多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

江戸川のほとり、山本亭と柴又のまち

2009年04月17日 | 博物館など
寅さん記念館の手前に山本亭という大正末の邸宅がある。カメラ部品メーカー山本工場の創立者・山本栄之助が、関東大震災のため台東区小島から転居し、88年まで山本家の自宅として使われていた。その後葛飾区の管理に移り、91年4月から一般公開されている。木造2階建て、上品だが一見すると、かつてはどこの住宅地にもあったような建物にみえる。しかし1階400平方メートル、2階50平方メートル、庭園が900平方メートルという広さで、土蔵、長屋門、茶室を備える堂々たる邸宅だ。

屋内に入ると、戦前の資産家の家らしく、欄間の鳳凰や電球の傘の松菱の透かし彫りの技が目を引く。洋室には大理石の暖炉があった。以前、池之端の岩崎庭園や白金台の朝香宮邸(東京都庭園美術館)をみたことがあるが、そこにも立派な暖炉があった。廊下には1mくらいある大きな甕や古い電話もあった。玄関のたたきに人力車が1台停めてあった。人力車は浅草など観光地でときどきみかけるが、間近でみるとかなり大きかった。
新緑の季節ということもあり、緋毛氈の縁側からみえる庭園の緑が鮮やかだった。庭には池と築山があり400本の樹木が植えられている。書院庭園という様式だそうだ。これで入館料100円は安い。庭をながめながら抹茶(和菓子つき)、コーヒー(クッキー付き)を500円で飲むことができるようだ。
敷地の片隅には防空壕の跡があった。幅1.5m、長さ2mと結構大きい。解説によれば中に6畳2室とシャワー室があるそうだ。
雰囲気が落ち着いており、茶会のほか、落語の会、筝曲三弦演奏会、昔ばなしや民話の会などさまざまなイベントの会場として使われている。わたしが訪れたときには野菜版画展が開催されており、版画は結構売れていた。

柴又の駅前広場はそのまま題経寺の参道へと続いており、道の両側に草だんご屋、川魚屋、せんべい屋、漬物屋、そば屋などが立ち並ぶ。柴又神明会の商店である。道路の幅は5m程度だ。男はつらいよ第1作のヒロイン光本幸子(冬子)が酔っ払って、深夜に「殺したいほど惚れてはいたが」(北島三郎の「喧嘩辰」)と歌っていた。本当に歌えば、たいていの人が起きてしまいそうな道幅だった。客引きの声を聞くと京都の観光寺院周辺かと思うばかりだ。柴又神明会へは何回か来たことがあるが、立派な観光商店街に成長していた。商店街はわずか200m足らずなので、あっとい間に題経寺に到着する。
境内には、ガイドさんの旗に先導された観光バスの観光客があふれている。本堂の左手には源ちゃんが撞いていた鐘楼がある。本堂裏手には庭園がある。生まれたての満男をさくらが抱き御前さまに会ったのはこの庭だったのだろうか。

柴又の駅から参道を抜けて題経寺、山本亭、寅さん記念館、さらに江戸川堤に出て矢切の渡しと、700-800mの自然に歩ける動線がつくられている。江戸川堤には茨城県まで続くサイクリングロードが整備されていて、土日祝日には1日400円のレンタサイクルも用意されている。寅さん映画の最終作公開後14年たつが、これだけの人を集めるのは、寅さんの魅力だけでなく、地元の努力の成果であることがよくわかる。
以前、金町まで歩いたことがあったので、今回は逆方向の京成高砂まで歩いてみた。柴又の商店街というと神明会が反射的に浮かぶ。しかし駅の南側は親商会という商店街であることを知った。こちらは観光商店街ではなくごく普通の商店街だった。なつかしい田宮の模型店があった。

住所:葛飾区柴又7丁目19-32
電話:03-3657-8577
開館:原則として第3火曜日以外は開館
開館時間 午前9時~午後5時
入館料: 一人一回100円(寅さん記念館とセットで買うと50円割引)


☆帰りに立石の「江戸っ子」に立ち寄った。肝っ玉かあさんのようなママさんをはじめスタッフは女性ばかり。赤羽のまるます家くらい大きなカウンターがある。ところが4時30開店なのに5時には満席になってしまった。そこをママさんが交通整理して1人でも待ち時間を少ないようにしてくれるうれしい店である。
常連さんはもの静かな方が多い。年齢を問わずカップルも何組かいる。地元に溶け込んでいる店であることがよくわかる。たいていの人が煮込み(320円)とハイボール(320円)を注文している。ふだんは甘い酒は口にしないがためしに頼むと、とてもこの店に合っていておいしい。調子に乗って2杯飲んだが、かなり度数が強かったようで、翌日まで影響した。料理は1皿4本320円のもつやきが中心だが、厚揚げ、トマト、冷やっこなどの定番がある。
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