日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
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パルシファルは、ワーグナーが 「台本・楽曲」共に企画した、彼の最後の作品。
METの新演出版が、今シーズンのトリとして登場したので、さっそく初日に。


注目の演出は、初選出となるフランソワ・ジラール。
指輪の新演出を手がけたルパージュ同様、ケベック州出身。
とくると、やはり彼もシルク・ドゥ・ ソレイユ人脈なのだ。
参加した作品は、日本独占で公演された「ZED」
それだけでなく、数本の映画の監督・脚本を経験済。

その彼の演出は、どちらかといえば「シンプル」
第一幕、巨大な鏡?(と解説で説明があった)がほぼステージ全面に張られており、その面にダイナミックだが抑えめに自然の風景他。
演者は、巨大な岩盤のステージの上で行う。
オーバーかもしれないが、昨年印象に残った「メランコリア」に近い印象(写真)
終末的なムードが似ていたかな?あっちも音楽がワーグナーだったせいもあるかも(笑)

第二幕は全く印象が変わり峡谷のイメージに、水を張ったプールをベースに。
血をイメージした水面となっていて、こうした演出はMET初のことだそう。
ルパージュの演出は異常に金がかかったが、ジラールの場合は、現実的に演出を検討した上で、その効果を最大限発揮している、という印象だった。

また演出で非常に好感を持てたのが、終盤に向けて「宗教色」がどんどん色濃くなる第三幕。
「あえて」ここでは派手な演出を抑え、現代のちょっと先に設定した時代設定がぶれないように自制していたのだ。
前回紹介したメイヤー「リゴレット」とは同じ現代をテーマとしながらも、全くもって対照的な舞台づくりに唸った。
こうした工夫の結果、この物語が主人公の成長物語であることにフォーカスされ、共感力を高めている。

そうなると、やはりふれざる得ないのは、主人公パルシファルを演じる現代最高の歌手の1人、ヨナス・カウフマン。
チャンピオンズリーグ決勝でもアンセムを歌った彼が、ライブビューイングに向け過去最高とも言えるだろう歌唱を展開。
特に第二幕後半は、どうしても(一回5000円)もう一度観たいと思わせる出来と言っておこう!

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