江戸期の音曲に「端唄、小唄、地唄、歌沢、新内」などいろいろあるが、それぞれがどういう性質でどういうふうに違うのかなど私は全く未知である。漠然と世俗の流行歌、俗曲俗謡という程度の理解である。ただ草紙とか芝居で著名な男女カップルの恋愛感情の機微を唄ったものが多いだろうとは想像出来る。それを、以前取り扱った心中道行きものと同様に浮世絵にしたもので、26点あるが、勿論全作揃いではないと思う。それとこれは美人画というより役者絵に分類され、女性は全て偽物、擬似女、似非女性である。
それにしても江戸人はこの奇妙な変体仮名を読みこなし、口ずさみながらこれらの絵を楽しんだのだろうから恐れ入る。
朝顔-阿曾次郎 ・ 粟餅きな蔵-紅葉のお滝 ・ 梅川-忠兵衛
浦里-時次郎 ・ お軽-勘平 ・ お染-久松
お富-与三郎 ・ 葛城-名古屋山三 ・ 九重-吉三