アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

自分で「自分の人権」を守った

2024年06月17日 | Weblog
 「障害者の人権を守ろう」、人権啓発で常に唱えられています。高齢障害者である私の人権は、守られているか?今のところ嫌な思いをしていないので、守っていただいていると思います。一方的に守っていただくだけで、こちらからは何もできないのが少々心苦しいのですがね。

 自分たちの人権を守ってくれる人などいない中において、自分たちの人権を自分たちで守った出来事がありました。
 コロンビアのアマゾンの密林で、小型飛行機の墜落事故がありました(2023年6月)。事故後40日ぶりに、飛行機に乗っていた先住民の「兄弟姉妹4人」が、無事に発見されました。ジャングルで生き延びるための「知恵と並外れた勇気」が称賛を浴びました。
 ジャングルの中で、4人の人権は守られたか?守る人などいるはずもありません。4人は、自分たちの人権を、自分たちで守りました。この場合、「人権を守った」と言うより
 「人権を使った」という表現が適当だと思います。言葉遊びのつもりはありません。「人権を使う」は、能動的です。

 コロンビアの密林で、40日ぶりに兄弟姉妹4人が発見されたとき、すぐにペルー生まれの動物学者、ユリアナ・ケプケさんを思い出しました。50数年前、17歳だったユリアナさんが母親と搭乗していた旅客機がアマゾンの熱帯雨林に墜落しました。ユリアナさんはただ一人生き残り、11日後に救助されました。壮絶な生還劇は「奇跡の詩(うた)」の題で映画化されました。(当時23歳だった私も、その映画を観ました。感動しましたあ!)

 アマゾンの密林ですから、アナコンダ、ワニ、ピラニア、タランチュラ、蚊、ジャガー…恐ろしいなんてもんじゃない。
 アマゾン(ペルー)へは一度行きました。しかし、密林へ入る度胸はありませんでした。あの頃は、自分の足でどんどん歩けたのですがね。
 
 ユリアナさんは、ワニやヘビに襲われ、川ではカンジェロ(肉食ドジョウ魚)に足の肉を食いちぎられ、20センチメートルもあるヒルに血を吸われ、傷口は数十匹もの蛆(うじ)に食い荒らされていました。医師は、「全身に切り傷、刺し傷20ヶ所、両目は眼底出血、左鎖骨骨折…よく助かったものだ」と。死ぬか生きるかの11日間。アマゾンの密林で一人ぼっちですから、自分の人権は自分で守らなければなりません。守っているだけでは、食料を入手することなどできません。ユリアナさんは、人権を使って、「生きるために生きた」わけです。
 ユリアナ・ケプケさんはご健在で(現在69歳)、ペルーで動物保護団体を率いておられるとのこと。