節分なので「鬼」という言葉の多い、もっとも好きな杜甫の詩をー「兵車行(戦車の歌)」 約千三百年前の詩とは思えない恐るべきリアリズムと社会批判の詩だと思う。長い詩なので最後のみアップを。
君不見青海頭
古来白骨無人収
新鬼煩冤旧鬼哭
天陰雨湿声秋秋
君見ずや 青海の頭(ほとり)
古来 白骨 人の収むる無く
新鬼は煩冤し旧鬼は哭(こく)し
天陰(くも)り雨湿るとき声の秋秋たるを
《諸君は見ないか、あの青海(青海省ココノール湖)のあたりでは、昔から白骨を取り片付ける者もなく、新しい亡霊どもはもだえ恨み、古い亡霊どもは泣き叫び、天の曇り雨の湿る時、しくしくと泣き声をたてているのを。》
註:「鬼」とは死者のこと。
ついでにもっとも美しい雨の歌を。
「春夜喜雨」(杜甫)
好雨 時節を知り
春に当たりてすなわち発生
風にしたがいて潜かに夜に入り
物を潤して細やかにして声無し
野径に雲はともに黒く
江船に日は独り明らかなり
暁に紅の湿れる処を看れば
花は錦官城(きんかんじょう)に重からん
日本の詩人の中でも、特に、杜甫の詩に基づいた作品の多いのが芭蕉と子規だ。
例えばー
芭蕉野分して盥(たらい)に雨を聞く夜かな
己が火を木々の蛍や花の宿
君不見青海頭
古来白骨無人収
新鬼煩冤旧鬼哭
天陰雨湿声秋秋
君見ずや 青海の頭(ほとり)
古来 白骨 人の収むる無く
新鬼は煩冤し旧鬼は哭(こく)し
天陰(くも)り雨湿るとき声の秋秋たるを
《諸君は見ないか、あの青海(青海省ココノール湖)のあたりでは、昔から白骨を取り片付ける者もなく、新しい亡霊どもはもだえ恨み、古い亡霊どもは泣き叫び、天の曇り雨の湿る時、しくしくと泣き声をたてているのを。》
註:「鬼」とは死者のこと。
ついでにもっとも美しい雨の歌を。
「春夜喜雨」(杜甫)
好雨 時節を知り
春に当たりてすなわち発生
風にしたがいて潜かに夜に入り
物を潤して細やかにして声無し
野径に雲はともに黒く
江船に日は独り明らかなり
暁に紅の湿れる処を看れば
花は錦官城(きんかんじょう)に重からん
日本の詩人の中でも、特に、杜甫の詩に基づいた作品の多いのが芭蕉と子規だ。
例えばー
芭蕉野分して盥(たらい)に雨を聞く夜かな
己が火を木々の蛍や花の宿