井伏鱒二の山椒魚・・・滑稽と悲哀。自分があの山椒魚だったら…おお、怖っ!
山椒魚が、のんびりしていたというか、うっかりしていたというか、学力が低かったというか、棲家の岩屋から出られなくなった。山椒魚は、穴の外の景色を眺めて暇をつぶすが、自由を奪われたと知り悲歎にくれる。ある日、迷い込んできたカエルを閉じ込めた。やるじゃないか山椒魚。カエルと、論争する…いくら議論を戦わせても、山椒魚が岩屋から出る見通しはつかなかった…。
後日談として…鱒二さんったら、自選全集に収録する際(1985年)、終結部を改作した(削除したという方が正しいかも)。
「オレの作品をオレが変えて何が悪い!石垣市議が我が国の領土である尖閣諸島へ上陸して何が悪い!それと同じだっ!」(注:このセリフは、私が勝手に創作しました。鱒二さんはこのような下品な言い方はしなかった)
鱒二さんは、名前に「鱒」がつき、作品が山椒魚…。さしずめ、元祖「さかなクン」ってとこでしょうか。さかなクンは、「クニマス」で、天皇陛下からもお褒めの言葉をいただきました。
忘れもしない、1997年4月14日。ギロチンが執行されました(諫早湾奥が閉め切られた)。
私は大変なショックを受けました。干拓事業に反対だったのかって?イエイエ、そのような難しいことは分かりません。光があれば陰ができるわけで、干拓に賛成の人はギロチンバンザーイですし、反対の人は、堤防を爆破したい思いでしょう。
私のショックは、「諫早湾奥を閉め切り、ムツゴロウを山椒魚にしてしまった」ということのショックでした。平和に暮らしているものを、退路を断って、しまいに殺してしまう。ムツゴロウのような下等な生き物はいくら殺してもいいって?ムツゴロウが下等か上等かはこれまた分からないが、命を消すのは良くないに決まっています。
「なぜ、人を殺してはいけないんですか?」児童からのこの質問についての話…先生が答えられなかったという。河合隼雄さんは、「それは神様がそう決めたからだよ、と、答えると良い」と。また、大江健三郎さんは、「普通の状態の子供から、そのような質問は出ない」と。
諫早湾干拓推進派は、「なぜ、ムツゴロウを殺してはいけないんですか?」と、質問するかなあ?
河合隼雄さんなら、「それは、神様がそう決めたからだよ」。大江さんなら、「その質問が出るということは、今、あなた方は普通の状態ではないからなのですよ」…これもなかなか説得力がある。
あれから13年。取り残されたムツゴロウ、ハゼ、カニなど多くの干潟の底生生物は干からびて死んだ。渡り鳥が羽を休めた湿地も消え、秋には真っ赤に染まっていた七面草も枯れた。…こうなることは、見えていた。
そして、この度の福岡高裁判決。「排水門開門」。菅直人首相は(干拓事業を進めてきた)、国として上告しない…。
無駄なことばかり!門を閉めたこと(ギロチン)により、何千億円遣った!?今度は開けるという!干拓地農家への用水確保や塩害防止に一体いくらのお金がかかる?!そして、反対派、賛成派の憎み合い…修復不能。
ムツゴロウをはじめとする、干からびて死んでいった無数の貴重な生き物たち。こちらは修復はもちろん不能だが、問題はそれでは済まなくなってしまっている。自然に対し、畏れおおくもギロチンの刃を落としてしまった。すでに生態系は破壊されている。今後、異常気象、塩害、砂漠化…と続いていく。神様の決めたことを守らなかった罰・・・。
明日から、新しい年。なんとか、ムツゴロウをはじめとする干潟の底生生物が復活するといいのですが…。
山椒魚が、のんびりしていたというか、うっかりしていたというか、学力が低かったというか、棲家の岩屋から出られなくなった。山椒魚は、穴の外の景色を眺めて暇をつぶすが、自由を奪われたと知り悲歎にくれる。ある日、迷い込んできたカエルを閉じ込めた。やるじゃないか山椒魚。カエルと、論争する…いくら議論を戦わせても、山椒魚が岩屋から出る見通しはつかなかった…。
後日談として…鱒二さんったら、自選全集に収録する際(1985年)、終結部を改作した(削除したという方が正しいかも)。
「オレの作品をオレが変えて何が悪い!石垣市議が我が国の領土である尖閣諸島へ上陸して何が悪い!それと同じだっ!」(注:このセリフは、私が勝手に創作しました。鱒二さんはこのような下品な言い方はしなかった)
鱒二さんは、名前に「鱒」がつき、作品が山椒魚…。さしずめ、元祖「さかなクン」ってとこでしょうか。さかなクンは、「クニマス」で、天皇陛下からもお褒めの言葉をいただきました。
忘れもしない、1997年4月14日。ギロチンが執行されました(諫早湾奥が閉め切られた)。
私は大変なショックを受けました。干拓事業に反対だったのかって?イエイエ、そのような難しいことは分かりません。光があれば陰ができるわけで、干拓に賛成の人はギロチンバンザーイですし、反対の人は、堤防を爆破したい思いでしょう。
私のショックは、「諫早湾奥を閉め切り、ムツゴロウを山椒魚にしてしまった」ということのショックでした。平和に暮らしているものを、退路を断って、しまいに殺してしまう。ムツゴロウのような下等な生き物はいくら殺してもいいって?ムツゴロウが下等か上等かはこれまた分からないが、命を消すのは良くないに決まっています。
「なぜ、人を殺してはいけないんですか?」児童からのこの質問についての話…先生が答えられなかったという。河合隼雄さんは、「それは神様がそう決めたからだよ、と、答えると良い」と。また、大江健三郎さんは、「普通の状態の子供から、そのような質問は出ない」と。
諫早湾干拓推進派は、「なぜ、ムツゴロウを殺してはいけないんですか?」と、質問するかなあ?
河合隼雄さんなら、「それは、神様がそう決めたからだよ」。大江さんなら、「その質問が出るということは、今、あなた方は普通の状態ではないからなのですよ」…これもなかなか説得力がある。
あれから13年。取り残されたムツゴロウ、ハゼ、カニなど多くの干潟の底生生物は干からびて死んだ。渡り鳥が羽を休めた湿地も消え、秋には真っ赤に染まっていた七面草も枯れた。…こうなることは、見えていた。
そして、この度の福岡高裁判決。「排水門開門」。菅直人首相は(干拓事業を進めてきた)、国として上告しない…。
無駄なことばかり!門を閉めたこと(ギロチン)により、何千億円遣った!?今度は開けるという!干拓地農家への用水確保や塩害防止に一体いくらのお金がかかる?!そして、反対派、賛成派の憎み合い…修復不能。
ムツゴロウをはじめとする、干からびて死んでいった無数の貴重な生き物たち。こちらは修復はもちろん不能だが、問題はそれでは済まなくなってしまっている。自然に対し、畏れおおくもギロチンの刃を落としてしまった。すでに生態系は破壊されている。今後、異常気象、塩害、砂漠化…と続いていく。神様の決めたことを守らなかった罰・・・。
明日から、新しい年。なんとか、ムツゴロウをはじめとする干潟の底生生物が復活するといいのですが…。