計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

天気予報や局地予報はどのように行われるのか

2014年06月27日 | お天気のあれこれ
 まずは一般的な天気予報の流れとして、気象庁の天気予報について紹介します。気象庁の予報は大きく分けて、観測解析予想から構成されます。


 始めは「観測」です。人工衛星気象レーダー、そしてアメダスは天気予報でもお馴染みですね。そして、ラジオゾンデ・・・これは気温や気圧などの観測器を風船にくっつけて空に放ってしまうものなんです。風船と一緒にフワフワと空高く舞い上がっていくのに伴い、上空の大気の状態を時々刻々と観測しながら、その情報を地上に送信し続けるのです。このような様々な観測が世界中で行われています。

 次は「解析」です。世界中で観測されたデータは、気象庁内部のスーパーコンピューターに集められます。このコンピューターの中には、バーチャル地球が構築されていて、この観測されたデータを基に、その時の地球上の大気の状態を再現します。さらに、その状態から「ヨーイ、ドン!」で、これから先の未来に向かってどんなふうに動いていくのかを計算してしまうんです。この結果は、予想天気図など様々な気象予測データとしてアウトプットされます。

 そして、いよいよ「予想」の段階です。様々な観測データスーパーコンピューターの解析結果を基に、予報官が分析して、予報の内容を検討します。その結果が、「明日は晴れ時々曇り、所によって一時にわか雨」のような天気予報や、注意報・警報などのような形で発表されるわけですね。

 そしてその先には、局地予報があります。


 先ほどの気象庁の観測・解析・予報といった専門的なデータは、こちらの(一財)気象業務支援センターを経由して、民間気象会社に提供されています。

 そして、これらのデータをさらに分析することで、独自の予報を行うわけです。予報を行うためには、対象となる地域の気象の特徴について、より深い知識や理解が必要となりますので、様々なデータや資料の分析、さらに長年にわたっての研究の積み重ねが大きくモノを言います。

 「予報」とは「決断」です。より良い「決断」を行うためには、より深く局地気象を学ぶことが必要です。ですから、私は、一人の「工学屋」として「局地気象」にアプローチしています。


 私の専門分野は「コンピューターによる計算気象シミュレーション」です。これは物理学の理論に基づいて、コンピューターの中に「地形や大気の模型」を作り上げて、バーチャルな実験をするものです。この模型のことを、私たち気象屋は「モデル」と呼んでいます。

 実は、このモデルの正体は膨大な数の計算式です。言って見れば、このようなモデルというのは数学や物理学の集大成と言っても良いかもしれません。
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