキュメンタリーでわかったのは、本番までの時間がミュージカルと比べ、恐ろしく厳しいこと。
本読みが本番開始約一ヶ月前(!!)
その間に組み上がってきたステージで実際に演出を検討できるのが3週間前(!!)
しかもMETの舞台はひとつしかないので、他の数種の舞台の「設定→本番→ハケ」の合間を縫って短い時間の中で組み上げていかなければならない。
こりゃ、想像するだけで実に タフ!


このドキュメンタリーを観た後でも、未だにこの新演出について、どうコメントしていいか迷うところではある。
パトロンの一人が公演後、ある演出1点を褒めるのだけれど、その点については全く同感。
気に入った部分と、そうでない部分が入り交じる感情の中、そういう状態になってしまうのだ(笑)

だが、こういう刺激こそが「オペラを新しくしていく」ことには全く異論がない。
このドキュメンタリーの視聴を通して、その想いはより強化された。
NYだからできる こういう野心的な試みに、精神的ニューヨーカー(て言うか元ニューヨーカー)な当ブログとしては、拍手を惜しみなく送りたい。

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