『クロ現+』を観ました。
今回のテーマは、「在留資格のない子供たち」
サムエル君という小学6年生に焦点を当て、国連から制度の見直しを求められている「入管法で期限が定められていない入館施設への収容」についてルポされたものでした。
この家族(父母子)は、母国の政情不安から日本に逃れてきたものの、来日から9年後の2度目の難民申請中だったある日、体調を崩し療養していた母親が更新手続きに行けず、自分と子どもたちの在留資格を失ってしまったのです。
在留資格を持たない外国人は、出入国在留管理庁が審査のうえ、国外退去の処分が下され、送還されることになります。
しかし、何らかの事情を抱え送還に応じない人は、難民申請者であっても原則、全員入管施設に収容されるのです。
国連に指摘されているのが、この無期限の収容です。
現在は2年間の収容の後、仮放免で母親は家族と同居しています。
しかし仮放免中は、「入管庁に定期的に出頭する」「許可のない移動は不可」「就労の禁止」「健康保険に入れない」など多くの規制があり、生活は困窮しています。
未成年者は収容されませんし学校にも通えます。全国に約300名ほどいるそうです。
これら未成年者の多くは、日本生まれなので日本語しか使えず、母国に強制送還されても生きるすべはありません。母国は日本と云っていいのです。
国外退去命令が出ている者の9割以上は、母国へ送還されていますが、1割弱は帰国を拒否しています。
その理由は、主に二つ。
「命の危険さえ感じざるを得ない母国の政情不安」
「日本人と結婚するとか、子どもが産まれるなど、生活基盤が日本でできた」
がために帰れない人たちです。
日本は2019年で認定率が0.4%。国際的に見て極めて低いものです。
迫害を恐れ、着のみ着のまま日本にやってきて助けを求めた人に対して、その『立証責任をすべて本人に求めている』ためにハードルが高い。
いわば、船の上で「君は不法乗船だから降りろ」「おりたくなかったら、(無一文を知りつつ)今すぐ金を払え」と云っているようなものです。
9割の帰国者の中には、犯罪につながるような受け入れがたい入国者も居るでしょう。
入管法の存在は、犯罪を未然に防ぐためにも必要な法律だと思います。
しかし、その法律が大雑把で、グローバル化が進んでいる現在の様々な事例に対応できていないような気がしました。
ましてや、不法入国者はバブル時代に労働者不足を補うために、違法を承知で利用してきた過去があり、そのまま日本に生活基盤を持った人たちが、バブル崩壊後苦境に立たされているのです。
利用するだけ利用して、不要になったら放り出す。こんな日本でいいのでしょうか。
コロナ過で経済弱者は追い詰められています。
その中でも生活保護受給者や非正規労働者と並んで、様々な理由で帰国できない外国籍の人も含まれるでしょう。
法治国家の日本ですが、血の通った法律であり行政であってほしいと感じました。
令和元年度不法残留者数 79,013名(前年度比6.5%増)