万理一空
昨日、大相撲の琴奨菊が大関に昇進することが正式に決まり、伝達式のニュースが流れていました。
相撲協会使者の「満場一致で大関に推挙されましたことをお伝え致します」の伝達に対して、琴奨菊は口上で宮本武蔵の五輪書から「万理一空(ばんりいっくう)」の四文字引用して、「謹んでお受け致します。大関の地位を汚さぬよう、『万理一空』の境地を求めて精進致します」と述べていました。
そこで今日は「万理一空(ばんりいっくう)」の意味について調べました。
宮本武蔵は著書の「五輪書(ごりんのしょ)」の中で、「山水三千世界を万理(里)一空に入れ、満天地とも攬(まとめ)る」と動揺せずに冷静であることが望ましいという心の持ちようを説いています。
意味は、「どんなに遥か遠くまでいっても、空は1つしかない。すべてのものは1つの世界にとどまっている」の解釈から、現在では「目的、目標、やるべきことを見失わずに励む、頑張り続ける」の意味で使われることが多いそうです。
この四文字は、元プロ野球選手の桑田真澄氏の座右の銘でもあり、日本ハム斎藤佑樹投手に渡した色紙にも書かれていたそうです。
宮本武蔵と言えば佐々木小次郎との決闘の地、“巌流島”が有名ですが、5年前に職場の旅行で訪れた巌流島を思い出したのでご紹介します。
下関から遊覧船に乗って巌流島に渡りましたが、穏やかな小さな島でした。
・正面奥には関門海峡に架かる関門大橋が見えます。
2006年11月の写真です。宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘シーンの銅像です。
(参考)
五輪書(ごりんのしょ)は、宮本武蔵の著した兵法書で、武蔵の代表的な著作です。
寛永20年(1643年)から死の直前の正保2年(1645年)にかけて熊本市の近郊の金峰山にある霊巌洞で執筆されたとされています。
書名の由来は密教の五輪(五大)からで、それになぞらえて「地・水・火・風・空」の五巻に分かれています。
地の巻・・・自らの流を二天一流と名付けたこと、これまでの生涯、兵法のあらましが書かれている。
「まっすぐな道を地面に書く」ということになぞらえて、「地の巻」とされている。
水の巻・・・二天一流での心の持ち方、太刀の持ち方や構えなど、実際の剣術に関することが書かれている。
「二天一流の水を手本とする」剣さばき、体さばきを例えて、「水の巻」とされている。
火の巻・・・戦いのことについて書かれている。
個人対個人、集団対集団の戦いも同じであるとし、戦いにおいての心構えなどが書かれている。戦いのことを火の勢いに見立て、「火の巻」とされている。
風の巻・・・他の流派について書かれている。
「風」というのは、昔風、今風、それぞれの家風などのこととされている。
空の巻・・・兵法の本質としての「空」について書かれている。