おジャ魔女どれみと徒然

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私の知らないわたしの素顔について、そのクララ24歳

2023-05-17 20:26:00 | シリアス・サスペンス

 美しき大学教授のクレール。
 充実した生活を送っていたが、50に差し掛かる年齢。

 ふと不安に駆られる中、年下の恋人にあっさり振られてしまう。
 関係を諦めきれないクレールはSNSで、彼と繋がろうとする。

 それが、悲劇の始まりと知らずに──。

 『SNSをテーマにしたヒッチコック作品』と各所で評判の高い映画。
 正直、ロマンスを求めて見たんだが、大いなる勘違い。

 鬼気迫るサスペンス。度肝抜かれたなw
 甘口カレー頼んだら、10辛だった。これはこれで面白かったがw


 俺が見たのだと『罪と女王』に似てますかね。
 地位のある女性の豹変。そして、女の本性、女の嘘は男を殺す。
 
 まぁ、罪と女王ほど、おどろおどろしくはないが。
 ただ、悪意がない分、やりきれなさがさらに募る。

 映画のテーマである「透明人間」って考え方がよく分からない。
 自分の価値を自分で決められない人間……とはちと違うか。

 男とはまた違う、女の複雑で繊細な主張。
 恋愛と自分の身形や年齢が混ざり合い、蜜となりにもなると。

 SNSで「盛る」という行為。正に本当に、毒を盛ることになるとは。
 ネットの「あるある」が人を追い詰めるリアリティ。
 
 人間を映す鏡にもなってる。どう名乗ってもバレない限り関係ない。
 だからこそ、本性が表れる。欲望に拍車がかかる。

 嘘に騙される男も滑稽ですが。
 女の嘘が、死神の鎌だということを、クレールは後から気付く。

 この絶望感が何とも……

 
 主演は『ポンヌフ』のビノシュさん。名演というよりは怪演ですね。
 誰かに愛されたい、認められたいもどかしさ。

 承認欲求ってやつ。中年のくせに、って言ったら差別だけど。
 でも、この痛々しさ。ドツボにハマる感じ……ちょっと言葉を失う。


 『透明人間』の意味は後半に分かった。

 要は『君の名は』のあのシーン。
 まぁ、君の名はほど切なくも甘酸っぱくもないがw

 ただ突き放す。突き放すだけならまだしも、無視。
 視認されない。認識されない。透き通る。何も残らない。

 虚無です。虚無ではなく、純粋な無。
 ただ、この虚空の中に、人間の全てが詰まっているような。

 恐ろしい映画です。フランスって怖い映画しか作んないねw
 『燃ゆる女の肖像』といい、世の中を揺るがそうとしてる。

 人の心をざわつかせる。掻き乱す。傑作です。
 では、また。