中国南部の大都市・広東省広州市の地下鉄に、2019年9月新たな改札システムが導入された。
自動改札機の上に設置されているタブレットのような機械。記者が顔を近づけると「登録されていない顔」との表示が・・・これは顔認証技術を使った「顔パス改札」の最新システムなのだ。スマートフォンを使って事前に顔を登録しておけば、あとは改札を通るだけで、ICカードやスマホをかざす必要もない。
コンビニ大手「セブン-イレブン」は、2019年5月から広東省のおよそ1000店で顔認証決済を導入。客はレジのタブレット端末に自分の顔を写せば、一瞬で支払いが完了する。
中国の調査機関によると、顔認証決済の利用者は2018年の6100万人から2019年には1億1800万人に倍増。2022年には7億6,000万人を超え、決済手段の主流になると推定している。
顔認証にこれだけ急速な拡大が見込まれる中、中国政府は12月1日から携帯電話の契約時に「顔認証データ」の登録を義務化する。
街頭の監視カメラの数が2億台にのぼるなど、“超監視社会”と呼ばれる中国だが、監視カメラを少数民族の弾圧にも使っているとアメリカ政府などが批判を強めている。
顔認証に否定的な中国市民:
顔認証はあまり好きではない。顔認証のデータは盗まれても変えることができないので、安全面で改善する必要があると思う
顔認証に肯定的な中国市民:
(顔認証データの利用は嫌ではない?)いいえ、嫌ではない。国家標準だったら使う。心配はない。携帯で決済できるなら顔認証で決済できるのも当たり前
利便性向上の一方で、国家による市民生活の監視…顔認証決済の向こうに広がる未来とは?
三田友梨佳キャスター:
中国の顔認証技術の進歩はすごいですね
IoT/AIの専門メディアを運営する小泉耕二氏:
中国はトライアルアンドエラーを繰り返す国で、最近だと無人コンビニが流行っていましたが、もう今はあまり無い。そうやって良いなと思ったらいろいろと試してみてダメなら止めるというのが面白いなと思います
三田友梨佳キャスター:
中国は2022年には7億6000万人の顔認証が可能になるとのことですが?
IoT/AIの専門メディアを運営する小泉耕二氏:
AIはデータがたくさんあった方が精度が上がるので、7億人が使うデータというのは私も一度でいいから見てみたいです
三田友梨佳キャスター:
AI分野で覇権争いをするアメリカにとっては脅威になりますね?
IoT/AIの専門メディアを運営する小泉耕二氏:
そうですね。アメリカは10月に中国の28企業をブラックリストに登録していますし、中国を脅威に思っている部分もあると思います。中国のAIはアメリカのコンピューターを使って高精度なものを出しているので、閉め出すことによって少しは遅れると思いますが、中国も技術を上げてきているので追いつかれるまでの時間稼ぎにはなっても、それほど時間かからず追いつかれると思います
三田友梨佳キャスター:
日本では今年消費増税を機にキャッシュレス化へ大きく舵を切りましたけど、世界のこのスピード感に追いつけるのでしょうか