詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

アーサー・ビナードと菅原克巳

2020年06月08日 | 最新の詩
今まで取り上げてきた反骨者列伝は、ある程度その著作を読んだ日本人だったけども、いかんせんすでに亡くなられた人々ばかりだった。それで今回は、まだ一冊もその著書を読んでいないアメリカ人の詩人・物書きだけれども、同時代人ということで取り上げてみたい。
ネットで読むことができた唯一の彼の詩はー

    ことば使い

「吠えろ」と怒鳴り
「芸になってない」
と鞭打つ。

一行の
輪抜け跳びを
何回もさせる。

いくらおとなしく
馴れているようでもやつらは
猛獣。       ――詩集『釣り上げては』から――



彼がもっと好きという詩人菅原克巳との出会いは、小熊秀雄を介してだった。
それが彼を、日本人の誰よりも、反骨に詩人へと変貌させたのではと思う。


    マクシム  菅原克己

誰かの詩にあったようだが誰だか思いだせない。
労働者かしら、
それとも芝居のせりふだったろうか。
だが、自分で自分の肩をたたくような
このことばが好きだ、

〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉

むかし、ぼくは持っていた、
汚(よご)れたレインコートと、夢を。
ぼくの好きな娘は死んだ。
ぼくは馘(くび)になった。
馘になって公園のベンチで弁当を食べた。
ぼくは留置場に入った。
入ったら金網の前で
いやというほど殴(なぐ)られた

ある日、ぼくは河(かわ)っぷちで
自分で自分を元気づけた、

〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉

のろまな時のひと打ちに、
いまでは笑ってなんでも話せる。
だが、馘も、ブタ箱も、死んだ娘も
みんなほんとうだった。
若い時分のことはみんなほんとうだった。
汚れたレインコートでくるんだ
夢も、未来も……。

言ってごらん、もしも、若い君が苦労したら、
何か落目で
自分がかわいそうになったら、
その時にはちょっと胸をはって、
むかしのぼくのように言ってごらん、

〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉


ぼくの大好きな菅原克巳の詩「ソスン君のロープ」はー

 なぜ、ソスン君に/ロープをかけなかったのか。/女は青、男は白、/それぞれの囚人服の上に/青いロープがかけられてきたのに、/なぜ、ソスン君にだけかけなかったのか。

 ソスン君のお母さんは顔を伏せ、友だちは息をつめる。/ソスン君は眼鏡ごしに/こっちをさがして/ただ、チラと微笑んだきり。ソスン君の手は/瘤のようになってしまった。/ソスン君のまつ毛のない瞳は/夜も閉ざすことはできぬ。/ソスン君の肉の溶岩は/のどもとまで這い出し、/眼鏡は白ひもで/耳のない頭にくくりつけられてある。

 なぜ、ソスン君に/ロープをかけなかったのか。/なぜ、みんなと同じように/青いロープをかけなかったのか。/ソスン君の傷あとが/今はいたましい、とでもいうのか。/ソウルの第一審、/死刑の判決は二分で終る。/そして/ロープをかけなかった/ソスン君の背後に、/もう一つの/ロープの輪を垂らす

アーサー・ビナードが日本人以上に面白くて、首尾一貫してると思えるのはー
彼の憲法九条や、エコ・ダイエット・ファーストフード等についての「時代遅れ」(ほんとは時代最先端なんだけど・・)の考えや、ビキニ環礁での水爆実験で被爆した第五福竜丸についての本や発言をネットで読んで以来、目が離せない・・同時代でもっとも反骨の詩人・物書きではと感じる。
◆詳しくはー「ここ」
◆リンク集でリンクしてるぼくの日本語・日本文学の師匠の記事はー「ここ」
◆「ブラザー軒」菅原克己を歌う高田渡の映像はー「ここ」

新しき明日(あす)の来きたるを信ずといふ・・石川啄木「悲しき玩具 - 一握の砂以降」

2020年06月08日 | 北海道
新しき明日(あす)の来きたるを信ずといふ
自分の言葉に
嘘(うそ)はなけれど
   -石川啄木「悲しき玩具 - 一握の砂以降」より-

 
明治末の国策冤罪事件「大逆事件」に対して、異議を唱えたのが、死期間近の石川啄木と、故郷の人々が冤罪で抹殺に怒った佐藤春夫と与謝野鉄幹くらいだった・・今の時代にとてもよく似かよってきた

日本の革命的詩人の系譜は、明治以前は小林一茶くらいだが…詩は元々、反権力的で反社会的で反常識的なので、従順な日本人には難しい…
明治以降は、石川啄木→宮沢賢治→坂口安吾へと。いずれも先住民的で差別皆無の東北以北の詩人たちだ。坂口安吾の詩は少ないが、これほど反骨的な作家は日本人では珍しい。
故郷のポプラ並木を思いだす・・


増える一方の大企業の・・塩蔵されてる内部留保(約500兆円)や、使うに使えない米国への借金各々数百兆円とは違って、年金等の社会保障は市場を循環するので景気回復の効果が大きい。民主党政権が続いていたならとっくに景気回復だったろうに・・


 新しく引っ越した町にはなんでもあり飽きることがなかった。田圃と畑が延々と広がり、磯の香が吹く浜には、干した網の傍らに漁船が無造作に砂の上に。温泉地にも大都市にも近いので職人や勤め人も多かった。書店と映画館と温泉プールは初体験で、もちろん海や海で採れるウニや海鼠や様々な魚貝類も…

ぼくのその頃の日課といえば、鶏の餌やりと、学校から帰ってから愛犬の散歩を兼ねてのウサギ用の草採りだった。
その小学校の裏庭のジャングルジムに愛犬を繋いで、その一番上に腰掛けて海へと落ちゆく夕陽を眺めるのが好きだった。

休日になると、アイヌ語辞典や語源の詳しい町の地名一覧本を持って、町中をあてもなく歩くか、、
温泉プールで一日泳いだり、夏になると、「スタンド・バイ・ミー」にたいに、延々と線路の上を歩いて、ウニや海鼠やアワビやシュリ貝という巨大な黒い貝が好きなだけ採れる岩場で一日中潜っては焚き火の上で焼いて食べたりだった


その町には、あらゆる階層の人々がおり、あらゆる職業の人々がいた、日本でも珍しい町だった。一次産業の農民は東北諸藩からの元藩士というのが多かった。漁民は日本全国からの流れ者的な人々が・・工場労働者や鉱山や温泉での仕事や建設業も。特筆すべきなのは、かなり有名な観光地も近かったのでサービス業関係が多かった。ぼくのその町での唯一の知り合いが売春宿の主人だったし、暴力団関係者子弟もアイヌの子弟同様に、たいがいのクラスに一人はいた

一度も任期をまっとうしたことのない政治家/吉村洋文大阪府知事

2020年06月08日 | 政治
一度も任期をまっとうしたことのない政治家〜吉村洋文大阪府知事
  志水博子(元教員)

現大阪府知事吉村洋文氏の経歴をご存じだろうか。市会議員、衆議院議員、市長、すべて
任期途中で辞職している。まずはその経歴を見てみよう。

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①2011.4.10大阪市会議員としてスタート
大阪維新の会公認で大阪市会議員選挙に出馬し当選。
なお、任期中の2013年5月から大阪維新の会市議団政調会長を務める。

②任期途中辞職し衆議院議員に立候補
ところが、任期半ばにして大阪市会議員を辞職。2014年12月14日に行われた衆議院議員総
選挙に維新の党公認で出馬するも落選。が、比例近畿ブロックで復活当選。

なお、在職中、大阪維新の会の「都構想推進本部」の局長も務める。橋下徹大阪市長の信
頼も厚く、大阪都構想の制度設計では中心的な役割を担っていた。

③またもや任期途中で辞任し大阪市長選に
ところがである。またしても任期半ばにして、2015年10月1日に辞職、橋下徹の引退に伴
う大阪市長選に大阪維新の会公認で出馬し当選。2015年12月19日大阪市市長に就任。

なお、2017年には、2025年万博博覧会誘致委員会日本副会長に就任している。

④またまた任期途中辞任、府知事に。
ところが、ご承知のように、大阪都構想住民投票の実施をめぐり公明党との協議決裂を受
けて、2019年3月20日付で大阪市長の辞職願を提出し、大阪府知事選に出馬を表明。これ
に対し、大阪市議会は反対多数で不同意としたが、3月21日の府知事選告示日に市長職は
自動失職、2019年4月7日大阪府知事選挙当選。

なお、2019年8月、日本維新の会の副代表に就任。

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さて、この経歴をどのように解釈したらよいのだろうか。吉村知事という政治家は、いったい誰のため何のために政治を行なっているのだろうか。

まず、彼は徹底した組織人ではないだろうか。市会議員も衆議院議員も市長も任期途中で辞職したのは、彼個人の意思というよりは「大阪維新の会」ひいては橋下徹氏の意思だったのではないだろうか。地域政党であった大阪維新の会結成当時の綱領だったか党則だったか、見て驚いたことがあった、何も規定されていないのだ。それだけ橋下徹という個人が担っている面が大きかったのだろう。そして、それは現在でも続いているように思う。

テレビで見る吉村知事はとても真面目に見える。それに熱い。それに嘘はないかもしれない。でもいったい誰のために何のために努力しているのだろうか。

一昨年、あれほど熱心に取り組んでおり、全国的にもよく知られた吉村市長の施策、すなわち全国学力テストの順位向上を目指し、テスト結果を学校予算や教員の人事評価・給与に反映するという施策。熱心に取り組んでいたが、任期途中でいとも簡単に投げ出してしまった。もっとも、私たち市民は、学力テストの順位に支配された彼の教育観を危険視していたので、よかったと言えばよかったのだが。これは現在のところ大阪の市民運動や組合が抗することによって頓挫している。しかし、あの時の彼は本気だったに違いない。にもかかわらずそれを全うしようとはしなかった。

知事としても同じ傾向は見られる。本年5月5日大阪府新型ウイルス対策本部会議で、彼は教委を差し置き、いともあっさりと今年度の中3チャレンジテスト中止を自ら言い出したのである。教委でさえ知事に忖度するあまり言い出せなかったのだが。教委の独立性を冒すと同時に、何事も「政治が決める」と言うのが彼の、と言うより橋下維新のお家芸である。

吉村さんを見ていると、現職高校教員だった頃こういう生徒いたなぁ、と思い出す。真面目な努力家なのだが、目前のことしか見ないというか、見えていない生徒だ。例えば今度の学期末テストでは、学年十番以内に入るとか、そういう目の前の目標のためには頑張れるが、はて、それであなたは何をしたいの?と問うと答えられない。思うに、吉村知事もいつも眼前の目標には、それこそ目が血走るほど疲れも忘れて一生懸命取り組むのだが、それを簡単に放り出すところを見ると、目前の成果しか頭にないのかと勘繰ってしまう。

ひょっとして吉村知事が維新の指示によって国政を目指すなら、全国学テも今年度中止と
なり、学力アップを目指したところで、戦略的に既に賞味期限切れであり、あっさり捨て
たのかもしれない。

今、安倍政府のコロナ禍無策に対し“大阪モデル”とやらを強調し、それによって人気を
博すれば国政に打って出るつもりなのかもしれない。しかし、それも自分の意思というよ
りは、彼を操る誰かによってマインドコントロールされているように見える。つまり、彼
にはある種の思想など、ただのカケラもないのだかもしれない。彼は「優秀」だが、彼を
「優秀」としているのは、大阪維新の会すなわち橋下氏から見てのことである。つまり吉
村氏は橋下氏の狙い通りに動いてくれる政治家なのだ。でなければ、そうそう任期途中辞
職はしないだろう。大阪維新の会にとってみれば彼は非常に使い勝手のいい駒なのかもし
れない。しかし、それは市民である我々から見れば、どれほどの思いで選挙で選ぼうが、
彼にとっては1票を入れた市民などは眼中にないということかもしれない。

彼の政治理念は何であろう。私には橋下徹の思い通りに動くだけで、彼自身の政治理念な
どないのかもしれないと思えるのだが、さて大阪府知事として今度は任期をまっとうする
だろうか? 誰かに言われて辞職するようなら、彼はやはり維新の駒に過ぎないように思う。

米国労働運動 : ジョージ・フロイド殺人事件に抗議して立ち上がる労働組合

2020年06月08日 | 政治
http://www.labornetjp.org/news/2020/0601us
〔解説〕5月25日、ミネアポリス市で失業中のジョージ・フロイドさんは無抵抗のまま警察官により殺害された。またもや繰り返された人種差別殺害に対する怒りの抗議が全米各市で広がっている。レイバーノーツのウェブサイトは5月29日に労働組合の反応を伝えている。(レイバーネット日本国際部 山崎精一)
*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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ジョージ・フロイド殺人事件に抗議して立ち上がる労働組合
  2020年5月29日/ソーラヴ・サーカー (レイバーノーツ誌副編集長)


*ジョージ・フロイドさんの殺害場面(NBCNewsより)


*ツインシティーでの抗議活動

 警察官により、ミネアポリス在住のジョージ・フロイドさんが殺害された人種差別事件に対する抗議行動を支援する行動に労働組合は素早く立ち上がっている。

 5月25日に警察官デレク・ショーヴィンの膝でフロイドさんが窒息死する映像が報道されると、その映像は全国を掛けめぐり、ツインシティーズ(注1)を混乱に陥れた。5月28日、黒人の警察による殺人事件が絶え間なく続いていることへの怒りが沸騰し、ミネアポリスでは商店や警察署にまで火がつけられた。緊張感が漂う中、地元の労働団体は抗議活動を支援するために立ち上がり、相互扶助と公衆衛生を通じて地域社会を守ろうとしている。

 殺害現場からわずか1ブロックの場所にあるヒスパニック系労働者センター「闘う労働者連帯センター」(CTUL)のメンバーもその活動に参加している。

「事件への反応は絶望と怒りだけだった。ミネアポリスでは以前にもこんなことがあった」と、同センターの広報担当者であるイザベラ・エスカロナさんは語った。フロイドさんの殺害の前にも、デビッド・スミス、ジャマー・クラーク、フィランド・カスティールさんなど、警察による黒人の殺害が続き注目を集めていた。

 2015年に警察がクラークさんを撃ち殺した後、大学の労働者たちは「ジャマールのための正義のための労働者」の集会を組織するのを助け、警備員はその労働組合の中に「黒人の命は大切だ」委員会を立ち上げた。2016年に小学校のカフェテリアで働いていたチームスター(注2)組合員のカスティールさんが殺された後、何百人もの教員組合員が抗議のために行進し、21人が逮捕された。

●警官800人に賃金窃盗検査官2人

 これまでの抗議運動とは異なり、フロイドさんの殺人事件をめぐる蜂起はパンデミックの最中に起こっている。エスカローナさんは、CTULのメンバーを構成している黒人などの有色人種のコミュニティは、COVID-19によって最も厳しい打撃を受けていると指摘している。

 抗議者たちがフロイドさんの殺害された場所に集まっていることが明らかになると、CTULは抗議者の健康を守るために水とマスクを配り始めた。メガホンを使い、抗議者に社会的な距離を保つように促した。抗議が規模を拡大して、市内のほとんどの食料品店が閉鎖されたので、CTULは食料、水、ベビー用品などの必需品を地元住民に提供するようになった。

 火災が発生し、住宅が延焼しそうになったが、消防も来なかったので、CTULのオルグやメンバーは、住宅からの避難を誘導した、とエスカロナさんは語る。「私たちは自分たちの近所を大切にし、自分たちのコミュニティを大切にしています。これからも大切にし続けます。」

 CTULは何年もの間、警察の予算を減らし、代わりに賃金窃盗の監督官(注3)を雇うように運動してきた。

 「賃金窃盗の件数は略奪や軽窃盗の数を比較すると、けた違いに多い。ミネアポリスには800人の警察官がいて、私たちは賃金窃盗の監督官を2人雇わせるのに必死で闘ってきた」とエスカロナは語る。

●教師と催涙ガス

 ミネアポリス教員連盟は、地域社会が主導する行動に参加し、生徒を支援するよう組合員に呼びかけている。教員の約20%が有色人種であるのに対し、生徒の75%が有色人種であるという人種的に偏った学校の中で、生徒たちがこの状況に対処できるよう支援する課題に教員たちは取り組んでいる。

「生徒たちが今起こっている事態に対処できるように支えることに組合員たちは力を注いでいる」と語るのは、ミネアポリス教員連盟のメアリー・マナー副委員長。

 ある生徒から電話がかかってきて、「宿題が終わらなくすみません、催涙ガスを洗い流していたの」と誤った、マナーさんは言う。

 おそらく最も注目すべきは、教員たちがミネアポリス警察との財政的な関係を断つように教育庁に働きかけていることであろう。

 ミネアポリスの教員たちはまた、後片付けを支援し、蜂起によって避難した人々に物資を提供し、薬局に行けない人々のために処方箋を受け取り、食料品の買い物を助けるためにライドシェアを提供している。公共交通機関が停止しているため、住民はさらなる苦難を経験している、とマナーさんは言う。

●不当なシステムを拒否する

 数多くの地域労働組合、労働者センター、全国労組がジョージ・フロイドのために正義を求める声明を発表しており、その中には都市交通労組(ATU)ローカル1005、UNITE HERE!(注4)ローカル17、 CTUL、ミネソタ看護協会、セントポール教員連盟、ミネアポリス教員連盟、UNITE HERE!本部、全国看護師組合が含まれる。

 マスコミジャーナリスト労組のニュースギルド(CWA)と放送従業員組合(NABET)は、5月29日早くから抗議活動を取材していたCNNの報道クルーの逮捕を非難する共同声明を発表した。その逮捕はニュース番組を中断し、生放送で放送された。

 ATU委員長のジョン・コスタ氏は、「わが組合員であるミネアポリスのバス運転手には、警察官を抗議活動の現場に輸送し、逮捕された人たちを護送するという危険な任務を拒否する権利がある。運転手の多くは抗議が行われている地域に住んでいる。」と述べた。

 バス運転手でATUローカル1005の組合員でもあるキルゴア・トラウト(仮名)は、逮捕された抗議者の輸送を拒否するように仲間のバス運転手に呼びかけ、SNSを通じて労働関係者に反響が広がっている。

 彼はそれ以来、#Justice4GeorgeFloyd(ジョージ・フロイドのための正義)という全国的なFacebookグループを立ち上げ、労働組合員に動員を呼びかけている。そのフェイスブックグループは、「ミネアポリス警察が正義を求める声を抑えつけるのに、私たちの労働力が利用されないようにするために、できることをしよう」という署名活動を推進している。

 このフェイスブックのグループは、ツインシティーズでの5月30日の抗議行動に結集するよう労働組合員に呼びかけている。
(追加取材はサマンサ・ウィンスローが行った。)

注1) ミネソタ州の州都セントポール市とその隣のミネアポリス市
注2)運輸・流通産業の労働組合
注3)未払賃金を担当する労働基準監督官のこと
注4)ホテル・レストラン・被服産業の労働組合

〔週刊 本の発見〕『偉大なる失敗――天才科学者たちはどう間違えたか』

2020年06月08日 | 情報
http://www.labornetjp.org/news/2020/hon161
毎木曜掲載・第161回(2020/6/4)
「専門家」を見直すための好適な一冊

『偉大なる失敗――天才科学者たちはどう間違えたか』(マリオ・リヴィオ 著、千葉敏生 訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、940円)評者:大西赤人

 新型コロナウイルス感染症は、未だ収束には遠い。たしかに日本における死者の絶対数は欧米に比較すれば格段に少ないが、アジア各国に比較すると人口あたりの死亡率はむしろ高い。ソーシャル・ディスタンスの確保によって感染の勢いは一旦下がったと思われるものの、別に治療薬が出来たわけでもワクチンが出来たわけでもないから、人の行き来・接触が戻れば必然的に感染者数は再び増えてくる。東京では、「東京アラート」と称して都庁とレインボー・ブリッジを赤く染めるという極めて〝効果的〟な対策が打ち出される一方、歌舞伎町をはじめとする「夜の街」を槍玉に挙げながら、店に休業を求める――即ち補償する――こともなく、相変わらず客の側には「自粛」を迫り、ついには都と警察が協力して「見回り隊」が結成されるらしい(新撰組か?)。

 今回の経緯の中で、とりわけ興味深い点は、(医学的、科学的な)「専門家」という存在である。本欄で過去に紹介した『科学と非科学-その正体を探る』(中屋敷均)に描かれていた通り、未知の感染症に襲われた無力な人々は「専門家」を頼り、科学的な「神託」を求めている。しかしながら、言葉遊びめくけれども、未知の物に対して真の意味の「専門家」が居るはずはない。要するに彼らは、過去の似たような対象から類推し、信頼に足りそうな仮説を構築するに過ぎない。「数理モデル」と言えば聞こえはいいが、冷ややかに見れば、机上の空論と化す危険も大いにある(予測が当たれば「ホラね」、外れれば「条件が変わったから」となる)。

 本書は、近代科学の歴史において確固たる地歩を占める五人の科学者――ダーウィン、トムソン(ケルヴィン卿)、ポーリング、ホイル、アインシュタイン――を採り上げ、その現代にもつながる輝かしい業績と、彼らが傑出した能力の持ち主であったがゆえに犯した失敗とを綴っている。当然ながら、「失敗」とはいえ、いわゆる単純ミス、うっかりミスの結果ではなく、綿密な作業が過程のどこかで道を違《たが》え、誤った目的地へと向かってしまう。それは、「偉人たちの犯す失敗は、結果的に理論や考え方に間違いが見つかったとしても、ほかの科学者の発想を刺激したり、それに代わる新理論を生み出したり、時には何十年もたってからその価値が見直されたりするもの」(訳者あとがき)なのである。

 進化論、DNA、ビッグバン、相対性理論等々、大西もそれなりに興味はあるし、全く無知な事柄ではないにせよ、「加速する宇宙に関するもっとも説得力のある証拠は、ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機による宇宙マイクロ波背景放射のゆらぎの詳細な観測と超新星の詳細な観測を組み合わせ、この観測結果を現在の膨張速度(ハッブル定数)に関する個々の測定結果で補うことによってもたらされた」などという文章にぶつかると、全く意味不明。学問的内容をどこまで理解し得たかは、怪しい。

 しかし、五人の科学者、及び、その周辺を綺羅星のごとく取り囲んでいた傑物たちが、世俗とかけ離れた学究的側面と極めて生々しい感情や欲求に基づく人間的側面とを併せ持ち、その事が研究自体の軌跡にさえも時に影響をもたらしたことが窺われ、面白い。そして、――
「人々は認知的不協和を和らげるため、判断の誤りを認める代わりに、従来の意見を正当化するような新しい方法で、自身の見解を作り替えることがわかっている

「それがノーベル賞であれ、周囲からの羨望であれ、昇給であれ、〝激ムズ〟レベルの数独パズルを解くことへの単なる満足感であれ、努力しつづけるには、脳の側坐核に一定量の報酬が必要なのだ
「時に、人間は(科学者も含めて)自分の間違いをなかなか認めたがらないものだが、それと同じように、新しいアイデアに頑なに反対することもある

――というような部分に、自戒とともにうなずかされる。

 科学、及び科学的言説・価値基準に少なからず依拠して生活せざるを得ない時代、その程度がますます増大している時代において、それに携わる人々とその思考を知り、見直すための好適な一冊と言えよう。

*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美、根岸恵子、杜海樹、ほかです。

全日建連帯労組 : 武委員長・湯川副委員長の640日ぶりの保釈にあたり

2020年06月08日 | 政治
http://www.labornetjp.org/news/2020/0605namakon
全国のみなさまへの御礼に代えて
武委員長・湯川副委員長の640日ぶりの保釈にあたり

*写真=武健一委員長(左)と大椿ゆうこさん(大椿さんのツイッターから)

 関生支部の武建一委員長が5月29日、次いで湯川裕司副委員長が6月1日に保釈されまし た。2人が最初に逮捕されたのが2018年8月28日。それからおよそ1年の間に、武委員 長は計6回、湯川副委員長は計8回もくりかえし逮捕され、こうして保釈されるまでの勾留期 間は武委員長がじつに641日、湯川副委員長が644日に及んだことになります。

 2人の早期保釈のためにご尽力いただいた全国のみなさまに、まずもって心から厚く御礼申 し上げます。

 地元関西圏の労働組合や市民運動による弾圧反対実行委員会、「関西生コンを支援する会」、 東海や静岡の会、さらに平和フォーラム各地方組織や、北は北海道から南は沖縄まで、全国各 地のさまざまな労働組合や市民団体のみなさま。この弾圧の本質を的確に指摘する抗議声明を 出しくださった日本労働法学会有志、自治体議員、弁護士のみなさま。さらにはたくさんのカ ンパや激励の手紙をくださったみなさまをはじめ、無数のみなさま方のご尽力のおかげでこの 保釈は実現したものです。とりわけ、昼夜を分かたず献身的な弁護活動をつづけてくださった 関西生コン弁護団のみなさまに重ねて感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

 あらためて言うまでもなく、この「関西生コン事件」は、関生支部の組合員と事業者がのべ 89人逮捕され、のべ67人が起訴されるという、組合活動を理由とした刑事弾圧事件として は戦後最大規模の事件です。今回の2人の保釈でようやく全組合員の保釈が実現しました。

 しかし、すでに多くの機会にお知らせしてきたとおり、保釈されたとはいえ、裁判所は、武 委員長や湯川副委員長をはじめ多くの組合員に対し、組合事務所への立ち入りや組合員同士の 接触、面会、電話、メールの一切を禁止するとの保釈許可条件をつけています。事実上の組合 活動禁止にほかなりません。これら憲法違反、ILO条約違反、国際人権規約違反の保釈条件 を取り消させることが焦眉の課題です。

 しかも、警察・検察・裁判所が一体となった労組壊滅作戦に終止符が打たれたと楽観的にと らえることは時期尚早だと私たちは認識しています。大阪広域生コン協組が主導した関生支部 排除の攻撃もつづいています。ひきつづき警戒心を高め、反撃の条件づくりに全力をあげてい く決意です。

 本来ならば直接お伺いすべきところではありますが、とりいそぎ書面をもって、今日までの 全国のみなさまの物心両面にわたるご支援、ご協力に重ねて感謝申し上げ、御礼の礼に代えさ せていただきます。

2020年6月5日

全日本建設運輸連帯労働組合
中央執行委員長 菊池 進

全日本建設運輸連帯労働組合
近畿地方本部
執行委員長 垣沼 陽輔

全日本建設運輸連帯労働組合
関西地区生コン支部
執行委員長 武 建一

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↓大椿ゆうこさんのツイッターより

5月29日に保釈された、全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部の武建一委員長に会って来ました。641日にも及ぶ異常な長期勾留!(なんとカルロス・ゴーン氏の約6倍!)その疲れを全く感じさせない、この笑顔! #労働組合弾圧を許さない と立ち上がった全国の支援者の皆さん、武さん元気だったよー!

報道姿勢がおかしい!「カンブリア宮殿」が描いたロイヤルリムジン解雇問題

2020年06月08日 | 政治
http://www.labornetjp.org/news/2020/1591359348698staff01
報道姿勢がおかしい!「カンブリア宮殿」が描いたロイヤルリムジン解雇問題
    指宿昭一(弁護士)

 6月4日のTV東京・日経スペシャル「カンブリア宮殿」の「従業員600人の解雇は『英断』だったのか?」は、極めて残念な番組だった。600人一斉解雇が、労働者の安全と収入確保のために行われたというお涙頂戴の「美談」を軸に「物語」が作られている。金子社長の企業経営者としての判断の理由と背景が見えてこない。

 公共交通機関として減車をしてでも事業を継続した他のタクシー会社と違い、事業を停止し、しかも、全員解雇をしたという金子社長の経営判断の妥当性について全く検討がされていない。番組の性質上、金子社長の主張が放送されること自体はいい。だが、これに対する反論が全く放送されないというのは公共放送としてありえないこと。金子社長と7回の団交を行っている日本労働評議会とその顧問である私は、社長の経営判断に対して明確に異議を唱えており、この番組の取材も何度も受けているが、まったく放送されなかった。労働者の苦境と抗議については、ある程度、放送されたが、コロナ禍における経営者の判断であり、一定の犠牲はやむを得ないというスタンスで処理されている。そもそもの経営判断の妥当性が検討されていないのである。

 金子社長は、事業を停止したとしても、解雇を回避して、希望する労働者の雇用を守り、労働者に休業手当を支給して、雇用調整助成金の支給を求めるべきだった。そもそも、全社を一斉に事業停止する必要などなかったはず。金子社長の言動には、他の経営者と違う決断をして、自分自身を「労働者のことをよく考えている社長」として描き出し、アフター・コロナの時代に躍進したいという野望が感じられる。「カンブリア宮殿」は、見事に金子社長の野望に利用された。そのことにより、番組は薄っぺらなものになり、番組としての社会的評価を下げた。

 解雇回避の努力をせず、軽率に600人解雇をしたことは誤りであり、企業の社会的責任の見地から非難されるべきことである。この基本を外した「カンブリア宮殿」の報道姿勢は誤っている。(指宿弁護士のFBより)