５月２４日（火） 雨の朝

　顔と手の甲を蚊に刺されて目が覚めた。
　午前５時２０分。
　カミサンも起きた。顔と耳を刺されたという。
　ついに電気蚊取りのお出ましだ。
　
　外は大降りではないが、
　ベランダの屋根でしっかりした雨音がしている。
　けなげに遠くでカッコウも鳴いているよ。

　蚊取りを付けて軽くウトウト。
　今日はブラゴミの日だ。　

映画に

　「映画見るなら今日しかないよ」。
　カミサンに突然言われて考えてみたらそうだ。

　ブログに時々コメントをいただくma yoさんから、
　映画「エクレール・お菓子放浪記」をすすめられていました。

　ロケ地が震災前の宮城県石巻市。
　映画監督がma yoさんの小学校時代の友人。

　今日はこんなお天気だし、
　新宿へ映画見に出よう。

映画 エクレール・お菓子放浪記

　　”テアトル新宿”

　♪お菓子の好きな　パリ娘
　　二人そろえば　いそいそと
　　角の菓子屋へ　「ボンジュール」

　館内へ入ると映画が始まる前からこの曲が流れている。

＜エクレール・お菓子放浪記＞

　身寄りのない主人公（少年）が、鑑別所から独り身の婆さん（石田あゆみ）に引き取られ、
　船で葦の生える川を家に向かうところから始まる。
　時代は第二次大戦まっただ中。
　その婆さんは自分が生きていくために、身請けした子供を働かせてその稼ぎをあてにしている人であった。
　婆さんを母と思い夢膨らませてきた少年はそのことを知り、失望と怒りで大ゲンカをしてそこを飛び出していく。
　その後旅の一座、空襲、敗戦を挟んでの孤児たちだけのグループ生活、と様々な体験を重ねていく。

　少年には夢と憧れがあった。
　鑑別所時代、唯一優しかった女性教官がオルガンで弾く　♪お菓子の好きな　パリ娘♪
　の歌に惹かれ、歌の中に別の世界を夢見るようになる。
　また歌の中に出てくる食べたことのないエクレールを食べる日を夢見るようになる。
　

　



　

新宿散歩 １

　映画が終わったのは四時少し過ぎ。
　雨上がりの良い天気だ。
　こんな日はエクレールでも食べて、
　お茶していこう、と言うのがマナーかも知れないのに。
　　「撮って行きたいでしょう」とカミサン。
　「一時間ちょっと撮ってきたいな。一人で帰る？」
　「まっすぐ行けば西武新宿駅だから」。
　　なんてことになりました。

＜エクレール・お菓子放浪記＞

　戦争、敗戦、誰もが生きることに背いっぱいだった時代に
社会の片隅で生きる人たちにはもっと風は冷たい。
生きることに、生きるために、理屈なんかない。
主人公が出合う人たちそれぞれに時代と格闘して生きる姿が描写されます。
　誰も頼らない、自分のことしか考えない誰も信じない。
しかし一方で思い切り信じられる人を求めている。
人の両面が描かれています。
　主人公を利用しようとした婆さんと少年が、思い切り裏切り喧嘩して別れたのに、
その後もお互いに心の隅で、忘れられないでいたことが分かるくだりは涙が出ます。

新宿散歩 ２

＜エクレール・お菓子放浪記＞

　この映画ですごいのは、エクレールの存在です。
戦時中の街の、路地が匂うような時代風景が、
エクレールが出てくることで一層リアルに感じさせる不思議。

　主人公のエクレールへのあこがれは。
　食べたいという食欲だけではなく、
　今を脱して人並みの暮らしを夢見ることと同じだったのです。

♪お菓子の好きな　パリ娘
　の歌の詩は以前から知っていました。
　しかし旋律を知ったのはずっと後でした。
　その時はへんてこな旋律位にしか感じなかったこの歌が

　主人公のボーイソプラノの美声に乗って
　ストーリー全体の抒情の柱になっています。

新宿散歩 ３

新宿散歩 ４

帰宅夕景

　　”元加治駅跨線橋から”