◎便利は危険
(2016-08-12)
機心は、荘子外篇の天地第十二に出てくる。
機械を使うと必ず機械に頼る仕事が増える。そうすると機会の便利さに慣れ、人間は注意を常に外に向け、本質ではない利害得失、メリット・デメリットばかり追うようになる。これが機心。
こうしてエネルギーと時間は節約され、本来でいえば、冥想によりそれを人間の内側に向けるべきものだが、逆にもっとエネルギーと時間を使わずに努力をせずに効果を得ることばかり考えがちになるものである。
現代人の日常生活では、機械ばかり使っているから、機心なき人はまずいないが、そこで人為的に冥想タイムを作り、心の純白を感得せねばならない。荘子では、更に、機心あれば、精神が定まらず、道はないとする。
『機械有るものは必ず機事あり。機事有るものは必ず機心あり。機心胸中に生ずれば、則ち純白備わらず。純白備わらざれば、則ち神生定まらず。神生定まらざる者は、道の載せざるところなり。』
昨今世の中に狂人が多いのも、機心だらけのライフ・スタイルのせいか。