多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

恵比寿のさいき

2010年06月08日 | 居酒屋・銭湯紹介
恵比寿駅西口を出て駒沢通りを横断し路地を入ったところに、見るからに歴史を感じさせる引き戸の酒寮「さいき」がある。1948(昭和23)年創業、現・マスターのお母さんが始めた店だ。
わたくしが最初に来たのは10年くらい前のことだ。その後5年くらい前に友人と来て以来、久々の来訪だった。

L字カウンターに詰め詰めで10席、4人がけテーブルが2つ、そのほか2階に16人入れる座敷があるそうだ。天井が屋根の形になっている。舟天井というそうだ。黄色い嵌め込み式の照明の黄色い明かりが、いかにもレトロな雰囲気を醸し出す。
わたしは開店直後に入ったので、若い女性や男性が仕込みをやっていた。20分くらいするとマスターが現れた。

料理は、まず日替わりのお通し三品が出る。この日はしいたけ、はす、にんじん、里芋など野菜の煮つけ、キャベツとたくあんの酢漬け、わらさと黒ダイの刺身だった。刺身が必ず入っている。燗酒のあとは焼酎のお湯割りに切り替え、名物の海老しんじょう(900円)とこの日は本物のハラミが入っているということで2品注文した。温かい海老しんじょうはたしかにうまかった。
入り口の正面にメニューが貼りだされている。エボ鯛開き750円、あおり下足850円、ホヤの塩辛750円、らっきょう600円、お新香450円、トマト400円、湯どうふ700円、銀鱈煮付900円など、多岐にわたる料理がそろっている。

メニューの上のところに、幅3メートル近くありそうな立派な木の額が掛けてある。紀尾井町、高樹町、富久町など恵比寿から遠そうな町名と、坂本、奥の松、音一、中むら、など屋号が入り混じった火消しの組の額である。左下にある小さな鈴の?マークがこの町のもので、お店を開店して数年後にお母さんが注文してつくったものだそうだ。

カウンター席は常連さんが半分くらい。店の人が名前で呼んでいるのですぐわかる。だれでも気軽にというわけではないが、フリーの人も話の輪に入れてもらえる雰囲気がある。ちょっと歌舞伎町の理佳を思い出した。毎年中目黒で花見をやっているそうだ。客が店に入ると若いスタッフが「お帰りなさーい」、お勘定をすませると「行ってらっしゃーい」と送り出してくれる。フリーの客にも親切にしてくれる。ただいつも混んでいるので2人以上のときは電話で予約したほうが無難だ。

マスターは64歳、横浜の山手で育ち、麻布中・高で芝居をやっていたという。歌舞伎が好きな方のようだった。この日も麻布の同級生が来店されていた。麻布は結束が固いようだ。ラグビー部OB会も毎週土曜に、東急多摩川線の河川敷で練習していると聞く。

カウンターの正面にはそのときどきのイベントのチラシが貼ってある。3月は「新 センセイの鞄(演出:マキノノゾミ、主催:ココロ・コーポレーション)の芝居のポスター、次に行ったときは椎名誠の来店風景の写真だった。写真は太田和彦さんらと来店したときのものだそうで、椎名さんのことをマスターは「カッコいいね」と激賞していた。その次は、東京ムジークフローという池袋で練習するアマチュアオーケストラの演奏会のチラシだった。いろんなお客さんが来るようだ。
かつては吉行淳之介、吉本隆明、遠藤周作、奥野健男といった方も来たことがあるそうだ。昨年秋には、先日退陣した鳩山首相も来たらしい。

電話: 03-3461-3367
住所: 東京都渋谷区恵比寿西1-7-12
営業: 17:00-24:00(22:45料理LO)、土日祝
   生ビール600円、日本酒(一ノ蔵、加茂泉)500円
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