アメリカの科学技術力、依然として世界の最先端を行っている。天文の分野でも、画期的な成果を上げてきているハッブル宇宙望遠鏡の後継機、ジェームス・ウエッブ宇宙望遠鏡が2020年に打ち上げられるという。ウエッブ宇宙望遠鏡からの観測データが得られるようになると、宇宙の謎は多く解明されるであろう。下記はナショナル ジオグラフィックスの解析から引用。
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられて、地上約600km上空の軌道上を96分で周回する宇宙望遠鏡で数々の画期的な観測をもたらしているが、28年も持っているからぼつぼつといことで好景気が計画されている。長さ13.1メートル、重さ11トンの筒型で、内側に反射望遠鏡を収めており、主鏡の直径2.4メートルのいわば宇宙の天文台である。ハッブル宇宙望遠鏡が行う観測のほとんどは、目で見える光の波長(可視光)を使う。そのため、望遠鏡を地球の大気の薄い所に置く最も大きな利点は、シーイングによる歪みを受けないことである。また、観測する天体を細かなところでまで撮影できる。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙ベースの汎用天文台という意味では、ハッブルの後継にあたる。その赤外線カメラにより、宇宙誕生からわずか2億年後の光を集めることができる。宇宙誕生2億年といえば、初期の恒星や銀河が形つくられつつあった時代だ。また、太陽を含む恒星を回る惑星の調査も行う。これらのすべてを、地球から100万マイルの高見から行うのがハッブルとは異なるところだ。



膜のような形の巨大サンシールド。これを5層に重ねたシールドで、ウェッブを太陽、地球、月から守り、冷たい状態を保つ。飛行中、最初に配備されるパーツのひとつ。(PHOTOGRAPH BY NORTHROP GRUMMAN AEROSPACE SYSTEMS)
ウェッブは絶対50度を下回る温度に保たれるため、ハッブルとは異なる光の観測が可能になる。ハッブルは紫外線と可視光の観測に長けているが、ウェッブは赤外線を観測する。赤外線は可視光よりも波長が長く、宇宙を見るより大きな窓となってくれる。
ゴダード宇宙飛行センターでウェッブのシニアプロジェクトサイエンティストを務めるジョン・メイザー氏によると、塵微粒子のせいで私たちの目には見えない生まれたての星や惑星も、ウェッブの目から逃れることはできないという。「ウェッブを使えば、不透明な雲の向こうにある、形成過程にある星の姿を見られます」
それに、赤外線を使えば過去にさかのぼることもできる。膨張する宇宙では、何10億光年の距離を伝播するうちに光の波長が伸び、可視光はやがて見える範囲から外れて赤外線になる。その赤外線を捕らえることができるウェッブは、史上最強のタイムマシンになれるのだ。
ウェッブが観測するものは、ある程度は予測可能だ。形成過程にある星、太陽以外の恒星を回る惑星のほか、初期の星や銀河の様子を見ることができるだろう。ただしその様子は、暗闇の中の染みのようにしか見えないとメイザー氏は言う。「心の目で見なければ、あまり美しいものではないでしょう」
しかし、驚きに満ちた発見もたくさんあるはずだ。「私たちの想像力は、観測結果を超えるほど強力ではありません。行って、見てみなければ」とカーシュナー氏。
カーシュナー氏らは、ウェッブがハッブルほど人々を魅了するかどうかについては疑念を抱いている。結局、宇宙の果てに何が隠されているかは誰にもわからない。そこは物質とエネルギーが私たちの想像を超える形で存在する場所なのだ。
「宇宙は、本当に、本当に大きい。それは、私たちの想像の範囲や、私たちが持つ計器の能力を超えることがしばしばです。でも、私たちはついに追いつこうとしています」とシカゴ大学の宇宙学者マイケル・ターナー氏は言う。
「天文学者にとって、最もエキサイティングな時代がやってきます。私たちが解明したいのは、非常に多様かつ基本的な問題です。地球外生命は存在するのか? 宇宙は何からできているのか? 宇宙の膨張はなぜ加速しているのか? その運命はどうなるのか?」
