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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

兵庫県美・現代美術の世界へようこそ!

2009年01月09日 | 博物館など
正月明け、兵庫県立美術館で8000点の収蔵品からセレクトした「親子で楽しむアート 現代美術の世界へようこそ!」という展覧会を見た。

午前中だったのでほとんど人がいないのではないかと思ったが、一室に数人は観客がいたのは意外だった。「こどもたちにも親しんでもらえるコレクション展」というコンセプトだが、大人にも大いに楽しめるし、解説文が秀逸で現代美術をみるうえで勉強になる展覧会だった。
わたしたちは現代美術をみるとき、ややもすると技法の目新しさや迫力に目を奪われがちだ。この展覧会は「円に注目」「文字に注目」など、現代アートをみるときの4つの「ヒント」でコーナーを分けていた。「円に注目」では、たとえば多くの円が描かれた田中敦子の作品(1958)には「たくさんの円、でも少しずつちがう」という解説が付けてあり、観客は円を一つずつ見て納得する。織田一磨の「大阪風景、道頓堀」(1917)では、たしかに日傘、ちょうちん、家紋などに「円」を確認できた。

右2つが吉原治良の作品、手前のインスタレーションは下谷千尋の作品
「文字に注目」は、書が日本の抽象画に及ぼした影響を探ろうというテーマだった。吉原治良の「一」「二」(1970ころ)や、白髪一雄の「地傑星醜群馬」(1961)が展示されていた。テレビで、ロープにぶら下がった白髪が、気合を入れて足を運んでいるのを見たことがあるだけにこれが「書」なのかという疑問がわいた。しかし中国では筆が立つくらい力を込め精神を注入して書を書くという話を読んだことがあるので、そういう意味では精神は同じなのかもしれない。
下谷千尋の「Stones are related to words・・・」(1976)は石を環状に配置したインスタレーションだが、石に一つ一つ「are related to words」という文字が印刷されている面白い作品だ。
「ものに注目」のコーナーには、李禹煥の石とヒビの入ったガラスの「関係項」(1983)やクラフト紙に包まれたシャベルに見える赤瀬川原平の「梱包・シャベル」(1963-85)、「色に注目」では色相表のようなジョゼフ・アルバースの「色の相互作用」(1963)やフランク・ステラの白黒の縞模様のブラック・シリーズが9点並んでいた。
このコーナーは当たり前の現代美術作品の感じがして刺激を受けなかった。

孫雅由「色の位置から石の作法へ」
「さまざまな絵画表現」では、孫雅由の「色の位置から石の作法へ」(1989)は壁面の布は手前まで垂れ、手前には石が置かれた7mもある作品が展示されていた。菅井汲の《カドミウム・レッド3-4》(1992)は赤の○や×といった記号が並ぶ250センチ角の迫力ある作品だ。
もちろん観客はみたいように見、感じたいように感じる。驚きは人それぞれだ。しかし今まで10秒で通過していたのを、周りを1周見回して1分見るというような変化は生まれそうだ。

庭には、楯を持つヘンリー・ムーアの「ゴスラーの戦士」(1973-74)が展示されていた。
住所:  兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
電話:  078-262-0901
開館日:火曜日~日曜日
    (月曜日が祝日の場合は火曜日休館)
開館時間:10時~18時
入館料:大人 500円 (特別展は別途)


☆初めて関西の居酒屋に入った。阪急三宮近くの「正宗屋本店」である。近くの金杯森井本店には金杯しか置いていないように、この店の日本酒は櫻正宗のみである。焼鳥(360円)など焼物、刺身、天ぷら、冷奴(400円)など豆腐、神戸コロッケ(310円)などフライ、ゲソ(420円)、ポテトフライ(360円)など揚物、おにぎり(350円)などご飯物と、料理はオールラウンドである。酒は一合300円、焼酎(白水)330円、生ビール(中)450円(なお、18時までに来店した客は1人2杯限定で250円で飲める)。価格はすべて税別。
1階のカウンターは10人程度しか入れないが、2階に席があるようだ。


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