多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

新宿駅西口で沖縄戦のビラをまいた春の夜

2009年04月21日 | 日記
4月15日(水)夜6時半から8時前まで、新宿駅西口小田急前で、沖縄戦教科書検定の白紙撤回を求めるチラシを撒いた。

2007年3月、軍の命令・強制による沖縄戦「集団自決」の事実が文科省の検定により教科書から消し去られたことが判明した。沖縄の11万人県民集会をはじめ全国から抗議の声が上がり、12月に教科書会社からの訂正申請という形で記述の一部が改善をみた。検定修正の理由のひとつは「大江岩波裁判」だったが、2008年3月に大阪地裁で元軍人の訴えが棄却された。10月の大阪高裁控訴審でも再び棄却されたが、文科省はもとの検定を撤回しようとはしない。3月には扶桑社だけでなく同じように戦前の「皇国主義史観」を前提にする自由社の教科書まで合格にしてしまった。
この日のビラは「教科書検定の白紙撤回」を文科省に求めることと、翌16日の参議院院内集会を告知することが目的だった。
全日本港湾労働組合、全日本建設運輸連帯労働組合、全国一般労働組合全国協議会の三労組に市民15人が加わり、総勢30人ほどが歩道のあちこちに立ちビラを撒いた。車道にはピンクの横断幕を張った労組の街宣車が繰り出し、歩道には3人がかりでないと持てない「沖縄戦『集団自決を強いたのは誰か!?」の黄色の大横断幕を掲げた。
この日の昼はポカポカ陽気、夕方になるとさわやかな風がそよぎ新宿西口の雑踏も、春祭りの夜のにぎわいのように感じられた。男女とも、真新しいスーツ姿のグループが目につく。研修中の新入社員のようだ。セカセカ急ぎ足の人は意外に少なく、声かけはしやすい。水曜なのに気分は金曜夕方のようだ。
しかしビラの受取は極端に悪い。ビラを受け取るような場所ではないという心のバリアが歩行者にあるかのようだ。携帯電話中の人や友人と話しながら歩いている人は、周囲への意識が飛んでいるので当然受け取らない。また若い人はまず受け取らない。これはどこでも同じだ。しかし中高年の女性が受け取ってくれないのは想定外だった。その代わり、ジャンパーやTシャツの定年後の高齢男性の受取りが比較的よかった。なかには裏表とも立ち止まってじっくりながめた後「入らない」と返してくれた方がいた。また、ていねいに読んで「沖縄の人?」「いいえ、でも渡嘉敷島の集団自決で生き残った方や、ひめゆり部隊で悲惨な体験をした方のお話を聞いて、まったくひどいことがあったことを知りました」「まあ、いろんな考え方があるからね」と、必ずしも賛同されていないようだったが、この日唯一の対話が成立した。なかには激励の声をかけてもらったり、カンパまでしてくれた方もいたようだ。ていねいに読まれた理由のひとつは、ピンクの桜の花と珊瑚礁の座間味の海の写真が入った、一見観光用のような親しみやすいデザインのチラシだったからだ。

受取が悪いので、わたしは、歩行者の深層意識に少しでも届くように「沖縄戦の教科書検定のチラシです」「沖縄の『集団自決』の問題です」と声掛けに重点をおくことにした。ただこの雰囲気ではたしかに回りから浮いた感じはあった。
でも、かつて土曜の午後中野駅前でまいたときよりは受取状況はよかった。撒いた枚数は2時間足らずで1000枚弱になったそうだ。
早朝ビラ撒きでは、寝ぼけまなこの人や、殺気だって歩いている人が多いので、それに比べるとゆったりした雰囲気だったのであまり疲れなかった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 江戸川のほとり、山本亭と柴... | トップ | 新藤宗幸教授の道州制批判 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事