台風15号が千葉県を襲った。
テレビや新聞の報道を見ていて、もっとも感じたことは、行政を当てにできないということだ。
初動が遅いということは、テレビや新聞で報道されているので詳しくはそちらに譲る。
千葉県を襲った今回の台風の本質は、地球高温化による脅威である。
特に台風の風速が加速される、台風15号の東半円に入った地域の被害が著しい。
ちょうど、千葉県の房総半島南部から北部へかけて、台風の東半円と東京電力の長時間停電の地域とがぴったり重なる。
つまり、台風の東半円に入ることは、台風の接近に加えて、より以上に生命に危害が及ぶ、最大の危機に瀕する地域ということである。
そこで、一人の市民としてテレビや新聞報道を見聞きして、これからこうした主に風速40メートル毎秒にも及ぶ危険な台風にたいしてどう対処したらいいかを具体的に考えて、まとめてみた。
最初に断っておくが、これらの知見はテレビ局のクルーが現地へいち早く飛んで、被害に遭われた市民の方から直接話を聞かれたり、状況を撮影したりしたテレビ映像や新聞記事から得られたものである。
その意味で、被害に遭われた方に心よりお見舞いするとともに、特にフジテレビをはじめとするテレビ局のクルーが、行政に情報が集まり始める前に現地へ飛んで映像として放送されたご苦労には、敬意を表すとともに心より感謝申し上げる。
それでは、具体的にこうした強烈な暴風雨に対するために、準備しておくことを重要度の高いものから列挙する。
(1) 電源を確保して、携帯がなくても情報を必ず得られるようにする。
特に映像による気象情報や避難情報、そして、救急物資の配布状況を把握できるようにする。
そのために、ラジオか携帯テレラジオを準備する。車載テレビかラジオでもよい。
出来れば、複数代替できるようにする。
情報を把握できないと、孤立感が高まり気力が失われる。
印象的だったのが、フジテレビのクルーが取材した一人暮らしの高齢の男性の言葉であった。
平屋の屋根を吹き飛ばされ、ブルーシートをかけた住宅に住まわれていたその高齢の男性は、取材に力なく、
「どうしようもない」
と力なく答えていたが、
最後に、
「でも頑張るしかない」
と答え、フジテレビのクルーに取材されたことにより元気を取り戻すことができていた。
人が来るということは人間をここまで元気にさせることができるのだと感動した。
人間を元気にするのは人間しかいないのだ。
こうした、災害に必要な情報(事後対策を含め)を私が集めることができたのは、テレビの力が大きい。
時々刻々と、被災地の情報を伝えてくれる。
なのに、行政は何をやっているのだろうかと何度思ったことだろう。
被災地の情報は、今や衛星もあるので、分析しようと思えばいくらでもできたはずである。
そこまでいかなくても、ヘリコプターを飛ばせばすぐ集められたはずである。
被災地の自治体から情報がはいらないのなら、なんで自分から情報を集めようとしないのか?
これが、今回の台風被害の被災地の方々のいきどおりにも近い思いではないだろうか?
そうした、ツールはない一般人の自分がテレビや新聞から得られる情報だけでこれだけ分かるのだから。
内閣改造と重なり、首相は改造内閣閣僚の発表にあたり冒頭、被災地に至急対応するよう述べていた。
ならば、環境大臣はまず、福島ではなく千葉県へヘリコプターで派遣すべきではなかったのか?
千葉県の被災地の人はみな口には出さないがこう思っているのではないか?
事実、新聞報道によると被災地のある高齢者が、
「行政は、国も県もあてにならない」
と断言していた。
ブルーシートすら配布されなければ、そう思うだろう。
誰だって。
国は地球高温化の影響を甘く見ているのか?
今回の台風はとんでもない事態が迫っていることを如実に物語っているというのに。
これまでの行政がどれほどよくても、ゼロになる。
たった一つのミスで。
(2) 停電に備え、クーラー(冷房)を家の外でも使えるようにする。
具体的には、車のガソリンを常に半分以上確保し、家の中でクーラーが使えなくとも車載のクーラーに頼れるように常に準備をしておく。
実際、今回の台風では、アクアラインを渡って川崎方面でガソリンを満タンにすることすらできなかったと、ガソリンスタンドに朝早くから給油待ちをしている女性が答えていた。
ガソリンが空に近くなり、アクアラインの途中でエンストの可能性があったためである。
同時に、ガソリンと車は停電した地域から脱出するためにも、必要不可欠といえる。
ガソリンがないと冷房や脱出や、買い物、水・食料など避難物資の獲得さえ不可能となるからだ。
テレビ報道によれば、家が停電していても、プリウスαがあったため、子供たちだけでも夜プリウスの車内冷房で寝ることができ熱中症にならずにすんだということを取材されたこの家の母親が答えていた。
また、この家ではプリウスαのサービスコンセントからケーブルで家まで配線を伸ばし、炊飯器で暖かいご飯を炊いて食べられたとのことである。
もちろん、ご近所にもお裾分けしとても喜ばれたとのことであった。
すでに、述べたようにハイブリッド車でサービスコンセントがついている車種ならば、テレビ、ラジオといった情報をとることだけでなく、車載のクーラーを使うことができる上、サービスコンセントを使えば小型の炊飯器や調理器具まで使うことができる。
もちろん、携帯の充電は言うまでもない。
これなら、冷たい弁当やおにぎりだけに我慢することなく、子供やお年寄りの災害によるストレスは、一挙に低減することだろう。
もうひとつ、プリウスαでは夜間車内で子供たちが寝ることができたようだが、後席がフルフラットになって、荷室と一体になることができたのがよかったのだと判断できる。
小さい子供や高齢者がいる場合は、こうした大きめの車が今回のような災害に対して必須と思われる。
(3) ブルーシートは数枚必ず家で備蓄して、屋根を飛ばされたときにおおえるようにする。
今回の台風で最も足りなかったのはブルーシートだったようだ。千葉県のある自治体確か市原市は、県に支給してくれるよう要望したら、船橋や千葉などの倉庫にあると言われ、わざわざそこまで取りに行ったようだ。
こうした、状況では雨が降ったら終わりである。
たとえ、2階の屋根が吹き飛ばされても、2階を覆うようにブルーシートを覆えば、1階でなんとか雨露をしのぐことができるようだ。
貴重品も家にはあるので、簡単に家から離れることは普通できないだろう。
そのためにも、ブルーシートは必須である。
この国の非常時の行政をあてにしては、だめだ。
死ぬしかなくなる。
寝るところも食べるところも失う。
(4) 釣り用のクーラーボックスの大きめのものを2,3こ、普段使い(非常時食料の収納等に利用)をしながら常備する。
これは、電気が来ない冷蔵庫用である。
まずは、冷蔵庫をできるだけ開けないようにして、冷凍庫以外のものから食べるようにする。
そして、冷凍食品や氷を中心に釣り用クーラーボックスに保管する。できるだけ、隙間なくつめるようにする。
冷凍食品を氷代わりに使って、腐りやすい食品を保冷するのもいいと思う。
これで、かなりの食品を無駄にしないですむはずだ。
実際、テレビ報道では食品を廃棄して空っぽになった冷蔵庫がいくつも写されていた。
(5) 太陽光発電の非常時用モードを平時にできるよう試しておく。
我が家はないけれど、太陽光発電をお持ちの方は、是非、停電時に太陽光発電で冷蔵庫やテレビなどを使えるようにしておきたい。
具体的には、普段の停電していないときに、「太陽光発電で発電した電力を自家消費できるようにする設定方法」を操作パネルの近くに貼っておく。
テレビの報道によると、停電でどうしたらそういうモードにするか電話ができなくて、メーカーに問い合わせすらできなかったようだ。
発電しているのに使えない。
宝の持ち腐れである。
また、そうした切り替え機能がない太陽光発電は意味がないとも言えそうだ。
あくまでも、強風で飛ばされなければの話だが。
(6) エネルギーの一極集中は避ける。
具体的に、電気がだめならガス、ガスがだめなら電気というように、エネルギーの分散を図ること。
我が家も炊事はIHであるが、風呂はガスである。
もちろんそれさえ電気が来ないと入れない。
しかし、配管はあるので、いざとなれば、最低炊事は出来るようになっている。
湯さえ沸かすことが出来れば、暖房も含めて何とかなるからだ。
家には、基本料はかかってもどちらも引き込みたい。
冬場の災害ではまさに、生死にかかわる。
ブラックアウトになった北海道がつくづく真冬でなかったのが不幸中の幸いと思う。
最後に、この国の非常時の行政がだめになってしまったのは、訳があると考えている。
優秀な人材が、行政に少なくなってしまったからである。
どこかの国と同じである。
優秀な人材は、行政より民間にいってしまう。
馬鹿な上司に仕えるなら、金の方がいいと誰でも思うだろう。
(これは、誤解を受けそうな表現だが、本当は、ちゃんとしたことをきちんとしている民間には、お金がちゃんと入るということを言っている。逆に言えばちゃんとしたことをしている優秀な上司がいる行政には、優秀な人材が集まる。民も官も同じだ)
こうして、行政(民間も)は非常時のコントロール力を失う。
そして、政治(会社)に対する市民の支持も失う。
ボーイングが未だに最新鋭機と言われているボーイング737MAXを飛行させられないのは、優秀な人材が監督当局に不在で、航空会社をコントロール出来ないかららしい。
新聞報道によれば、ボーイングは対抗機種との競争の結果、737MAXは急いで開発しため、機体バランスが崩れて自動制御に不具合が起き(センサーと自動制御装置が勝手に降下する指示を出し降下し始めるが、パイロットがそれを解除できない)、インドネシアとエチオピアであいついで墜落したらしい。
この欠陥を監督当局が知りながら、業界に牛耳られていたため、737MAXの飛行停止を決断したのは、世界の航空当局が軒並み運行停止を決めた後だった。
結果、米国の監督当局(FAA:米連邦航空局)の信用は、地に落ちたという。
この国も同じである。
優秀な人材が政治や行政に少ないから、自分から情報を取りに行くという柔軟な発想が出来ないのだ。
残念なことに。
そして、誰一人、地球高温化の危機をコントロールできなくなる!!
追加事項があったら、補足していきます。