皆さんは「はないちもんめ」という遊びをご存知でしょうか?
子供たち数人が集まって、「はないちもんめ」を歌いながら「○○ちゃんがほしい」 「××ちゃんがほしい」と無邪気に歌って仲間を取り合う遊びです。
ところが、この遊びの陰には、悲しい物語が隠されていました。
今日は、この隠された謂れについてご紹介します。
実は、この歌は「人身売買の歌」だったそうです。
かつて口減らしが行われていた頃、貧しい農村から子供を買い集める人買いが、
「花(女児)」一人につき、金一匁(もんめ)が支払われたというものです。
(一匁は3.75gで、一文銭の重さから生まれた単位だそうです。)
この歌詞に歌われているように、貧しい家の親が苦しさの余り、「箪笥、長持ち、
どちらが欲しい」と聞いたら、人買いが「あの子が欲しい」と名指しした歌といわれています。
生活のためとは言え、子供を売らなければならない親の気持ちと売られていく子供の気持ちを思うと、居た堪らないですね。
そういえば、私も子供の頃に母や祖母から人買い、人攫(さら)いの話を聞いたことがありますが、このような遊びになっていたとは知りませんでした。
参考までに「はないちもんめ」の遊び方と歌詞を書いておきます。
「遊び方」
1.数人ずつ2組に分かれて、横一列に並んで向かい合い、手をつなぎます。
2.前回勝ったチーム(最初はじゃんけん)から「勝ってうれしいはないちもんめ」と
歌の一節を歌いながら前に進みます。相手の組は後ずさりします。
はないちもんめの「め」のところで片足を蹴り上げます。
3.歌い終わると、次に負けたチームが「負けて悔しいはないちもんめ」と歌って
前に進みます。
このように歌の一節を交互に歌いながら前後に歩きます。
4.歌が終わるとそれぞれの組で相談して、相手の組から誰をこちらの組にもらう
かを決めます。
決まった組は「き~まった」と叫びます。
5.それぞれ「○○ちゃんがほしい」 「××ちゃんがほしい」と披露します。
6.双方の代表者がじゃんけんをし、指名された人は勝った組にもらわれていきま
す。
7.どちらかの組のメンバーがいなくなれば終了します。
「歌詞」
・関西方面
「勝ってうれしいはないちもんめ」「負けて悔しいはないちもんめ」
「タンス、長持ち、どの子が欲しい?」「どの子じゃ分からん」「あの子が欲しい」
「あの子じゃ分からん」「この子が欲しい」「この子じゃ分からん」
「相談しよう、そうしよう」
・関東方面
「勝ってうれしいはないちもんめ」「負けて悔しいはないちもんめ」
「隣のおばさんちょっと来ておくれ」「鬼が怖くて行かれない」
「お布団かぶってちょっと来ておくれ、お布団ぼろぼろ行かれない」
「お釜かぶってちょっと来ておくれ、お釜底抜け行かれない」
「あの子が欲しい」「あの子じゃ分からん」「この子が欲しい」「この子じゃ分からん」
「相談しよう、そうしよう」
他にも、東北から中部、中国、四国、九州に至るまで、全国にその土地のバージョンがあるようです。