『 ヤジと民主主義 』という本を読みました。
2019年に札幌で行われた安倍首相の参院選応援演説で、「帰れ、安倍やめろ」とヤジを飛ばした人が北海道警の警官に排除されたという事件を扱ったものです。
ラジオか何かでふと耳にして買い求めました。
内容は次のようなものでした。
第1部 ヤジと民主主義
第2部 何が裁判で裁かれたのか
第3部 北海道警元幹部に訊く
第4部 ヤジとメディア
とにかく内容が興味深いもので、飽きっぽい私でも一気に読み終わりました。
私は「忘れたくないところ」「もう一度読み返したいところ」には付箋を貼るようにしているのですが、今回は付箋の枚数が半端有りませんでした。
特に印象に残ったところを挙げると、
札幌地裁廣瀬裁判長の判決文もさることながら、警察官職務執行法第四条・第五条という法律があり、それらの法律は組織法で、これに基づき警察官が職務を遂行していること。
さらに、「カメラの前で堂々と警察は違法なことをやった。マスコミは無視されたんですよ。」という元道警幹部だった故原田宏二氏のことば。
また原田氏は、国家賠償訴訟裁判で北海道警が主張した「現場の警官の判断」は、要人警護において絶対にあり得ないと言い切ったこと。
どうやら当時の安倍首相は2017年の都議選でヤジを浴び、さらに「こんな人たち・・・」発言で批判を浴びたため、ヤジを恐れていたようです。それが、道警の行き過ぎた職務執行に繋がった気がしてなりません。
最後に、マルティン・ニーメラー牧師のことばが心に刺さりました。
『ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。私は社会主義者ではなかったから。
彼等が労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は労働組合員ではなかったから。
そして、彼等が私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。』
この10年間で、自民一強という名の元に「異見の排除」が進んでいるのでは・・・。
現代の「弁士中止」にも似た「ヤジ排除」でこんなことを考えてしまいました。
※この本は絶対お勧めですが、HBSTVの『ヤジと民主主義・・・』をYouTubeで観るのもいいと思います。