清親の「三十二相」はこれまでの諸作と違っていて老若男女の多様な表情を漫画的に描いたもので女性はそのうちの四分の一程度である。そして下の一例のように一枚に四人の表情が刷られていて、上段のように個々に独立している訳ではない。
また同じ形式の続編「追加百面相」は、手元に十二枚四十八の面相があるが、これがすべてなのかは、私には分らない。ただ私は「百面相」の百は具体的な数値ではなく「沢山、多数」を意味するだけではないかと思っている。
奥方内心の悋気 ・ 権妻の上辺の悋気 ・ 過ぎ去ったことを思う
見て見ぬふり ・ はずかしい ・ 熱い湯
ふさいでいる ・ 芸妓の内幕 ・ 痴話喧嘩のあと
※ 中央は女性のよく使う言葉と表情を描いた別作品。
以下は、浮世絵美人画の本格作品。清親の美人画は過去に一度取り上げているが、多数の美人絵がある訳ではないのでここで纏めておく。