◎人生の安物買い
(2016-07-21)
この貧富の差が大きく、子供の貧困6割、非正規就業4割の下層が半数を占める時代に無用こそ真の用であることを理解させるのはなかなかむずかしい。千利休らが茶道具の値をつり上げて高く見せたのは、畢竟失敗だった。天下人秀吉に侘び数寄の無用の用を見せたのは、大成功だったが、後継者たちは軒並み茶道具の値の高さに目を奪われたきらいがある。
久松真一が茶道の徳を格調高く説明してみせたが、そんなに綺麗に説明できるものなら、世の中の茶の湯者はもっと増えていよう。
前世に荘子だったOSHOバグワンが荘子を語る。
『まわりを見まわしてごらん
成功した人々を見てみるがいい
政治家やら財産家、大実業家たちを
彼らにはどんなことが起こっているね?
彼らの所有している物を見るんじゃない
彼らそのものを直接見なさい
なぜなら物を見てしまったら欺かれる
物は胃カイヨウにならないし
車は心ぞう発作にもおそわれない
邸宅は入院することもない
だから物を見てはならない
見たらだまされる
人を見なさい
あらゆる所有物を取り除いたあとの
その人そのものを直接見るがいい
そうしたらあなたはそこに貧しさを感じるだろう
そうなったら乞食でさえ金持に見える
そうなったら、〈生〉に関するかぎり
貧乏人でさえずっと豊かであるかもしれない
成功は失敗する
成功ほど失敗するものはほかにない
なぜなら成功する人は〈生〉をつかまえそこなうからだ
あらゆるものをつかまえそこなうからだ
成功する人は実際安物買いをする
ニセ物のために本物を投げ捨て
浜辺にころがる色のついた小石のために
内なるダイヤモンドを捨ててしまう
小石を集めてダイヤモンドを失うのだ
金持とは失う人、成功者とは失敗者のことだ
だが、あなたがたは野心の眼で見るから
所有している物のほうを見る
政治家を見ないでその地位を見る
その大臣職を、その権力を見る
あなたはそこに坐っているまったく無力な
すべてを取り逃がしたその人をけっして見ない
歓びが一瞬とて垣間見ることすらないその人を・・・・
彼は権力を買った
が、その買物のなかで自分を失った
そしてそれはすべて安物買いなのだ』
(虚空の舟(下)/バグワン・シュリ・ラジニーシ/メルクマール社 P68-69から引用)