昔、社会人になりたての頃、筆不精を言い訳にして「便りがないのは無事な証拠」と両親に向かってよく言っていたものです。
先日、ラジオを聴きながら家庭菜園をしていた時、NHKのラジオ番組「気になることば」で、“ことばおじさん”こと梅津アナウンサーが手紙と便りにの違いについて解説していました。
その解説が参考になったので、皆さんにご紹介したいと思います。
“ことばおじさん”の解説によれば、
まず、「手紙」については、諸説ある中で、ひとつには、「手紙」とは元々「手元において雑用に使う紙」のことを言い、もうひとつは、「文字を書いた紙」という意味でも使われていたそうです。
「手」には「文字」「筆跡」の意味があり、文字を書くことを「手」ともいうのだそうで、例えば「手習い」(=習字)ということばがそれに当たります。
「文字を書いた紙」から徐々に「誰かに宛てて送るもの」が手紙となり、現在の「封書」としての「手紙」が手紙として使われるようになったそうです。
一方、「便り」ですが、「便り」は、元々、人を頼るという「頼り」と同じ意味のことばで、身や心を寄せて頼るもの、即ち、よりどころという意味だったようです。
そして、頼りにしている相手に「自分の状況を伝えたり、相手の様子を伺うこと」の意味でも使われるようになりました。つまり、互いに書いたもので伝え合う「近況」や「様子」が「便り」になったそうです。
書いたもの以外にも「サクラ便り」「花便り」「風の便り」といいますが、これらもその様子を伝えている訳です。
このように、「便り」とは、近況や情報、何らかの知らせのことであって、伝える手段は問わない、とのことでした。(NHK“ことばおじさん”より)
現在ではメールが普及しており、若い人も年配の人もメールで便りを出している人が増えている半面、手紙を書く人が減少しているのではないでしょうか?
私のように筆不精を言い訳にしないようにしましょうね。