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文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

240204 縮む農村 対策急務 北海道新聞

2024年02月11日 09時53分19秒 | 書評
 240204 縮む農村 対策急務 北海道新聞

 岐路の農、危機の食 縮む農村 対策急務  20年後 農業者4分の1に減少予測

 「私が考える復活策は」
  「食料を取り巻く環境が揺らぐ中、農業・農村の復活にはどんな対策が必要なのか」
 「専門分野から安定供給を支えようと取り組んでいる3人に聴いた」。

 フランス料理シェフ         三国清三シェフ「付加価値で もうかる蚕業に」
 はるきちオーガニックファーム代表  小林卓也氏  「外から就職しやすい環境を」
 法政大学教授            図司直也氏 「都市や消費者に意義伝えて」

自身なら「消費者が価値理解し支える力量」を提案する。
 生産者が頑張れ。でわ、すでに【間に合わない】。
 そこまで、事情は規模しくなっている。「国産品を選ぶのは贅沢」。国政はそう言いたげ。
 
 本来の旨さ、本当のおいしさを自身の言葉で表現できる。自身で考える力が求められる。
 選ばれた選択肢から、あてはまる答えを見つけ出そうとすることでは、間に合わない。
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川に背で発展の近代、軌道輸送衰弱の現代 読みたい岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程』700130

2023年09月23日 08時40分07秒 | 書評
 川に背で発展の近代、軌道輸送衰弱の現代 読みたい岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程』700130

 都市で中心街空洞化が指摘される今。地域に移住を誘導した<母なる川>と向き合ってゆきたい。
 中心街は軌道交通の普及を背景に母川に背をむけて発展。軌道交通が地域特殊資源を失って輸送機能の頂点からスベリ落ちた。
 目をおおう中心街の荒廃。そうしたときに再度、目をむけたい。SDGs、2030年の地球危機のためにも。

 岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程』(塙書房 1970年01月30日 初版)は、「商品経済の発展と村落共同体」の副題をもつ。
 三陸海岸の宮古湾、大槌湾、釜石湾を舞台とする。
「漁村を中心とした商品経済の進展」。著者は注目する。

 共同体とは。
 「個人の自立的生活が不可能なため、集団を作って生産・生活をすることを余儀なくなされ、自然発生的に構成された組織」。
 自身が身を置く場で重要なのは会社組織。市民は当事者  能力をさておいて、組織の一員として生産・生活・環境と向き合う現代。

 近世の三陸社会に、特権商人=前川家の出現がある。
 しかし新時代に地域創造をめざすうえで、コミュニティ社会を生きる個人の<当事者意識>。
 地域再生のキーワードを学べる著作。岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程~商品経済の発展と村落共同体~』。
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「菱餅」「枇杷」 多川俊映著『俳句で学ぶ唯識 超入門: わが心の構造』210527

2022年11月20日 10時18分10秒 | 書評
 3月3日桃の節句。口に入りそうな<備え物>と言えば<白酒>に<菱餅>。

 菱餅は「菱餅とはひな祭りに食べる餅のこと」「(由来 菱形)心臓・心を模し、女子の健やかな成長・厄除け、長寿、子孫繁栄を願う」
 「由来 意味)母子草 ははこぐさ を入れ、母子が健やかであるようにとする願い込める」。
 最後に「(色、重ねる順番)よもぎ餅の緑+菱の実が入った白に<山梔子 さんしし が入った桃色(赤)>を最後=明治期になって加えた。

 多川俊映著『唯識 心の伸葬をさぐる」を読んでいると、しばしば次の二句が引用されている。
 菱餅の上の一枚そりかへり 川本臥風
 枇杷むけば種堂々と現れる 永六輔

 著者は繰り返して申している。
 「第六識は、いわば<枇杷 びわ>の皮の部分であったり」
 「三段重ねの<反り返る最上段の餅>こそ<意味やことばに相当>する、<第六識の上の一枚>のようなものであった。

 ここに述べられている「第六識」は「自己であり、わが心であり自分自身」。
 さらに「第七識は自己愛であり、自己中心性」
 最後の「第八識は過去の情報を記録し、人間一人ひとりの日常のすべてを発出 はっしゅつ=ある物事が現れでること・ある事象が起こること」と説明している。

 ほかにも短歌、詩の引用がある。
 そもそもたどってゆくと、本書に先行し『俳句で学ぶ唯識 超入門: わが心の構造』という著書が2021年に発行されていた。
 出版社は、つぎの紹介文を本書に寄せているようだ。

 「菱餅」「枇杷」 多川俊映著『俳句で学ぶ唯識 超入門: わが心の構造』210527
 「仏教の深層心理、唯識の世界の扉を開く、目からウロコの超入門」。
 「わたしの『心』とは何か」。
 「そして『世界』とは。難解な心の哲学、仏教唯識の考えを」、
 「俳句や短歌など日本の詩歌を通して、分かりやすく明快に、生きてあることの共感をも込めて解き明かす」。
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地域再生の10条 吉本哲郎著『地元学をはじめよう』(岩波書店 2008年)

2022年04月06日 09時30分01秒 | 書評
地域再生の10条 吉本哲郎著『地元学をはじめよう』(岩波書店 2008年)。

1)地域は<地域が水でつながっている>を見落としていた。
2)<ヒトが自然に近づきすぎ>て、自然の復元能力(自浄力)を超える負荷を環境にかけ続けた。
3)公共投資で水俣の自然は復旧したが、市民の間に生じた不信・不安・対立や差別は解消しなかった。
4)水俣市長が「もやいなおし」を宣言、市民間の差別と対立を修復する取り組みが全市に広がった。
5)<不信・不安・対立や差別は解消しなかった>理由は「調べる力、考える力、創る力が衰えている」点にあった。
6)「ものづくりや地域づくりはイメージする力」による。
7)地域にあるモノをつなぐ、つないで意味を造る、意味をまとめて付加価値を創出する。
8)「地域まるごと博物館」や「地域資源マップ」の取り組みを通じ、地域再生の取り組みが全市に広まった。
9)「課題解決では間に合わない、付加価値を創る」をめざす。
10)「対立のエネルギーがあれば、付加価値を創るエネルギーに変える」。

「人は絶望とウラミだけでは生きられない」、「人様は変えられないから、自分がかわる」という主張もある。
「我がコト」「自身のコト」。地域再生にかける熱意はどの地域も高い。確かな成果を残すためのポイントか。
(吉本 哲郎著『地元学をはじめよう』 岩波ジュニア新書  2008年)。
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「生きづらさを抱える他者に寄り添う寛容さ」 道内配布紙「社説」のキーワード01 220101

2022年01月01日 15時58分24秒 | 書評
「生きづらさを抱える他者に寄り添う寛容さ」 道内配布紙「社説」のキーワード01 220101

 「(他者も自信も)孤独の中に置き去りにしない」の論にくわえ、「生きづらさを抱える他者に寄り添う寛容さ」が提案されている。
  220101「社説 幸せ追い求める心の尊さーともに歩む明日へ(1)」(『北海道新聞』朝刊7面)。詳しくは全体を読むことに。
 注目される、年頭の社説シリーズ。その第一話。

  個人を価値の原点に
 「感染を予防しながら暮らしを組み立てていくことが、今を生きるために必要な条件」
 「(政治のシステムやビジネスの形)取り残され人を放置せず、将来にわたって持続可能な社会を築けるかが問われている」。
 『伝染病から社会を守るための特別の犠牲を、個人の負担に課するような事態を等閑視(おろそかに)することは許されない』
  =1984年、予防接種で子どもを亡くしたり、重い障害を被った親の集団訴訟で東京地裁が国に補償を命じた判決。
 「個人の尊厳を価値の原点とし、生命、自由、幸福追求をたいせつにする憲法の基本原理を重視。
 「個人が生きるための選択肢を確保し、各自の判断が尊重されることが社会の大前提」。「生きづらさを抱える他者に寄り添う寛容さが求められる」。

 民主主義を立て直す
 「(民主主義対専制主義など)『大多数の利益のためなら少数者は制裁を受ける』『独裁は民主主義に資する』という独自の主張を展開する」。

 変わる豊かさの意味
 「(道内の移住者増)豊かな自然と新鮮な食材などは=北海道の大きな魅力」「地元に値を張って仕事を続け、まちに貢献するそんな地域づくりが求められよう」。
 (220101 「社説 幸せ追い求める心の尊さーともに歩む明日へ(1)」 『北海道新聞』朝刊7面)
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「荒凡夫で」が「存在者として生きる」に 96歳の生き方『金子兜太 私が俳句だ』。

2021年12月18日 09時30分35秒 | 書評
「荒凡夫で」が「存在者として生きる」に 96歳の生き方『金子兜太 私が俳句だ』。

平凡社出版、「自叙伝シリーズの一冊」。
俳人・金子兜太の談話・語録。「荒」は、「自由に」との意味らしい。「凡夫」は「凡人」と訳するようで。
「トラック島での戦時体験、日本銀行での冷や飯、俳壇の保守がえり」。
金子が、よく口にした「金子兜太をささえてきた」三ヶ条と。

黒田自身が感動したという、「デモ流れるデモ犠牲者を階に寝かせ」。
「(樺美智子より一年年下の)学生だった私は、非常な感動をうけていた」と、若き日の金子との出会いを回想する。

「河より掛け声さすらいの終わるその日」。
原稿用紙になにげなく書き付けた9句。子息が、「今、書き上げました」と編集者に。
俳人でエッセイストの黒田杏子は、本句を「辞世の句」と解している。
金子自身に最後の句を残す意図はなかった、と見る。しかし9句中、8句目に記載の本句に着目。

金子兜太 かねことうた 『金子兜太 私が俳句だ』 平凡社 2018年8月
(平凡社紹介)「人生の先輩が切実な言葉で伝える語り下ろし自伝シリーズ創刊」。


https://www.heibonsha.co.jp › book
(帯)「もっと生きもの感覚を磨くことだ」「平凡に生きればいい」。
(カバー見返し)「人は言葉をたよりに生きている」
「言葉は人を励ましてくれる」「心にのこる言葉は、人に手渡すこともできる」。
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「余裕のないその日暮らし」=江戸、下層民の生活 池上彰彦著「下層町人の生活」を読む210920。

2021年09月20日 10時32分06秒 | 書評
  昔、一文銭の目方3.75gは重さの基準でした。
 「一文銭の目方」という意味で「文目(もんめ)」と呼ばれ「匁」と書くようになりました。
 今でも5円玉は3.75g=1匁です。

 手間取り職人、なかでも比較的収入のよいとされる大工の生活。栗原柳庵筆『文政年間漫録』記載事項。

 まず、収入の子細
 「大工の手間賃は飯米料とも一日銀五匁四分」
 1年354日として、これより「正月・節句などの物日や、風雨の激しい日には休むとしてそれが六十日ほど」、
 「残り二百九十四日の収入は銀一貫百六十七匁六分となる」。
 (銭に換算すれば、約百六十七貫文、月平均約十四貫文になる)。

 支出の概要。
 「夫婦と子供一人の飯米が三石五斗四升、この代銀が三百五十四匁」「店賃百二十匁(これで四畳半二間ぐらいの店賃である)」
 「塩・味噌・醤油・薪炭代七百匁」「道具・家具代百二十匁」「交際費に百二十匁」「合計一貫五百十四文となり残りは七十三匁六分」。

 そこで、収支の差。
 「もし子供が二人あるか、ほかに厄介がいれば、もうこれでは足りない」。
 「大工職のような者でも、手間取り職人の場合には、ほとんど余裕のないその日暮らしの生活で」
 「少しましな生活をするには、請負い仕事のできる棟梁にならなければならなかった」
 (西山松之助・竹内誠編『江戸三百年ー2 江戸っ子の生態ー』 講談社 1975年 105-06p)

 「余裕のないその日暮らし」=江戸、下層民の生活 池上彰彦著「下層町人の生活」を読む210920。
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 思想政治下で育った経済的安定=55年体制の考察 大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』991209。

2021年06月13日 06時07分00秒 | 書評
 升味準之介著「利益政治による自民党支配」で、「五五年体制」体制が成立した背景は、
 1)農業団体の支持政党が産業上の変化のもと、利益誘導型政治で安定政治を勝ち取る。
 2)官庁を媒介とした利権配分などにより地盤を培養。
 3)イデオロギー対立の背後で着々とすすんだ利益政治の成長が顕在化するなかで、「五五年体制」は達成された。

 「一九五五年の(政治)体制」、またの名称を「五五年体制」としたのは、升味準之介とする。『思想』 1964年6月号に掲載「一九五五年の政治体制」から「流布した」、升味による「造語」である、と。

 然らば、「五五年体制」とはなんであったか。
 4)講和条約、占領政策、太平洋戦争など事件と人間の所産が現在を構成するも、それらを呑み込む「巨大な政治ダム」たるの器。
 5)保守党による安定的な一大支配体制。
 6)鳩山・岸のイデオロギーを軸とする政治の影で、すでに始まっていた高度成長、経済的安定の反映

 1955―68年において産業化、都市化したにもかかわらず、社会党支持率は減少するも、自民党にハッキリした増減なしの意味。それは利益誘導で、地盤培養。
 (大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』 東京大学出版会 1999年)所収。

 思想政治下で育った経済的安定=55年体制の考察 大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』991209。
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「盛田・本田・松下は、今の日本にでないのか」 『ジャパン As No1』の著者150831

2021年05月09日 08時54分14秒 | 書評
「盛田・本田・松下は、今の日本にでないのか」 『ジャパン As No1』の著者150831。
 朝比奈一郎という元官僚の紹介文。都内で開催の講演抄ということで。

 ー中央と地方の関係ー(21p)
 「(江戸時代)各藩は学校の整備に力をいれていました」「おかげで地方の教育水準は非常に高かった」
 「(幕府は)地方の発達を歓迎する余裕」「(明や清の政府にとって)地方の発達は脅威であった」
 (江戸幕府はそもそも東国の戦国大名を掌握した地域政権、西国の大名には領有地の統治委任の性格~
 (そこを参勤交代と正室在府の「人質政策」で、掌握ではないのか)

 ー近代化への過程ー
 「(中国)一九世紀に近代化のチャンスを逃したという点も中国の特徴の一つ」
 「(日本は)西洋列強の文化を取り入れて近代化に成功」。
 (日本はなぜ、列強の植民地にならずに済んだか、戦国時代末期は豊富な金銀資源と戦国大名の軍事力が背景とされるも)
 (幕末、英仏とは薄氷を踏むおもいの「剣が峰」も経験)

 ー戦後、高成長から低成長へー(22p)
 「(日本)一九五〇~六〇年代、保護主義的な政策で成功したのも基礎となる技術があったから」
 「(日本)「失われた二〇年」を経験」「どちらかというと健康な状態はキープした」

 ー「これから30年、日本は もっと強くなる」-
 「(日本)あらゆる国といい関係を続ける可能性を持っている数少ない国」
 (本報告は2015年8月の掲載。安倍政権の発足は特に近隣外交で「手詰まり感」にある。そうではないか)。
 「(日本)医療制度の充実、犯罪の少なさ、教育の優秀さ」」
  (今、新型コロナウイルス感染症。中国首脳を国賓で招き、オリンピック開催の直前の「初期主導」で根本的な間違いがあったのではないか)。
  (「日本技術の劣化」「中間層の縮小と<ふくみ資産>の枯渇」は、さまざまな欠陥を露呈するにいたっていないか)。

 ー現代、日本社会の問題点ー
 「(日本)一九五〇~六〇年代、さまざまなことを学びました」「でも、最近はそれほど勉強していない」
 「盛田(ソニー)、本田(ホンダ)、松下(パナソニック)のような日本人はもういないのでしょうか」
  (三人は「日本にはファイトをもったビジネスマンが大勢いました」の該当者ということで)。
 
 エズラ・ヴォーゲル談・朝比奈一郎解説「これから30年、日本は もっと強くなる」(『PRESIDENTO』 2015年8月31日)
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奈良朝造営の庸役で育つ 飛騨千年の工匠 nhkG「工匠の里 新日本風土記」210502

2021年05月02日 09時26分59秒 | 書評
 奈良朝造営の庸役で育つ 飛騨千年の工匠 nhkG「工匠の里 新日本風土記」210502。

 釧路市共栄大通。この界隈で創業90年の老舗・片山ホームセンターは「飛騨の匠」を普及する。
 その源泉と意味はいずこに。応えたnhkG「工匠の里 新日本風土記」210502、

 飛騨の技術は都の建設で鍛えられ、千年の伝統をもつ、と。
 租調庸。古代税制その一つが「庸 よう」であったが。飛騨国の住民は建築工事で奈良朝の都造営に、動員されたと。

 かくして鍛えられた建築・彫刻、その総集成としての「山車 やたい」の修復と運行。
 「山車」を「だし」とは読まずに「やたい」と称するが、「飛騨高山流」ということか。

 nhkG「工匠の里 新日本風土記」は1972年の放送番組。春の祭りにむけて、修復がはじまる。

 「一刀彫」。
 龍の彫刻を刻み、山車の下段に配置の品をまかされるのは、「名工にのみ許されてきた」
 腕一流の誉れ=ホマレとされる。

 小学生の全国版画コンクール。
 特選の栄に輝くのはきまって、飛騨の小学生。
 しかし、飛騨の春の雪には「飛騨の女の悲しみの記憶」と、ナレーションは展開。
 「ああ野麦峠」の碑。製糸女工として12、13歳の女児も動員され、結核に死して峠を還れぬ者が多かった。

 「漆をとき和紙で漉す」
 山車の屋根を塗る作業が、「屋台を塗れば一人前」。
 ある意味、年齢階梯制+技術水準の質的保証のシステムというべきや。

 春の祭りを明日にひかえて、山車庫の扉が開く。修復を終えた装飾の「晴れ姿」がマチを練り歩く。
 その数、12台。「歴代の匠の技競う」の一大パレード。

 飛騨の匠の源泉と意味、それに伝承のシステムを見た。そのおもい。
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歴史の目的 渓内謙著『現代史を学ぶ』19950621

2021年02月04日 08時46分06秒 | 書評
 歴史の目的 渓内謙著『現代史を学ぶ』19950621。

 1)「人はなぜ過去を知りたいと考えるのか。
 2)歴史は「記憶」の一部か、それともそれ以上の精神の働きなのか。
 3)歴史は時代とともに「書き換えられる」と言われるが、その意味はどこにあるのか。(p15)

 2)について、
  時代が提起する『問題の解明』と「現在の問題の解明」。
 「過去の事実の記憶」にあるのではなく、「現在の問題の解決」(22p)。

 3)について
  実証主義の方法は、「事実の確認」とそれに基づく「法則の組み立て」の二つの要因で校正される。
  収集にあるのではなく、「未知」へと転化した主題を証拠と推論によって解明する。(36p)

1991年、旧ソ連が崩壊。
 1920~30年代のソ連農村の研究を続けていた著者たちは、少なからぬ混乱に遭遇する。
 そのなかから、歴史学研究の意味と、研究を分担する意義を考え直す。

 若き日に、『歴史とはなにか』の著者E・H・カー宅に泊めてもらったこともあるという著者。
 それが、歴史哲学の深淵にふれる妙味を展開、

  はじめに 第一章 過去、現在、そして未来。第二章 テーマ、第三章 史料 第四章 文章化 おわりに。
  すこぶるシンプルなテーマ設定。机上に紙・筆。メモをとりつつ読む一書。

 (出版案内の紹介)

  既成の価値体系が大きくゆらぎ,未来への不透明感がつのる現代.
  いまこそ,時論の安易な追随におちいることなく,変動の深層にある歴史的文脈を見すえる知的営みが必要なのではないか.
  ロシア現代史研究の第一人者が現代史を学ぶことの意義と方法を,長年の経験をふりかえりながら説き明かす.情熱みなぎる歴史学入門.
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山脈と河川の要地、シルクロードの一角 佐藤武敏著『長安』

2020年11月25日 05時59分51秒 | 書評
山脈と河川の要地、シルクロードの一角 佐藤武敏著『長安』講談社学術文庫。

長安。本邦で平城京のモデルとなったことで知られる。

「唐の都=長安、いまは西安市に相当」と。多くのヒトが知る。

前漢 秦に続く統一王朝。
前202年、秦に代わって樹立。後8年に滅亡。同25年劉秀が復興=「後漢」となる。長安を造営(前190年に完成)。漢(前漢) (y-history.net)

随 北朝・南朝の統一政権。
581年、北朝・北周から出た文帝、589年に南朝の陳を滅ぼし、中国を統一。618年に唐の建国。隋 (y-history.net)

唐 五代十国の争乱に至る。

875年に黄巣の乱が起こり、907年に滅ぼされた。唐) (y-history.net)

長安について「形状、人口、行政、防備、経済、文化等の角度」から、浮き彫りにする。

現在の陳西省西安市の西北に位置した「前漢・隋期の長安」。
西安市に位置する「唐の長安」ではその位置が、約10キロメートルの距離。

地域に設ける権力の拠点。
そこを記載するとき、必要とする要件を示してくれている。(講談社学術文庫2004年)。
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「森は海の恋人」 畠山重篤著『牡蠣の森と生きる』181026

2019年10月26日 09時09分59秒 | 書評
舞根湾 もうねわん 室根山
「(舞根湾は)天国のような海」と書き、「(室根山は)山測り=やまはかり か 漁師が位置を確認し、天候を予測するための大事な山」とする。
「『森は海の恋人』の活動は室根山の植樹にはじまる」「二〇一八年で三〇年植樹したブナ、ナラなど広葉樹は五万本」「体験学習にやってきた子どもは園児から大学生まで一万人を超える」「海と川、山をひとつにつながりの自然として大切にする実践は高く評価され」(iii p)。

東日本大震災
 「過酷な津波でも海に恵みをもたらす森や川の流域は壊されず、海はうおみがえり、牡蠣養殖も復活」
 「日本全国にある大小三万五〇〇〇本もの川があり、それが森の養分をはこび海をはぐくむ」「海のミルクは、わやしの健康の源」。

海の不思議な力
 「(牡蠣をむく指にふれる水)水道水だと手が荒れるのに、なぜか海水だと荒れない」「海の不思議な力を感じる」。
 「釣りを通し、海や川の生き物について生きた勉強をした」。

「海は森の恋人」と「血ガキ」
 「森から川を通して海に運ばれる鉄分が海を豊かにする」。
 「公害が騒がれた高度成長期、森は荒れ、川も海も汚れ、赤潮を吸った」「牡蠣の身が赤くなる『血ガキ』の現象が続く」「『近頃、めしがまずしくて食欲がわかない』という牡蠣の声が聞こえてくる」。
 「森、里、川、海のつながりをたいせつにする活動が始まり」。(中央公論社 2019年)
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「平和」こそ 他人呼んで「自然児」=海軍主計中尉のトラック島体験190908

2019年09月09日 06時10分30秒 | 書評
「平和」こそ 他人呼んで「自然児」=主計中尉のトラック島体験190908

誰かが称してくれたそうで。「自然児」。豪放な側面を称しての一言であった、か。そこをうけて<土こそ大事><土にねざす>。メモしていないが、そのような生き方を語る場面にはじまる。

 昭和16年に帝大入学。18年に出征。行き先はトラック島。そこで屍をみた。<異常が放置され、どうして勝てるのか>。

 復員、復職、結婚。弟が父を語る場面も。
 「(父は)秩父節を復興すること」「俳句をたしなむこと」「その二つがあったから医療を続けてこられた」。

 <平和の俳句>。
 平成15年を期して、立ち上げた。「3年間の投稿総数は、13万1288句に及び」。
 『東京新聞』掲載。「『平和』の語句、思想があれば、季語は不要」。いとうせいこう・黒田杏子と選者を務め、新幹線で新聞社に。

 映画『天地悠々』
 前売り入場券をいただいた。都合で鑑賞できなくなったご夫妻の代理。『解説本』を2冊購入。一冊をそのご夫妻にお礼をさせていただき。
 地方上映の名乗りを、このマチの現代俳句協会員が最初に手をあげたそうで。70席の会場は満員。臨時の席も。

 言葉が重い。
 句をめぐり、世の批判をあびたことがあるらしい。兜太さんは申す。
 「現代俳句を理解し、その歴史を知らずに批評をしても」「詩人や小説家は句、短歌を馬鹿にするが、(彼らは)いたずらに文字を書き連ねるのみでポエムがない」と。

 句、下書きしてのち日記に記載。
 お弟子さんの申すに、「句は下書きしてのち、日記に記載」「日記は公開されるものと考えていたようだ」「(「家は一つだが二人の別人が居住」に)豪放磊落が言われるも、実は下書き後に浄書する繊細な側面も)」とも
>。
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知恵と技術を結集した芸術品 祖田浩一著『江戸切絵図を読む』

2019年09月01日 06時35分21秒 | 書評
 知恵と技術を結集した芸術品 祖田浩一著『江戸切絵図を読む」。

 嘉永~安政期
 この時期に発売された江戸の30葉が紹介されている。
 著者は、歴史のこぼれ話し、事件、人物、地名の由来を語る事がどれだけ出来るか。そう心して、切絵図解読に心したと言う。

 切絵図
 そこに記載の御三家・大名家の上屋敷と下屋敷、寺院・社殿、下級身分の先手=さきて、徒、書院番士。
 諸職、商業、畑地、水田。記載対象の重要性にあわせ表現する「処理の見事さ」に、「知恵と技を結集した芸術品」と言ってよいと。

 江戸市中。
 その切絵図は、今日の『住宅明細地図』と評して良い、か。
 尾張屋清七が版元。「蝦夷こう境餘地全図」も、この時期の出版。出版時期の重なりに、隠された意味がありそう。(東京堂出版 1999年) 
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